インドのマルチ・スズキが、新型クロスオーバーSUV「ビクトリス」を世界初公開した。思ったほど大きくないが、独特のエクステリアデザインと充実した装備を特徴としている。

スズキは数十年にわたり、コンパクトシティカーと小型SUVを中心とする戦略で独自の市場を確立してきた。各モデルは、サイズよりも個性を重視して差別化されている。このアプローチは、インドで新たにデビューした「ビクトリス」にも引き継がれており、グランド・ビターラとフットプリントの大部分を共有しながらも、独特のスタイリングと充実した装備で差別化を図っているようだ。
ビクトリスのボディサイズは全長4360mm×全幅1795mm×全高1655mm。グランド・ビターラと比較すると、全高は+15mm、全幅は+10mm。ホイールベースはどちらも同じ2600mmとなっている。日本では、トヨタ「カローラクロス」をイメージするとサイズ感がわかりやすいかもしれない。

欧州基準ではビクトリスはサブコンパクトSUVに分類されるが、インドではスズキのフラッグシップモデルとして位置づけられている。
サイズはグランド・ビターラとほぼ同じだが、ビクトリスは全く新しいシートメタルを採用している。フロントには、大型のLEDヘッドライト、スリムなグリル、そして控えめなスキッドプレートの上で繋がるバンパーインテークが採用されている。

足回りは、17インチアルミホイールを縁取る角張ったホイールアーチが特徴的で、側面では、深いキャラクターラインや、キャビンが個性的な印象を与えている。リヤセクションでは、全幅に広がるLEDテールランプが目を引き、その形状は、キアの未来的なスタイリングを彷彿とさせる。

インテリアでは、コンソール上部に設置された10.1インチのインフォテインメントスクリーンを中心とするダッシュボードが特徴だ。質感のあるシートとパノラミックサンルーフがキャビンを彩り、インド市場向けには64色のアンビエントライト、ベンチレーテッドフロントシート、ワイヤレス充電、ドルビーアトモス対応Harmanオーディオシステム、360度カメラ、Alexa対応、ハンズフリーパワーテールゲートなど、プレミアムな装備が充実している。また、マルチ・スズキとして初めてレベル2運転支援システムを搭載している。

ボディカラーは、シングルトーンとバイトーンの2色展開、インテリアはブラックとアイボリーの2色展開だ。さらに、オプションのRaffineパッケージを装着することで、エクステリアにダーククロームのアクセント、ウッドフィニッシュ、専用フロアマット、そしてキャビンサイドのイルミネーションシルが追加される。
パワートレインはグランド・ビターラと共通だ。マイルドハイブリッド、フルハイブリッド、バイフューエル(ガソリン/CNG)の3つのエンジンが用意されている。

最もパワフルなモデルはストロングハイブリッドで、1.5Lエンジン(最高出力92.45PS/最大トルク122Nm)と電気モーター(最高出力80PS/最大トルク141Nm)を組み合わせたもの。また、マイルドハイブリッドの6速AT車は、オールグリップセレクトAWDシステムが連動する。

マルチ・スズキはインドにおけるビクトリスの価格をまだ発表していないが、現在133万5000ルピー~238万6000ルピー(約225万円~約400万円)で販売されているグランド・ビターラよりも高くなると予想される。

同社では、「100カ国以上の市場へ導入予定」とされているようだが、現段階で日本市場導入は発表されていない。しかし、入手した最新情報によると、すでに日本導入の動きもあるようなのだ。インドから日本という動きは「フロンクス」「ジムニーノマド」でも実現しており、可能性が高いとみて良いかもしれない。



