ポルシェ タイカン GT4 RS 市販型プロトタイプ スパイショット

スクープ班はこの7月にポルシェのタイカン ターボ GT改良型の開発車両を目撃したが、今回とらえられたマシンはさらなる高速化が成し遂げられ、ニュルブルクリンクに帰ってきた。

このマシンがヴァイザッハ・パッケージを搭載したタイカン ターボ GTをベースに開発されたことは明らかだが、実はこのモデルにはまだ名前がない。噂によると、ポルシェとしては『タイカン ターボGT4 RS』を有力候補としているようだ。以下、仮にこのマシンをタイカン ターボGT4 RSと呼ぶ。

ポルシェ タイカン GT4 RS 市販型プロトタイプ スパイショット

さて、ニュルブルクリンクのラップ記録に関して、ポルシェほどの執念で挑戦するメーカーも珍しい。同社は驚異的な速さを誇る919ハイブリッドEvoで5分19秒546という自己記録を保持しているだけでなく、同サーキットでこれまでに記録された市販車最速ラップ8つのうち3つも保持している。今年初めにXiaomi(シャオミ)が登場し、EVの最速ラップ記録を塗り替えた時、ポルシェが反撃に出るのは時間の問題と思われた。

シャオミSU7 Ultraが7分4秒957のラップタイムを記録し、タイカン ターボGTの7分7秒55を僅差で上回ったことを受け、ポルシェはついに反撃に出た。

その反撃のためのプロトタイプであるタイカン ターボGT4 RSは、当初、Manthey Racing(マンタイ・レーシング)のプロジェクトとして開発が進められていると思われていたが、現在ではポルシェの正規ラインアップ・モデルの一つになるものと考えられている。

既存のタイカンターボGTとの違いは歴然としている。プロトタイプは、大型のスプリッター、カナード、そして911 GT3 RSにインスパイアされたフロントクォーターパネルのルーバーを備えた新しいフロントエンドを採用しており、4ドア車ゆえに、さしずめ「家族みんなで乗れるGT3 RS」といったところだろうか。

また、アンダーボディには新しいエアロパーツ、後輪には専用エアロディスク、そして以前のものとは異なる大型の固定式リヤウイングが装着されている。さらに、フェンダーアーチはフレア状に広がり、リヤディフューザーも新設計となっている。よく見ると、このプロトタイプにはドライバーシートが1つしかなく、フルロールケージが装備されていることに気づくだろう。

カメラマンの報告によると、ドイツ人レーシングドライバー兼開発ドライバーのラース・ケルンがステアリングを握り、9月10日にニュルブルクリンク記録更新に2度挑戦したが、どちらも悪天候に阻まれ、現在、シャオミSU7 Ultraが保持している量産電気自動車のラップレコード、7分4秒957を抜くことはできなかったという。

新しいエアロパーツに加え、ポルシェのエンジニアたちはタイカンのパワートレインを、通常のタイカン ターボ GTの1019ps、あるいはローンチコントロール作動時の1092psを超えるパワーへと引き上げようとしていると考えられている。もしこれが事実であれば、タイカン ターボ GT4 RSはニュルブルクリンクで再びトップに立つために必要なパワーを獲得し、フルスロットルで6秒台を叩き出すことは容易に想像できる。

ポルシェ歓喜の瞬間は年内にも実現する可能性があるだろう。