純正より大柄にカスタムされたモンキーZ50J。

毎年春に東京サマーランドの駐車場で開催されるモンキーミーティング。新旧のモンキーがノーマル車からフルカスタム車まで幅広く参加して、毎回盛り上がりを見せている。ここ数年で50ccから125ccへ大きく成長した現行型モンキーの勢いが増してきたが、まだまだ50ccの旧型も元気だ。50ccモデルだとカスタムを施されるケースが多く見られ、カスタムの方向性も様々。ここではエンジンばかりでなく足回りにこだわりを込めたカスタム車を紹介したい。

前後12インチとされた足回り。

モンキーをカスタムするきっかけは人それぞれだが、このモンキーオーナーである雨宮克幸さんの場合はペットロスだったという。愛するペットを失ったことでポッカリと心に穴が空いてしまった。その穴を埋めようとばかりモンキーをバラし始めたところ、カスタム心に歯止めが掛からなくなってしまったそうだ。

105ccまでボアアップしたエンジン。

オーナーは体重が70kgあるということで、まずエンジンのチューニングを進める。クリッピングポイントのパーツを使って105ccまでボアアップするのだが、多くのモンキーオーナーのように自分では組まなかった。レースエンジンの有名チューナーである泉モータースへ加工から組み付け、セッティングまで依頼。その結果、1万2000回転まで使える高回転型エンジンが完成した。さらにミッションもSP武川製の5速としてエンジンパワーを存分に引き出せるパワーユニットとしている。

OVERレーシングのスパイラルマフラーはチタン製で軽量。

そこまで回ると怖いのがオーバーレブ。そこでキタコ製ユニバーサルシフターを装備してオーバーレブやシフト操作時の点火カット機能などを盛り込んでいる。もちろん吸排気系にも変更を加え、キャブレターはYD24をセット。エンジン下でトグロを巻くOVERレーシング製スパイラルマフラーでセッティングした。その結果、体重70kgのオーナーが乗車しても抜群の加速力を示してくれるという。

マフラーエンドは右側になる。

エンジンをパワフルにすると、純正モンキーの足回りで性能を楽しむことなど当然無理がある。ではどうしたかと言えば、まずタイヤ&ホイールを純正の8インチから12インチへ大幅に大径化することにした。ただ大径にすればいいというわけでもなく、まずフロントフォークをミニモトの強化テレスコタイプへ変更して純正と比較にならない操作性と剛性を得ている。

160mmロングのスイングアームでロンホイ化。

フロント以上に力を入れたリヤはクリッピングポイント製の160mmロングとなるスイングアームをセット。ロングホイールベース化させることでスムーズな挙動と高い接地性を得た。組み合わせたリヤショックはyss製で335mmサイズとすることで前後の車高をバランスさせた。12インチホイールとの相性は抜群で、ノーマルよりひと回り大きなサイズ感となっている。

モダンワークス製12インチホイールにRPM製ラジアル4ポットキャリパーを組み合わせた。

車体を大型化させつつライポジも見直している。トップブリッジにセットしたのはハリケーンのセミコンチⅠ型ハンドルで、程よいワイドさと前傾姿勢が得られるようにしてある。もちろんメーター関係も刷新していて、自転車用のマグネットスイッチにより車速を計測してSP武川製デジタルメーターで表示している。

ミニコンチⅠ型にセミラジアルマスターをセット。

オーナーが目指したのは「すっきりカスタム」。全体的に派手さよりモンキーらしいスタイルを維持しつつ走りが楽しめるようにしてある。写真ではわかりにくいかもしれないが、モンキーらしさを演出するため塗装にもこだわっている。実はすべてのパーツを再塗装していて、いずれにもツヤ消し塗料を含ませているのだ。クリアにパールとツヤ消しを混合させて塗装しつつ、部分的にサテンになるよう処理。随所にこだわりが発揮されているのだ。