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今日は何の日?■アルテッツァの後継としてグレードアップしたレクサスIS
2005(平成17)年9月28日、1ヶ月前に日本で開業したレクサスブランドから「レクサスIS」がデビューした。レクサスISは、FRスポーツセダンとして人気を博した「アルテッツァ」の実質的な後継車だが、日本のレクサスブランド車としては、「レクサスGS(旧アリスト)」、「レクサスSC(旧ソアラ)」に続く第3弾である。

AE86の後継モデルとして登場したアルテッツァ
AE86(レビン/トレノ)の販売終了以降、手頃な価格のライトウェイトFRスポーツを望むクルマ好きの声に応える形で登場したのが、1998年10月にデビューしたスポーツセダンのアルテッツァだ。

アルテッツァは、前後のオーバーハングを切り詰めた比較的コンパクトなボディに、エンジンをフロントミッドシップして重心を中心付近に近づけて、FRらしい切れの良い走りを実現。インテリアもスポーツモデルらしく黒を基調とし、バケットシートが装備された。
パワートレインは、最高出力160ps/最大トルク20.4kgmを発揮する2.0L 直6 DOHCエンジンと4速ATの組み合わせ、加えて210ps/トルク22.0kgmの2.0L直4 DOHCエンジンと6速MTおよび5速ATの組み合わせが用意された。

アルテッツァは久しぶりのFRスポーツセダンとして注目を集め、それなりの人気を獲得したが、人気は発売中よりも中古市場でクルマ好きから人気を獲得するという皮肉な結果に終わった。
日本でレクサスブランド開業
1970年から1980年代にかけて、日本車は優れた燃費と排ガス性能、低価格で米国市場を席巻したが、それはあくまで庶民派の小型車のリーダーであり、日本車に高級車のイメージは皆無だった。
そのイメージを払拭し海外の高級車メーカーに対抗するため、まず1986年にホンダが米国に「アキュラ」を、1989年にはトヨタが「レクサス」、日産が「インフィニティ」といった海外向け高級車ブランドを立ち上げた。

レクサス立ち上げ時の最初のモデルは、大型高級セダン「LS400」で、日本では「セルシオ」として販売され日米で人気を獲得した。レクサスは米国で高級車ブランドとして順調に立ち上がり、ブランド構築に成功した。
2005年8月30日には、日本でもレクサスブランドが開業された。国内でメルセデス・ベンツやBMWなどの欧州車の人気が高まったことから、トヨタの国内高級セダン市場を海外ブランドから守るためだった。

開業と同時に、「レクサスGS(2代目と3代目まで国内では「アリスト」で販売)」と「レクサスSC(3代目と4代目まで「ソアラ」で販売)」が発売され、その1ヶ月後の9月のこの日にモデルチェンジした「レクサスIS(アルテッツァ)」が発売された。この時点で、アルテッツァの名は、トヨタのラインナップから消えた。

プレミアムなスポーツセダンに変貌したレクサスIS

レクサスISは、日本ではアルテッツァとして販売されていたモデルの後継車ではあるが、コンセプトは大きく異なっていた。ボディサイズは、アルテッツァと較べて、全長で175mm、全幅で75mm、全高で20mm、ホイールベースは2730mmと大きくなり、レクサスブランドらしく大きくプレミアムなスポーツセダンへと変貌した。

スタイリングもレクサスらしい新しいデザインとなり、扇子をイメージした細いクロムメッキに縦バーで構成されたラジエターグリルの中央にはレクサスの大きなエンブレムが鎮座している。インテリアについても上質で快適さが追求され、特に後席の座り心地の評価が高く、インパネも高級感溢れる仕上がりとなっていた。

国内向けレクサスISは、「IS350」と「IS250」の2種が設定された。IS350は最高出力318ps/最大トルク38.7kgmを発揮する3.5L V6 DOHCエンジン、IS250には215ps/26.5kgmの2.5L V6 DOHCエンジンを搭載。トランスミッションは6速AT、駆動方式はFRが基本だが、IS250には4WDも用意された。

車両価格は、標準グレードで390万円(IS250)/480万円(IS350)に設定。アルテッツァの最高級グレードと較べても100万円以上高くなっていた。


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レクサスISは、その後2007年にスペシャルモデルとして423psを発揮する5.0L V8エンジンを搭載した「レクサスIS F」や2009年5月にコンバーチブル「レクサスIS250C」も追加され、プレミアムなスポーツセダンとしての地位を確立した。ただし2025年11月にはガソリン車の生産を終了し、ハイブリッド「レクサスIS300h」のみのラインナップになることが公表されている。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。