ロイヤルエンフィールド・クラシック650……94万9300円~

2種に大別できる650ccパラレルツイン
2025年9月から日本市場への導入が始まったロイヤルエンフィールドのクラシック650は、すでに5機種が存在する650ccパラレルツインシリーズの最新作にして、単気筒を搭載するクラシック350の兄貴分である。
もっとも、同社が販売するモデルの大半は昔ながらの雰囲気を備えているので、新型車の立ち位置があまりピンと来ない人がいるんじゃないだろうか。そのあたりを踏まえて、まずはシリーズの概要を記してみたい。

ロイヤルエンフィールドの650ccパラレルツインシリーズは、ダブルクレードルフレームのツインプラットフォーム(INT650、コンチネンタルGT650、ベア650)と、“く”の字を描く後半部が特徴的なダイヤモンドフレームのクルーザープラットフォーム(スーパーメテオ650とショットガン650)に大別できる。

そしてクラシック650は後者に該当するのだが、世の中には“ブリティッシュクラシックの王道と言うべき車両が、なぜクルーザー系?”という疑問を持つ人がいるだろう。

その理由は、デザインやパッケージング、ライディングポジションなどを考慮したからのようだが、伝統に対するこだわりもあったに違いない……と、僕は感じている。
何と言ってもクルーザープラットフォームのダイヤモンドフレームは、1950~1960年代の同社が販売していたツインシリーズ用とよく似ているのだから(ツインプラットフォームの骨格は、1950~1970年代にイギリスで名を馳せた、フレームビルダーのリックマン的)。

もっともクルーザープラットフォームを選択したため、クラシック650の車体は重くて安定指向である。以下に記す重量・軸間距離・タイヤサイズを見れば、既存の5機種とクラシック650の方向性が理解できるだろう。
●INT650……………………213kg・1398mm・前後18インチ
●コンチネンタルGT650…211kg・1398mm・前後18インチ
●ベア650…………………214kg・1460mm・19・17インチ
●スーパーメテオ650……244kg・1500mm・19・16インチ
●ショットガン650………240kg・1465mm・18・17インチ
●クラシック650…………242kg・1475mm・19・18インチ
濃厚なクラシックテイスト

同じプラットフォームを採用しているスーパーメテオ650・ショットガン650と比較すれば、車高は上がっているけれど(シート高と最低地上高は、スーパーメテオ650:740・135mm、ショットガン650:795・141mm、クラシック650:800・154mm)、基本的な乗り味はクルーザーだろうな……。試乗前の僕は、そんなことを考えていた。

ところがクラシック650は、スーパーメテオ650・ショットガン650とはまったく異なる特性を構築していただけではなく、既存の5機種以上に濃厚なクラシックテイストが味わえるバイクだったのだ。

と言うのも、まずシートに跨って走り出した段階で、視界に入る計器類やナセルタイプのヘッドライトカバーが、ロイヤルエンフィールドの伝統を主張してくるし、オーソドックスでありながら、現代のロードバイクの基準だとステップ位置が前方で膝の曲がりが緩やかなライディングポジションも、旧車的な雰囲気に貢献する。

ただしそれ以上に重要な要素は、フロント19インチ/リア18インチのタイヤだろう。と言っても、既存の5他機種のタイヤサイズに問題があったわけではないのだが、昔ながらの上質で優しいハンドリングが味わえるという意味で、やっぱり19インチ/18インチは侮り難い資質を備えているように思う(1950~1960年代の同社製ツインシリーズは、前後19インチが定番だった)。
あえてバランサーを1軸式としたエンジン

なお現代のネオクラシック系ツインの基準で考えると、クラシック650を含めたロイヤルエンフィールドのパラレルツインは排気量が控えめである。とはいえ、バランサーを1軸式としているからだろうか(クランクシャフトの位相角が270度のパラレルツインは、2軸式が一般的)、2気筒ならではの主張は十分に伝わってくるし、その一方で高回転域で不快な振動は発生しない。

もっとも今後の排気ガス規制を考えると、排気量が大きくなる可能性はありそうだし、個人的にはかつてを再現する形でロングストローク型を作って欲しい気はするけれど(1950~1960代の同社製ツインが全車ロングストロークだったのに対して、現在の650ccパラレルツインはショートストローク型の78×67.8mm)、このエンジンは古き良き時代を彷彿とさせる味わいと現代的な扱いやすさを、絶妙の塩梅で両立しているのだ。
クラシック650の価値

というわけでクラシック650に好感を抱いた僕だが、その一方で、スポーツ指向のライダーには車重が30kgほど軽いツインプラットフォームのほうが向いている気がするし、足つき性を重視するライダーはスーパーメテオ650かショットガン650に軍配を上げると思う。でも650ccパラレルツインシリーズで最も往年のロイヤルエンフィールドの雰囲気が味わいやすいのは、伝統的な要素を随所に採用したクラシック650なのだ。

ライディングポジション(身長182cm 体重74kg)
ディティール解説
主要諸元
エンジン形式:空冷4ストローク並列2気筒SOHC4バルブ
ボアストローク:78mm x 67.8mm
排気量:647.95cc
圧縮比:9.5:1
最高出力:34.6kW (47ps)@ 7,250rpm
最大トルク:52.3Nm @ 5,650rpm
アイドリング回転数:1,200rpm ± 100rpm
エンジン始動方式:エレクトリック・スターター
潤滑方式:強制潤滑方式
エンジンオイルグレード:100%化学合成油10W-50
クラッチ:湿式多板
トランスミッション:6速リターン式
燃料供給システム:フューエルインジェクション
フレーム型式:スチールチューブラー・スパインフレーム
フロントサスペンション:正立式テレスコピックフォーク/インナーチューブ径43mm
フロントホイールトラベル:120mm
リアサスペンション:ツインショック
リアホイールトラベル:90mm
全長×全高×全幅:2,315 × 1,124 × 900mm
ホイールベース:1,475mm
最低地上高:154mm
シート高:800mm
燃料タンク容量:14.8リットル
装備重量:242kg
ブレーキ& タイヤ
タイヤサイズ:フロント 100/90-19、リア 140/70 R18
フロントブレーキ:直径320mmシングルディスク+ツインピストン・ブレーキキャリパー
リアブレーキ:直径300mmシングルディスク+ツインピストン・ブレーキキャリパー
ABS:デュアルチャンネルABS














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