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今日は何の日?■マツダ固有の最新技術満載の4代目デミオ
2014(平成26)年9月11日、マツダは人気コンパクトカー「デミオ」の4代目を発表(発売はガソリン車9月26日、ディーゼル車10月23日)した。マツダ伝統の人馬一体の走りに加えて躍動感のある魂動デザイン、そして先進技術であるSKYACTIVを融合させた最新技術満載のコンパクトカーである。

マツダ再生の一役を担ったコンパクトカー、初代デミオ
マツダは、1991年に始まったバブル崩壊と国内販売網の拡大(5チャンネル化)の失敗によって経営危機に陥り、1996年にフォードの傘下に収まった。
フォード傘下となった直後の1996年8月にデビューした初代デミオは、当時人気を獲得していたミニバンとステーションワゴンを融合したような新しいスタイルのコンパクトワゴンだった。合理的なプラットフォームによって、コンパクトながら多彩なシートアレンジや広いラゲッジスペースを確保して、実用性と居住性を両立させたのだ。

パワートレインは、最高出力83psの1.3L 直4 SOHC、100psの1.5L 直4 SOHCの2種エンジンと5速MTおよび3速/4速ATの組み合わせ、駆動方式はFFが採用された。
シンプルでボクシーなスタイリングも新鮮で、ファミリー層だけでなくビジネス用途としても人気を獲得し、発売1ヶ月の受注は2万台を超え、約6年通算で47万台を販売する大ヒットとなった。初代デミオはまさしく苦境に喘いでいたマツダの救世主となり、復活の起爆剤となったのだ。
正常進化してボディを拡大した2代目
2002年8月に初めてのモデルチェンジでデビューした2代目デミオは、初代のキープコンセプトだが、パワートレインやサスペンション、ブレーキなどすべてを一新。ボディサイズが拡大され、ボクシーながらエッジを丸めたソフトなフォルムとなり、シート間隔を拡大したゆとりある室内空間と質感の向上がアピールポイントだった。

パワートレインは、パワーアップした最高出力91psの1.3L 直4 DOHC、113psの1.5L 直4 DOHCの2種エンジンと5速MTおよび4速ATの組み合わせ、駆動方式は当初FFのみだったが、途中から4WDも設定された。
2代目デミオも発売1ヶ月で1.5万台と好調に滑り出し、初代ほどではないが堅調に販売を増やし、初代から10年余りで100万台を突破した。
軽量コンパクトになって低燃費を実現した3代目
2007年7月、2回目のモデルチェンジで3代目デミオに移行。初代と先代のファミリーカー志向に対して、3代目はメインターゲットを若年層、特に女性にも気軽に運転が楽しめるコンパクトカーへと変貌した。

スタリングは、コンパクトワゴンからウェッジシェイプとなり、パワートレインは最高出力91psの1.3L 直4 DOHC、113psの1.5L 直4 DOHC(一部グレードにはミラーサイクル搭載)エンジンと、CVTおよび5速MTの組み合わせ。燃費はトップクラスの23km/L(10-15モード)を達成し、3代目デミオも発売後1ヶ月の受注台数が1.5万台に達する好調な販売を記録した。
さらに、2011年に行なわれたマイナーチェンジでは、マツダが独自開発した“SKYACTIV-G”を搭載して注目を集めた。SKYACTIV-Gは、直噴化、燃焼室形状や排気系の最適化などで圧縮比14という驚異的な高圧縮比を実現、低燃費と高出力を達成したのだ。
魂動デザインとSKYACTIV技術を融合させた4代目
4代目デミオは、2014年9月のこの日に発表され予約受付を開始。発売日は、ガソリン車が9月26日、ディーゼル車が10月23日だった。4代目デミオの最大の特徴は、魂動デザインとSKYACTIV技術が全面的に採用されたことだった。

スタイリングは、躍動的なイメージやタイヤを四隅に配置した踏ん張り感のあるスタンス、4灯のLEDヘッドランプとシルバーのシグネチャーウイングを備えたフロントまわりなどで魂動デザインをアピール。さらに、「SKYACTIV-BODY」というフレーム構造を取り入れることで、先代よりもボディ剛性を高めつつ軽量化を達成している点も特徴だ。
搭載エンジンは、1.3Lガソリンエンジン「SKYACTIV-G1.3」と1.5Lディーゼルエンジン「SKYACTIV-D1.5」の2種エンジンを搭載。最高出力110ps/最大トルク14.4kgmを発揮する1.3L 直4 DOHC直噴ガソリンエンジンと105ps/25.5kgm(AT車)&22.4kgm(MT車)の1.5L 直4 DOHCディーゼルターボである。トランスミッションは、5速MT「SKYACTIV-MT」または6速AT「SKYACTIV-DRIVE」が組み合わされ、駆動方式は当初FFのみだったが、4WDも追加された。

また安全性能については、自動緊急ブレーキとAT誤発進抑制制御を標準装備。一部グレードには、ブラインドスポットモニターや車線逸脱警報システム、駐車場から後退で出る際などに接近してくる車両を監視する「RCTA(リア・クロス・トラフィックアラート)」もオプションで用意した。

車両価格は、標準グレード(2WD/AT仕様)で145.8万円(SKYACTIV-G1.3)/194.4万円(SKYACTIV-D1.5)だった。

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2000年以降、ホンダ「フィット」とトヨタ「ヴィッツ」がコンパクト市場を席巻していたが、マツダのデミオも健闘して登録車全体でトップ10に入ることも度々あった。実用性をアピールするクルマが多い中、技術をアピールして立ち向かうのはマツダらしいと言える。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

