“令和のラジオスター”はTW225Eを愛するバイク女子
ガールズバンド『Gacharic Spin(ガチャリックスピン)』のマイクパフォーマーにして、TBSラジオやTOKYO FMなどで複数のラジオ番組でレギュラーを持つアンジェリーナ1/3(以下、アンジー)。”令和のラジオスター”として注目されている彼女が、今年の秋から『ailly(アイリー)』名義でソロプロジェクトを始動する。その第1弾が9月17日(水)にリリースされる配信シングルの『Radiory(レディオリー)』だ。

『Gacharic Spin』、ラジオ、そして『ailly』としてのソロ活動と、マルチに活躍を続けるアンジー。そんな彼女が今夢中になっているのがバイクだという。昨年夏に免許を取ってから1年。ヤマハTW225Eを最初の愛車としてバイクライフを満喫しているのだとか。

2001年12月25日生まれ。 アンジェリーナ1/3の名前の由来は、日本、スペイン、フィリピンと3カ国の血が入っている事に由来。 ガールズバンドガールズバンド『Gacharic Spin(ガチャリックスピン)』ではマイクパフォーマーを担当。座右の銘は亡き父の言葉「夢は口に出せば叶う!!」その言葉通りに音楽で食べていく事を夢見ていた高校生時代、文化祭でギターの弾き語りをしている所をバンドリーダーにスカウトされ、2019年に高校2年生でガチャリックスピンに加入。TBSラジオやTOKYO FMなどで複数のラジオ番組でパーソナリティを務めるほか、TBS「サンデージャポン」のゲストコメンテーターにも抜擢される。今年の秋から『ailly(アイリー)』名義でソロプロジェクトを始動。その第一弾が9月17日にリリースされる配信シングルの『Radiory(レディオリー)』だ。マルチに活躍するドリームガール。
モーターファンBIKESのためにアンジーが愛車を披露してくれたので、今回は彼女が相棒としているTW225Eとバイク免許を取った経緯について話を聞くことにした。
愛車は懐かしのストリートトラッカースタイル
8月末の某日、待ち合わせ場所となった浅草・吾妻橋のたもとに、ドッドッドッドと小気味良い空冷シングルの音を響かせてアンジーが愛車とともに登場し、「おはようございます!」と元気よく挨拶する。ヘルメットを脱ぐと光る汗と共に鮮やかなショッキングピンクの髪がふわりと宙を舞い、はじけるような笑顔を彼女は見せる。この日は連日の猛暑から打って変わっての曇天だったのだが、彼女の存在によって、まるで真夏の太陽が戻ってきたかと思うほどに周囲の風景が輝き出す。

彼女の愛車に目を向けると、1990~2000年代に流行したストリートトラッカー、いわゆる「スカチューン」で仕上げられているが、マフラーは社外のショートマフラーに交換されているものの、実用性を重視してなのか、バッテリーレスやロンスイなどの激しいカスタムは施されていない。

何よりも古いバイクながらメンテナンスが行き届いているようで、チェーンはきれいな状態を維持しており、目立つキズなどもなく、車体はピカピカだ。センスの良いストリートスタイルのTWがアンジーにはよく似合っている。

だが、TW225は最終型でも2007年式、つまり、どんなに新しくとも18年も前のバイクになる。そんな古いバイクにもかかわらずピカピカで、キズひとつない見事なコンディションだ。しかし、ここでふと疑問に思う。このバイクが人気の頂点にあった頃、彼女はまだランドセルを背負って学校に通う小学生だったはずだ。

筆者は仕事柄いろいろなオーナーのバイクを見る機会に恵まれてはいるが、車種選びといい、車両の保守管理の良好な状態といい、とても免許取り立ったばかりの令和世代の女の子が乗るバイクとは思えないのだが……。
亡き父と兄の影響でバイク好きに……免許取得は遅れてきた反抗期?
「4歳年上の兄(3人兄妹の次男)がこのバイクを譲ってくれたんですよ。メンテナンスも全部兄がやってくれています」
なるほど。そういうことだったのかと思わず膝を打つ。では、バイクの免許を取ったのもお兄さんの影響ということなの?
「もちろん兄の影響もありますけど、亡くなった父の影響です。私は子どもの頃から父のバイクの後ろに乗せてもらっていました。私が物心つく頃にはスクーターに代わっていましたが、昔はCBX400Fに乗っていたそうです。そのあと兄が高校に入ってすぐにバイクの免許を取りました。それで当時小学生だった私も『16歳になったらお父さんやお兄ちゃんみたいにバイクの免許を取る!』って言ったんです。そうしたら父が『3人兄妹の末っ子、大事な一人娘だから絶対ダメだ』って言うんですよ。ワケを聞くと『バイクは自分が悪くなくても事故に巻き込まれる可能性がある。お兄ちゃんとタンデムするのは良いけど、お願いだからバイクの運転は諦めてくれ』って。それを聞いてむしゃくしゃした気持ちがありましたが、まあ、女の子だし仕方がないかな……って納得していたんです」

