一時停止違反
2輪車、4輪車を問わず、2024年(令和6年)中における道路交通法違反(点数告知に係る違反を除く。)の取締り件数は全体で420万4155件。なかでも、117万7924件で最多だったのが「一時停止違反」だ。

これは、信号のない交差点に設置されている「止まれ」の標識や停止線、踏切の手前など、法律で一時停止を義務づけられている場所で一時停止をしなかった場合の違反行為だ。とくに、この場合では、停止位置となる停止線の直前で停まらず、超えてしまうことで違反となるケースも多い。
また、バイクの場合で気をつけたいのが、足をしっかりと地面に着け完全に停止しないと、違反になる場合があることだ。よく、停止線の手間で足をちょんちょんと付きながら完全停止しないライダーも見かける。また、バイクの操作に慣れたライダーなどのなかには、停止線直前で足を着かず、バランスを取って停止するような人もいるが、これらは違反となるので悪しからず。

なお、もし一時停止違反で捕まると、バイクの場合は以下の罰則を課せられる。
【指定場所一時不停止等違反の罰則(バイクの場合)】
反則点数:2点
反則金:二輪車6000円、原付5000円
【踏切不停止等違反(バイクの場合)】
反則点数:2点
反則金:二輪車7000円、原付6000円
スピード違反
2024年(令和6年)中の交通取締り件数のワースト2位は、84万7378件の「最高速度違反」、いわゆるスピード違反だ。
基本的に、公道における最高速度は、一般道路の場合60km/h(原付は30km/h)、高速道路は100km/hなのはご存じの通り。ただし、一般道では、国道などの幹線道路を除けば50km/h以下に制限されていることが多いので注意したい。また、高速道路でも、一部で120km/hの区間がある一方、80km/hや70km/hなど、100km/h以下に制限されている場所もあるため、こちらも十分注意したい。

なお、一般道で30kmオーバー、高速道路で40kmオーバーで検挙されると赤キップ(刑事罰の対象)を切られることとなり、「免許停止」または「免許取り消し」となる。さらに、刑事処分(6ヵ月以下の懲役刑、または10万円以下の罰金刑)が科せられることになり、前科も付くので注意したい。
速度超過の罰則は以下の通りだ。
【速度超過の罰則(バイクの場合)】
・超過速度15km未満→反則金:二輪車7000円/原付6000円、反則点数1点
・超過速度15km以上20km未満→反則金:二輪車9000円/原付7000円、反則点数1点
・超過速度20km以上25未満→反則金:二輪車1万2000円/原付1万円、反則点数2点
・超過速度25km以上30km未満→反則金:二輪車1万5000円/原付1万2000円、反則点数3点
・超過速度30km以上(一般道)→二輪車・原付共に赤キップ(刑事罰の対象)、反則点数12点
・超過速度30km以上35km未満(高速道路)→反則金2万円、反則点数3点(二輪車の場合)
・超過速度35km以上40km未満(高速道路)→反則金:3万円、反則点数:3点(二輪車の場合)
・超過速度40km以上(高速道路)→赤キップ(刑事罰の対象)、反則点数12点(二輪車の場合)
なお、1回の違反でも違反点数が6点以上になる場合は、即「免許停止(免許の効力停止」となる。いわゆる「一発免停」だ。前歴のない人の場合で、過去3年間の累積違反点数が6〜8点で「30日免停」、9〜11点で「60日免停」、12~14点で「90日免停」、それ以上になると「免許の取り消し」処分となる(点数により取り消し年数は変わる)ので注意したい。

通行禁止違反
2024年中に交通取締り件数が多かった違反の第3位は、55万1589件で「通行禁止違反」。バイクの場合でとくに注意したいのは、「二輪車通行禁止区間」だ。
日本国内の道路には、クルマ(四輪車)は通行できても、バイク(二輪車)が通行できない区間はけっこうある。ツーリングで観光に行った際、二輪車の通行が規制された道路や橋、トンネルなどに遭遇し、遠回りしなければならなかったり、目的地にたどり着けなかったという経験を持つ人もいるだろう。

