
ついにスペシャルパーツ武川(以下・SP武川)からダックス125(JB04/06)用スーパーヘッド4V+Rが発売された。SP武川からは多数のボアアップキットやエンジンチューンパーツがリリースされているが、スーパーヘッド4V+Rはいわば最強のエンジンにすることができるフルスペック仕様。さらにコンボキットなら145ccまで排気量を拡大できる。魅惑のキットの内容をYouTubeで無料動画を配信しているモトチャンプTVの「SP武川の4バルブヘッドでダックス125が猛犬に!」という回で紹介している。今回も動画をダイジェストにまとめてみた。

今回は組み付ける内容ではなくスーパーヘッド4V+Rコンボキットが組み込まれたスペシャルパーツ武川のデモ車で紹介している。エンジンだけでなくマフラーやオイルクーラーなども装備され、最強ヘッドを思う存分楽しめるようカスタムされている。

シリンダーヘッドの左側面には「SPECIAL PARTS TAKEGAWA SUPERHEAD 4VALVE」と最強スペックのエンジンであることが誇らしげに鋳込まれている。これだけでも見る人がみれば「!」となるはずだ。では以下にキットの内容を見てみよう。
スーパーヘッド4V+R コンボキットの内容は?

4バルブヘッドが目玉である今回のキットでは、当然のようにシリンダーヘッドが専用設計になっている。同系エンジン用としてはモンキー125やグロム、CT125ハンターカブ用がすでにリリースされているが、今回はダックス125用としての専用キットとなる。

シリンダーヘッドの燃焼室側(ピストンと合わさる面)を見ると、しっかり4バルブが収まっている。従来の2バルブエンジンより吸排気効率が高まるほか、プラグ位置を燃焼室中央に設計するなど高出力化へのこだわりが貫かれている。バルブはインテーク21.5mm、エキゾースト18.5mmとなっている。

ピストン本体はアルミ鋳造材から削り出した精密設計。軽量でありながら強度・剛性とも高めることを実現している。ヘッド側と合わせて理想的な燃焼室形状を実現しつつ、バルブの逃げをしっかり設けて高圧縮比としている。

4バルブヘッドというとDOHCを思い浮かべるが当該キットはSOHCのままで4バルブ化を果たしている。そのためカムシャフトも両端ボールベアリング支持、ジャーナル部の摩耗抵抗低減などを盛り込まれている。オートデコンプレッション機構を採用して、キックスタート時やミッションにかかる負担を低減している。

吸気系ではビッグスロットルボディを組み合わせているが、こちらはほかのスーパーヘッド4V+R用などと共通の部品でφ34mm仕様。ただしスーパーヘッド用になるためインテークマニホールドは専用設計された。組み込まれているインジェクターも大容量タイプのG1となる。またエアクリーナーはパワーフィルター仕様だ。

純正ECUへカプラーで接続することで燃調を変更することが可能なインジェクションコントローラーであるFIコン・タイプX。今回のスーパーヘッド4V+Rコンボキットは、このFIコン・タイプXの開発が進んだことで商品化されたと言っても過言ではないほど欠かせない存在。ただしタイプXは条件に適合するパソコンやスマートフォンが必要で、ソフトやアプリをダウンロードしてセッティングすることになる。

今回紹介するコンボキットでは排気量が145ccとなり軽2輪登録が必要になる。原付2種のまま楽しみたいなら、ハイコンプピストンキットなどでハイパワー化を狙うのもアリだ。このキットでもFIコン・タイプXを用いることが必要になり、FIコンの開発が急務だったことを物語っている。
スーパーヘッド4V+Rの実力を試乗テスト

今回はSP武川でスーパーヘッド4V+Rコンボキットを組み込まれたダックス125のデモ車に試乗している。その実力は相当なものでテスターの驚く様子が手に取るようにわかる。何しろレーサーのようなレスポンスとパワー&トルクで加速していくから、車両がダックス125であることを束の間忘れてしまうほど。もはやノーマルのダックス125とは完全に別物のエンジンパワーなので、穏やかな走りなど期待してはいけない。完全なるかっ飛びマシンに変身していた。今回の動画ではマフラーなのかエンジン自体からの音量なのか不明ながら、走行中のテスターの音声が不明瞭であることもお伝えしておこう。それほどの迫力あるエンジンということだ。

交通量の少ない道で全開走行を試してみると、両腕でマシンをねじ伏せていないと簡単にフロントが浮いてしまうほどパワフルであることがわかる。しかもタコメーターの針は1万回転を超えてなお回りたがり、パワーの落ち込みを感じさせない。この様子は圧巻なので、ぜひ動画でその迫力を試聴していただきたい。
キット以外に必要なパーツたち

恐ろしくパワフルなエンジンに仕上がるため、キットに含まれない部分にも強化品を組み込むと安心して楽しめることだろう。特にクラッチスプリングやオイルポンプを強化することは必須であり、キットと同時に装着することをオススメする。

排気量が145ccまで拡大されるため、もちろんノーマルマフラーの排気効率では役不足になる。さらに抜けの良いマフラーにすることで糞詰まりを解消して本来のパワーを引き出したい。SP武川ではダックス125用として各種マフラーをラインナップしているから、好みのスタイルに応じて選びたい。

圧倒的な加速力と1万回転以上まで軽々と回るエンジンなので、相応のスケールを備えるタコメーターが必要なのは言うまでもない。SP武川のスーパーマルチTFTメーターならタコメーターはアナログで、速度計などがデジタル表示になるため見やすい。また思う存分にエンジンを回して楽しむなら油温管理は不可欠。コンパクトLEDサーモメーターなども装備したいところだ。

最後になってしまうがオイルクーラーも装備しておきたいポイント。オイル交換サイクルは1000キロが推奨されていて、ノーマルの比ではないほどオイル管理を徹底しなければならない。同時にオイルクーラーを装着することでオイルの劣化を最小限にとどめておくこともエンジン管理には大事なのだ。