ところが、そんなお父さんが亡くなってしまった、と?
「中学1年生のときのことでした。父からは亡くなる直前まで『お前はバイクに乗るな』って言われ続けていたんですけど、昨年、父が亡くなってからちょうど10年が経って『もういいかな?』と。それまで私の中では『自分はバイクに乗っちゃいけないんだ』という気持ちと、『何でバイクに乗っちゃいけないんだ』という背反する気持ちをずっと抱えて生きてきました。けれども、節目となる命日を前に、何かあっても自分で責任を取れる年齢にもなったし、父の残した言葉に縛られ続けるのも何か違うという思いもあって、これまでずっと父の言うことを聞く良い子でいたつもりですけど、ここはちょっとワルイコになってやろうかなって。つまりは遅れてきた反抗期ですね(笑)。そんな亡き父への反発心もあって昨年思い切って普通二輪の免許を取ることにしました!」
芸能界のバイク好きからの後押しもあって免許取得を決意

芸能界の中にもバイク好きは多いし、バイクの免許を取るって言ったら、そうした人たちの反応も良かったでしょう?
「実はバイクの免許を取るにあたって、最初に後押してくれたのがユニコーンの奥田民生さんでした。亡くなった父がユニコーンの大ファンで、ボーカル兼ギターの民生さんは顔立ちが父に似ていて、どことなく雰囲気も重なるんですよ。それに私が音楽を始めたきっかけが、やはりユニコーンでした。だから、これまでの自分の人生を振り返ったときに、常に原点にあったと言うか、いつも自分の背中を押してくれたのがユニコーンだったんです。さしずめ民生さんは『もうひとりのお父さん』って感じの方で」

「それで今回もバイク免許を取りたいなって思い始めたくらいの時期に、たまたま民生さんとご飯行く機会があって、それで民生さんとドラムの川西幸一さんに思い切って相談したんです。ふたりからは『バイク楽しいぞ、免許とったら一緒にどこか行こうな』って言われて。そのひと言がすごく嬉しくて、それで『じゃあ、免許取りに行きます』って宣言しちゃったんです」

そう言えば、『おぎやはぎ』の矢作兼さんからも免許取得を勧められたんだったよね?
「矢作さんとは番組をご一緒したときに親しくさせて頂きました。最初はクルマの話をしていたのですが、気がつけばバイクの話で盛り上がっていました。それで中型と大型どっちの免許を取るか迷っていた時期だったので、矢作さんはハーレーをお持ちということもあり、『大型バイクは楽しいですか?』って尋ねたんです。そうしたら『どっちでもいいから早く取りな。一緒に走りに行こうよ』と温かい言葉をかけて下さいました。矢作さんからも免許を取る勇気をもらったことになりますね」
良き理解者の兄は一緒に教習所に行き、愛車のTW225Eを譲ってくれた!

ところで、免許を取るに当たってお兄さんは何か言っていた?
「6月16日が父の命日なのですが、昨年のこの日、天啓を受けたかのように、朝起きるとふいに『あ、今日免許取りに行こう』と思い立ったんです。それで朝6時くらいに兄に報告の電話を入れたら、彼も『じつはオレも今日、大型自動車の免許を取りに教習所へ行こうと思ってたんだ』と言うんです。これには少し驚きました。ええ、もちろん兄には『どうしてバイクの免許を取ろうと思ったのか』と聞かれましたよ。それでこれまでの思いのたけをすべて話しました」

「すると兄は理解を示してくれたんです。それでこう言ってくれました。『お父さんの影響でバイクに乗り始めたオレは、お父さんがそうであったように、常に安全運転を心がけてバイクに乗っているし、事故を起こさず、周囲に迷惑をかけないライディングこそが、カッコイイライダーの条件だと思っている。お前の気持ちは充分にわかった。同じお父さんの子なんだから、お前が免許を取ってもオレと同じように慎重な運転を心がけるだろう。よし、一緒に教習所に行くか!』って」

すごく良いお兄さんである。写真を見せてもらったところ、しかもかなりのイケメン、ハッキリ言って男前だ。彼女と同じように芸能活動をしているのかと思って尋ねると、アンジーからは「ううん、一般の会社員です」との言葉に驚かされた。そのまま芸能界でも通用する端正な顔立ちなのだが、「兄は自分がどうこうするよりも、私の活躍する姿を見るのが好きみたい」と彼女は語る。大切な愛車をアンジーに譲ったのもそうした麗しい兄妹愛からなのだろう。


「それでバイクの免許を取れたときに、自分の乗っていたTW225を譲ってくれたんです。だからあのTWは本当に大切なバイク。大好きな兄から譲り受けたバイク、しかもいちばんカッコイイ状態で譲り受けました。だからその状態を守りたい。たぶん、今後大型自動二輪の免許を取っても、あのTWだけはたぶん手放すことはないんじゃないかと思うんです」



今、お兄さんは何か別のバイクに乗っているの?
「兄は大型自動二輪免許を持っているので、いずれは大型バイクを買うつもりだと思うんですよ。でも、今は愛車のスカイラインのカスタムにハマっているみたいで、次にバイクを買うのはもう少しあとになると思います。でも、本当は兄と一緒にツーリングに行きたいんですけどね(笑)」
(第2回へ続く)

ailly「Radiory」