気持ち良く、そして速く。

Z31マニアが所有するこだわりの愛機!

時は1980年代後半。全国各地でストリートゼロヨンが盛り上がっていた頃だ。速いだろうと思って手に入れたMZ11ソアラ2.8GTの戦闘力が今一つで、それを友達に売って購入した初めてのZ31がVG30ETを積む前期300ZXだった。

「正直、Z31の形はあまり好きじゃなかったんですよ。でも、当時はとにかく速いクルマが欲しくて。その300ZXはTD07タービンが組まれた400ps仕様でしたね」とオーナーであり、うーたんオートの代表を務める藤田さんが振り返る。

ところが、程なくしてBNR32が登場。ストリートゼロヨンを始め、あらゆるステージで圧倒的な速さを見せ付け、VG30ETでは敵わないことを痛感した藤田さん。同時にRB26DETTへの思いも募らせていった。

「30年くらい前はZ31も安く買えましたからね。その頃から常に2~3台は手元にありました。もちろん、RB26に対する憧れはずっと持ち続けていて、だったらZRベースで一台作ろうか?と思ったんですよ」。

そうして生み出されたのが今回の取材車両だ。ベースは1985年式200ZR-Ⅱ2シーターで、車体番号が2ケタという超初期モデルになる。

まず外装は、フロント周り一式を後期ZR用に交換。サイドステップとリヤフェンダーはアニバーサリー仕様とされる。ボディは塗料を独自に配合したオリジナルのパールホワイトで全塗装され、光の加減によって淡いブルーを浮かび上がらせるのが藤田さんの拘りだ。

エンジンルームに収まるRB26DETTは基本ノーマル。エアクリーナーが交換され、前置きインタークーラーと岐阜のグローバルによるワンオフマフラーが導入される程度に留まる。

「というのも、本格的なチューニングを始める前に、まずはベースをキッチリ仕上げたいんです。けど、なかなか納得できるレベルにまで届かなくてね」と藤田さんが笑う。

エンジン換装に合わせて、駆動系はOS技研メタルツインプレートクラッチと機械式LSDで強化。ミッションは純正5速MTが組み合わされる。

前置きインタークーラーはBNR32用を流用。「パイピングを取り回ししやすくするため、コアを上下逆さまにセットしているのがポイントですね」と藤田さん。エンジンの制御を行なうF-CON Vプロのセッティングは、藤田さんとの付き合いの長いグローバル永井さんが担当した。

ビルシュタイン車高調が組まれた足回りのセットアップは岐阜のノーティーベアーに依頼。フロントブレーキはブレンボ製F50キャリパーキットで強化される。藤田さんいわく、「本体シルバーでAMGのロゴが入っているのは、以前AMG E55で使われてたからなんです」とのこと。

ステアリングホイールはナルディクラシックに交換されるけど、シフトノブは藤田さん拘りの純正。Aピラーのブースト計、メーターナセル左右の油温計と排気温計は、当時モノのトラストGReddy製がセットされる。

「気持ちよく快適に走れるようにするのが先。パワーを上げて速くするのは、それからですね」と言う藤田さんは、実はもう一台Z31を所有している。グローバルに細かい部分の手直しを依頼しているそれは、後期ZX2シーターのRB25DET換装仕様。どこかのタイミングで、そちらも是非とも紹介したい!

⚫︎取材協力:うーたんオート 愛知県名古屋市西区長先町21 TEL:052-509-5055

「快適×高性能」日常に溶け込むRB30改3.1L仕様のS31Zが魅力的すぎる!

往年のZに現代の知恵を注ぎ込み、快適性と獰猛な走りを両立させた一台がここにある。RB30ブロックにRB26ヘッドを組み合わせ、3.1L NAへと進化を遂げたハートは圧倒的な存在感を放ち、足回りやブレーキ、そしてパワステやエアコンまでもが最新仕様にアップデート。クラシカルな佇まいに潜むのは、日常に馴染みながらも牙を隠したスーパーストリート仕様のサンマルZだ。