いいスポーツカー(スペシャルティカーも?)ゆっくり走っても楽しい

ホンダ・シビックタイプR デビュー当時の価格は499万7300円だったが、このたび、プレリュードと同じ617万9800円のレーシングブラックパッケージが買えるようになった。

シビックタイプRがいいクルマなのは、誰でも知っている。高いボディ剛性、パワフルで気持ち良く回るエンジン、望外の乗り心地の良さ……価格がデビュー当時のまま499万7300円のままなら、文句なしにシビックタイプRを選ぶのだが、ホンダもようやくその価格がバーゲンプライス過ぎたことに気づいてしまったらしい。新価格(レーシングブラックパッケージ)はプレリュードと同じ617万9800円となった(それでも全然高いとは思わない)。

プレリュードとシビックタイプRは、どちらもトップレンジという位置づけだ。

シビックタイプRは、かなり長く試乗させてもらった経験が数回ある。そこで、感じるのは、ゆっくり走っていても楽しいということだ。6MTの操作も楽しいし、正確な舵も気持ちがいい。筆者のようにサーキット走行をする機会が(仕事以外では)ない、また週末毎に峠に走りに行かないドライバーにとっても、シビックタイプRは魅力的だ。

シビック タイプRは”ファミリーカー”になり得るか?500kmをアクセルを踏み込まずに走った燃費は? 乗り心地は? | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

アクセルをそっと踏んで500km 2022年9月に登場したホンダ・シビック タイプR。型式はFL5だ。車両価格は499万7300円。ハイブリッド(e:HEV)のシビックが394万0200円だから、ほぼ(たったの)100万 […]

https://motor-fan.jp/article/131552/

同じ価格なら、選ぶべきはプレリュード? シビックタイプRか?

では、同じ価格なら、選ぶべきはプレリュード? シビックタイプRか?

ホンダ新型プレリュード。価格はシビックタイプRと同じ617万9800円だ。

じつはまだ新型プレリュードを公道で長距離走ったことがない。から、テストコースでのごく短時間の試乗経験からの判断になる。

それでも、プレリュードの走りの楽しさには感銘を受けた。e:HEV(つまりハイブリッド)だから基本的にモーター駆動なのだが、まるで気持ち良く回るエンジンを操っているかのように思わせてくれるS+シフトは、ほんとにすごい。ギミックとわかっていても、ここまで高いレベルまで極めているなら、それはそれで、アリなんだと思わせてくれる。マニュアルトランスミッションの操作とは違うが、パドル操作のレスポンスの良さは、別のドライビングプレジャーがある。

プレリュード 全長×全幅×全高:4520mm×1880mm×1355mm ホイールベース:2605mm
シビックタイプR 全長×全幅×全高:4595mm×1890mm×1405mm ホイールベース:2735mm
プレリュード トレッド:F1625mm/R1615mm
シビックタイプR トレッド:F1625mm/R1615mm

プレリュードの魅力は、そのボディスタイルにある。なにせ、2ドアクーペなのだ。リヤシートは大人が長時間乗るには狭すぎるが、それでも、2ドアクーペしか持っていない豊かさ、贅沢さが感じられる。

いま国産で2ドアクーペ(プレリュードは、厳密にはハッチバックだが)を選ぶとなるとレクサスRC(もうすぐ生産中止)、LC(こちらもモデル末期、それに高価格)、フェアレディZ、マツダ・ロードスターくらいしかない。

プレリュードのコックピット
シビックタイプRのコックピット
プレリュードのフロントシート。運転席と助手席で形状が異なる凝った造りだ。
シビックタイプRのフロントシート。抜群のホールド性だが、真っ赤なのがちょっと気恥ずかしい。

後席にきちんと大人がふたり乗れるシビックタイプR(乗車定員は4名)と比べるとプレリュード(乗車定員は同じく4名)は不利だが、そもそも4人で移動する機会がどのくらいあるのか?

大好きなシビックタイプRだが、最小回転半径の大きさ(つまり取り回し性の)が日常使いには少し難がある。シビックタイプRの最小回転半径は5.9mだ。プレリュードは5.7m。同じ脚周りを使いながらもホイールベースが130mm短いことが奏功して少し取り回しがよくなっている。最低地上高はシビックタイプRが125mmなのに対してプレリュードは135mmだ。

プレリュードの後席。あくまでも+2だが、乗車定員は4名だからいざというときに短時間なら役に立つはず。
シビックタイプRの後席。同じく乗車定員は4名。こちらは、大人が2名、ゆったり乗れる。そして乗り心地もいい。

車幅はシビックタイプRが1890mm、プレリュードが1880mmである。車重はシビックタイプRの1430kgに対してプレリュードは1460kg、ハイブリッドながら1.5トンを切ってきた。

燃費はどうだろう?

プレリュードのシフト。「S+シフト」が話題だ。シフトはボタン操作で行なう。S+シフトボタンの下にドライブモードセレクターがある。
シビックタイプRは、もちろん6MT。シフトフィーリングは抜群にいい。

スポーツモデル、スペシャルティクーペを選ぶのに、燃費の話なんかするなよ、という声もあるだろうが、財布の中身には限度がある。燃費はいいほうがいいのは当然だ。

ファーストカーで使うことを想定すると、年間の走行距離は12000kmくらいになるだろう(筆者はそうだ)。資源エネルギー庁の発表によると9/18のガソリン価格の平均価格は

175.2円/L(レギュラー。ちなみに軽油価格は155.2円/L)
レギュラーとハイオクの価格差は11円程度だから
レギュラーガソリン:175円
ハイオクガソリン:186円で計算することにしよう。

プレリュードのモード燃費は
WLTCモード燃費:23.6km/L
 市街地モード 20.6km/L
 郊外モード 26.1km/L
 高速道路モード 23.5km/L

シビック タイプRの燃費は
WLTCモード燃費:12.5km/L
 市街地モード 8.6km/L
 郊外モード 13.1km/L
 高速道路モード 15.0km/L

つまり、プレリュードは1km走るのに7.46円、シビックは14.88円となる。
1年間12000km走行で燃料代は
プレリュード:8万9520円
シビック タイプR:17万8560円
ということになる。年間の差額は約9万円。5年乗ったら45万円の差がある。

今年の夏は暑かった。ガソリン価格も高かった。21世紀に入ってからの8月末のガソリン価格の推移 | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

1990年の夏、ガソリンは安かった! 資源エネルギー庁の資料でもっとも古いのは1990年8月27日。このとき、 レギュラー:121円/Lハイオク:139円/L軽油:72円/Lだった。いまから思うと、かなり安い!と感じるだ […]

https://motor-fan.jp/headline/1275464/

プレリュードの燃費の良さが際立つ。

ドライブモードはコンフォート/GT/スポーツの3モード(+インディビジュアル)

ちなみに、WLTCモード燃費は、コンフォート/GT/スポーツの3モード(+インディビジュアル)のうちの、GTモードで出したもの、しかもパドル操作は使わないで、だそうだ。つまり、プレリュードを手に入れたら、誰でもWLTCモード燃費(23.6km/L)近くを出せるというわけだ。

というわけで、シビックタイプR vs 新型プレリュード、筆者は結構、プレリュードに傾いている。あとは、新型プレリュードを公道で長距離走って、飛ばさなくても楽しいクルマかどうかを見極めたい。

プレリュードのラゲッジスペース。充分な容量がある。ちなみにクーペスタイルだが、リヤハッチを持つ。
シビックタイプRのラゲッジスペース