通常、通行できない区間の手前には「二輪車通行禁止」の標識があるが、うかっかり見落としてしまったり、前のクルマについていって気づかずに侵入してしまい、取り締まりを受けてしまうケースも考えられる。
やっかいなのは、各区間で規制対象となるバイクの条件がさまざまなこと。原付のみ、125cc以下、250cc以下、すべての排気量のバイクなど、場所により規制される排気量などが異なるため、傾向がつかみづらく、うっかり間違って入りこむ危険性が高い。
とくに、都市部のオーバーパスやアンダーパス、観光スポットなどでは橋などに2輪通行禁止の区間などがある場合が多いので注意したい。
なお、通行禁止違反で捕まると以下の罰則となる。
【通行禁止違反の罰則(バイクの場合)】
反則点数:2点
反則金:二輪車6000円、原付5000円
信号無視違反
2024年中に交通取締り件数の多かった違反の第4位は、40万4034件で「信号無視違反」。ご存じの通り、信号機の色は、「青(進め)」「黄(注意)」「赤(止まれ)」。また、点滅の場合は「赤点滅=一時停止後に進む」、「黄点滅=注意して進む」という異なる意味になる。

この違反で最も典型的なのが、「赤」で停止線の手前で停まらず超えてしまうこと。一方、判断が分かれるのが、黄色の時だ。基本的に、黄色では、次に変わる赤に備え、注意しながら停まる行動を取り始めるのが正解だが、「急ブレーキでないと止まれないとき」「停止すると後ろから追突されそうなとき」には、黄色でも交差点を通過してもいいことになっている。
信号機が黄色のときは、こうしたグレー領域があるため、なかには、黄色になると加速するドライバーやライダーもいるが、危険な行為なので絶対にやめるべきだ。とくに、交差点内は事故が多発することが多いエリア。何が起こるが分からない。いつでも止まれるよう、つねに余裕を持った運転を心がけたいものだ。

【信号無視違反の罰則(バイクの場合)】
反則点数:2点
反則金:(赤色等)二輪車7000円、原付6000円/(点滅)二輪車6000円、原付5000円
携帯電話使用等違反
2024年中に交通取締り件数の多かった違反では、「携帯電話使用等」が19万6894件で第5位。最近は、バイクにスマホホルダーなどを装着し、走行中にナビアプリなどを使うライダーも増えてきたが、この行為自体は違反ではない。

ただし、走りながら「スマホを手に持って通話」したり、「スマホの画面を注視」する行為、ナビの設定変更やメッセージ確認など「スマホを操作する」ことも違反となる。とくに、スマホ画面の注視は、時間に関係なく、警察官の判断で違反となるので注意したい。
なお、バイクを停めてナビアプリの設定をする「停車中のスマホ操作」や、ブルートゥースのヘッドセットやインカムを使った「ハンズフリーでの通話」に関しては、規制の対象外なので違反とはならない。ただし、走行中にスマホホルダーからスマホが落ちたり、ホルダー自体がバイクから外れると危険だ。取り付けには十分に注意しよう。

なお、運転中にスマホを手に持って通話したり操作する行為、画面を注視する行為などは「携帯電話使用等(保持)違反」となり、以下の罰則が科せられる。
【携帯電話使用等(保持)違反の罰則(バイクの場合)】
反則点数:3点
反則金:二輪車1万55000円/原付1万2000円
また、走行中のスマホ操作により事故や危険な状態を引き起すなど交通の危険を生じさせた場合、「携帯電話使用等(交通の危険)違反」となり、刑事罰の対象となる。違反点数は6点で、前歴がなくても即座に免許停止だ。また、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることになる。
【関連リンク】
内閣府「令和7年交通安全白書」第1編 陸上交通 第1部 道路交通
https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r07kou_haku/pdf/zenbun/1-1.pdf
