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今日は何の日?■3代目シビック・タイプRのレースベース車
2007(平成19)年9月13日、ホンダは2008年度から開催される“ホンダ・エキサイティングカップ・ワンメイクレース2008 ~シビック・シリーズ~”に向けて、3代目「シビック・タイプR」をベースにしたワンメイクレースベース車を設定して発売した。

初代シビック・タイプR(EK9型)と2代目タイプR(EP3型)
究極のピュアスポーツを追求する初代シビック・タイプR(EK9)は、6代目シビックのハッチバック「SiR」をベースに、各部を徹底的にファインチューニングして、1997年8月に市場デビューを果たした。

ボディ剛性を高めた上で低重心化し、サスペンションのハードチューニングやブレーキ強化などを施し、さらにスポイラーなどエアロパーツ、軽量アルミホイール、MOMO製ステアリング、レカロ製バケットシートなどが装備された。

心臓部のエンジンは、1.6L直4 DOHC VTECエンジンをチューンナップして、最高出力185ps/最大トルク16.3kgmを発揮し、リッター出力は世界トップレベルの116ps/Lを達成。組み合わせるトランスミッションは5速MTで、レブリミットの8000rpmまで一気に回り、1.6L NA(自然吸気)とは思えない別格の走りを実現した。
車両価格は200万円を切る199.8万円に設定され、走り好きの多くのファンから爆発的な人気を獲得した。

2001年12月には、2代目シビック・タイプRがデビュー。英国生産の欧州向けに設定されていた3ドアハッチバックをベースにして、英国スウィンドン工場で生産したものを日本に輸入するという形がとられた。
排気量を1.6Lから2.0Lに拡大し、専用チューンナップされた2.0L 直4 DOHC i-VTECエンジンは、215ps/20.6kgmを発生。組み合わせるトランスミッションは6速MT。もちろん、足回りやブレーキは専用チューニングされ、初代同様タイプRの名に相応しい装備が継承された。
2代目シビック・タイプRも圧倒的な走りは継承されたが、ベースとなったシビックのファミリカー的なスタイリングの影響でボンネットと全高が高く、精悍さに欠けるという不満が散見された。
パワーアップした3代目(FD2型)

3代目シビック・タイプRは2007年3月にデビューした。先代まではベースモデルに合わせて5ナンバーボディだったが、この代から全幅が1700 mmを超える3ナンバーとなった。

ピュアスポーツモノフォルムをテーマに、空気を滑らかに流す面とシャープなエッジで構成され、一方でスパルタンな印象を醸し出す専用エアロパーツを装備。インテリアでは、それまで採用されていたレカロシートではなく、ホンダオリジナルのホンダR specシートが採用された。

パワートレインは、先代と同じ2.0L 直4 DOHC i-VTECエンジンと6速MTの組み合わせだが、吸排気効率や圧縮比アップなどによって、最高出力225ps/最大トルク21.9kgmまでに向上した。さらに、DBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)の採用により、出力とレスポンスの両立が実現された。

レース用に不要な装備を取り除いたワンメイクレース車

そして2007年9月のこの日、3代目シビック・タイプRをベースにしたワンメイクレース用のベース車が発売された。当該車両は受注生産で、以下のようなレースに不必要な部品類を生産工程から最大限に削減した本格的なレース参戦仕様車で、当然ながらナンバー取得はできず、一般路を走行することはできない。

軽量化のために取り外されている主要な装備は、以下の通りである。
・インテリア:ホンダR specシート、専用小径楕円本革巻ステアリングホイール等
・安全装備:i-SRSエアバッグシステム、ディスチャージヘッドライト等
・快適装備:フルオートエアコン、電波式キーレスエントリー、セキュリティアラーム、イモビライザー、パワードロック等
・その他:助手席および後席、シートベルト(全席)、大型コンソールボックス、インテリアランプ、ルーフライニング、フロアカーペット、内装・内張関連、アンダーコート、車載工具、発煙筒、ホーン等

車両価格は169.05万円、これはベースの3代目シビック・タイプRの283.5万円より114.45万円安価である。
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シビックワンメイクレースは、1981年から2001年まで20年以上にわたり開催された歴史のあるレースで、アマチュアレースの最高峰のひとつである。2002年から2007年まではインテグラ ワンメイクレースに引き継がれ、シビック ワンメイクレースは7年ぶりに2008年に復活したのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。


