走りのパーツブランドHKSがボディキットの販売に至るまで
日本が誇るパワーパーツビルダーとして名高いHKSは、長らく外装パーツを作ってこなかった。エンジン本体はもちろん、その周辺機器から駆動系部品、そしてサスペンションに至るまで、数多くの製品を揃えつつもだ。
自社製品として手掛ける部品は全て「走り」に関わるものに。それはいわばポリシーとも呼べるものだ。ファッションアイテムに終始するかつてのエアロパーツ市場では、なかなか製品化につながらなかったとも言える。
製品化の気運が生じ始めたのは、後付けの外装部品が明確に走りの違いを生むことが既成事実として浸透し出した頃だ。実際に、今や新車の状態からその傾向は顕著。トヨタのGRシリーズなどは、そのシルエットからして、もはやレースカーとも言えるほどだ。
実際にHKSでも、外装部品による走りへの貢献は、タイムアタック用のサーキットマシン製作で見識を深めていた。時代が進み、ようやくにして製品化のタイミングが合ったということだろう。発売開始以降、すでに対応車種も広がっている。
風洞実験で空力効果も実証済の3D CADによるモデリング
ポリシーは変わらず、求めるところは機能美にある。3D CADによるモデリングは空力解析を経たもので、実際にその効果は風洞実験でも確認済。得られる効能は、空気の乱流をより緻密に整えて走行性能の安定性に寄与するというものだ。
実走でのテスト走行は、サーキットにおいて200km/hを超える速度域でも繰り返し行われており、高い速度域での強度はもちろん、タイヤの限界領域でもコントロール性を高めるなど、その効果は非日常域に達するものだ。
とはいえ、路面に押さえつけるダウンフォース効果というより空気の整流に重きを置くために、高速道路の走行時でも体感レベルにあるという。いまや120km/h制限の道路も増えつつあるなか、クルーズ中はもちろん制動時にもスタビリティを生むその安心感は他の部品に代えがたいものがある。

フロントバンパーの場合、下部の出っ張りがフロア下に流れる通過風を整流させてリフト効果を抑止。安定した下向きの力をを得ることができる。

取り付けにあたってのハードルも低く、身近なところでオーダーも可能
それでいて、保安基準内に収まる完全リーガルなカスタムメイクであることにも注目したい。取り付けに際しても切った張ったの改造は必要なく、装着車に合わせた塗装こそ必要ながら、付属のビスと両面テープで取り付けられるなど、導入ハードルは低い。購入に際しても、スーパーオートバックス店はもちろん、GRガレージを始めとするカーディーラーへの納入実績も多いという。
ホンモノがこんなに身近に。往年のファンにとっては隔世の感があるかもしれない。

バンパーの下側、いわゆるリップ部分を足す格好のフロントアンダー型。+45mmの出幅がある。

真っ直ぐなようでいて、車両前後で出幅が微妙に異なるため、車両横に立ったときに変化を確認しやすくなっている。

複雑な形状が取られる純正リヤスポイラーの左右下端に添えられるアドオンタイプ。

純正のルーフスポイラーとの二段構えとなるものの、純正アンテナより低い位置に設定されるために全高変化はナシ。
