連載
今日は何の日?■ユーザーの多様化に応えて3種モデルを設定したキャスト
2015年(平成27)9月9日、ダイハツは“生活を彩る自分仕様の軽自動車”を開発コンセプトにした「キャスト」を発売した。キャストは、お洒落な「スタイル」、SUVテイストの「アクティバ」、スポーティな「スポーツ」の3種バリエーションを同時に開発することで、個性を重視する市場のニーズに対応した。なお、キャストスポーツのみ販売は約2ヶ月弱遅れの10月29日から始まった。

キャストの基本的な特徴

キャストは、“生活を彩る自分仕様の軽自動車”をコンセプトに開発され、見た目はレトロ調ながら都会的テイストの「キャストスタイル」、SUVテイストの「キャストアクティバ」、専用サスペンションチューニングを施したスポーティテイストの「キャストスポーツ」と、まったく異なる3つのバリエーションを設けているのが特長である。

機能的には、ダイハツ独自の高剛性DモノコックやDサスペンション、Dアシストを採用することで、安定したハンドリングや走行安定性を確保。加えて、“e:Sテクノロジー”による低燃費も達成された。e:Sテクノロジーとは、クールドEGRやCVTの高精度制御などのパワートレインの改良と、ボディ構造の見直しや樹脂材料の積極的な採用などによるボディの軽量化、高精度のエネルギーマネージメントの3つ要素で構成される。

さらに緊急ブレーキや車線逸脱警報、歩行者検知、踏み間違い抑制制御などの安全性を高める運転支援システムも搭載された。

以下、3種モデルの特徴について説明する。
都会的なテイストの「キャストスタイル」

レトロ調の可愛らしいスタイリングだが、バンパーモールやサイドロッカーモールにメッキ加飾を施すことで、都会的な上質感のある雰囲気をアピール。またインテリアについては、シックな水平基調のインパネ加飾と黒とベージュの2トーンカラーを基調とした内装色により、エレガントなイメージが強調された。
ボディカラーは、2トーンカラーを含め12色を用意。さらに落ち着いた雰囲気を残したまま、自分好みにカスタマイズできることも大きな魅力である。

パワートレインは、最高出力52ps/最大トルク6.1kgmを発揮する660cc直3 DOHCエンジンと64ps/9.4kgmのターボ仕様の2種エンジンとCVTの組み合わせ。駆動方式は、FFと4WDが用意された。
燃費は、25.0~30.0km/L(WLTCモード)、車両価格は122.04万~164.16万円である。
クロスオーバーSUVテイストの「キャストアクティバ」

SUVテイストな軽自動車をコンセプトにして、車両の下回りをプロテクトする樹脂ガーニッシュや大径タイヤ、ガンメタリック塗装のロアボディ、サイドドアモールなどで力強さを表現。インテリアについては、黒基調としてインパネデザインでスポーティさが強調された。

さらに、サスペンションの変更や地上最低高を他の2つのバリエーションに比べて30mm高い1800mmとすることや、4WD車にはグリップサポート制御やDAC(ダウンヒルアシストコントロール)も装備され、見た目だけでなくオフロードの走破性を向上させているのが特徴である。
パワートレインは、上記のスタイルと共通で、燃費は 25.0~30.0km/L(WLTCモード)、車両価格は122.04万~164.7万円である。
スポーティテイストのキャストスポーツ

コイルスプリングのバネ定数やショックアブソーバーの減衰力の最適チューニングによる高い操縦安定性。7速マニュアルモードのパドルシフトを搭載したMOMO製革巻ステアリングホイールを採用し、スムーズなシフトチェンジとスポーティなドライビングフィールを実現。さらに他のモデルより大きめの16インチホイールを採用し、ダイレクトな操縦感を生み出し、クルマを運転する人を楽しませる工夫が凝らされた。

16インチタイヤの採用で操縦安定性の向上とともにダイレクトな操舵感が達成された。その他にも、レッドピン付エアロバンパーやスポーツ専用エンブレム、常灯のフロントLEDイルミネーションの採用などで精悍さを表現するとともに、黒基調のインテリアに赤色のインパネガーニッシュやステッチでスポーティ感が演出された。
パワートレインは、上記のスタイルと共通で、燃費は 24.8km/L(2WD)/24.6km/L(4WD)、車両価格はそれぞれ162.0万円と174.42万円の2グレードのみの設定である。



・・・・・・・
デビュー当時は3つのバリエーションで登場したキャストだったが、2020年にアクティバとスポーツは生産を止めて2025年9月現在はキャストスタイルの1モデルとなった。 しかし、スーパーハイトワゴン全盛の中で、愛くるしいスタイリングと乗り心地など実用性の高さから、キャストは今も根強い人気を維持している。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。