MotoGP第17戦日本GPの決勝レースで、ホンダのジョアン・ミルが3位表彰台を獲得した。

ミル&ホンダ、カムバックの3位

ホンダのファクトリーライダーが、今季初めて表彰台に立った。ジョアン・ミル自身にとっては2021年アルガルヴェGP以来の表彰台(当時はチーム・スズキ・エクスター)。ホンダのファクトリーチームにとっては、2023年日本GPでマルク・マルケスが獲得して以来である。

今季のホンダとしては、サテライトチームのヨハン・ザルコがフランスGPで優勝、イギリスGPで2位を獲得して以来、3度目の表彰台となった。

ここ数年、苦戦が続いたホンダだが、今季、特に後半戦に入って少しずつ全体的な結果を上げてきた。日本GPでは初日から好調で、ミルは午後のプラクティスで4番手、チームメイトのルカ・マリーニも6番手、さらにザルコも10番手に入り、Q2ダイレクト進出を決めている。

金曜日午後のこのプラクティスは、土曜日の予選1(Q1)と予選2(Q2)を分ける重要なセッションである。プラクティスでトップ10に入ることができれば、その時点でQ2に進出することが決まる。Q2は、Q1のトップ2を加えた12名のライダーによってスタート位置を決めるセッションである。つまり、Q2に進出した時点で、12番手以上のスタートポジションが決まる。いわば予選前の予選であり、プラクティスの終盤は激しいタイムアタックが行われる。

ホンダのライダー3名がプラクティスでトップ10に入ったのは、今季初めてのことだった。アラゴンGP、イタリアGP、オランダGPはマリーニが負傷欠場したが、それを考慮しても、ホンダのポテンシャルを十分に感じられるプラクティスである。

Q2でも、ミルが2番手を獲得した。ミルにとってはホンダでのベストグリッドであり、ホンダで初めて1列目からレースをスタートすることになった。

土曜日、12周のスプリントレースでは、ミルはレース中盤まで3番手を守っていた。しかし、8周目にマルク・マルケス(ドゥカティ)にかわされて4番手に後退し、4位でゴールした。

「前を走る誰かがミスすることを期待していたけれど、誰もミスをしなかったね。ミスだけが、特にペコ(バニャイア)やマルクと戦う唯一のチャンスだと思う。今日の彼らはまったく別のレベルにいた。最初の数周はペコについていこうとしたけれど、彼はコーナーの立ち上がりが本当に素晴らしくて、そこで差をつけられていたんだ。マルクも同じで、僕をパスしたときそうだった」

だが同時に、ミルは「明日はアコスタや(フランコ・)モルビデリとも戦えるはず」と、決勝レースに期待を寄せていた。

日曜日、24周の決勝レースでは、中盤までは4番手を走っていた。しかし、レース中盤以降にタイヤの消耗によって前を走っていたアコスタが大きくタイムを落とし、ミルは3番手に浮上した。そして、そのポジションでチェッカーを受けた。この3位表彰台がミル自身にとってもホンダのファクトリーチームにとっても待望の結果だったことは、すでに述べた通りだ。

「実際のところ、僕にとっては本当に大変な時期だったんだ。ホンダに移籍すると決めたあの日からね。難しい時期だとわかっていたし、いい結果が出ない時間が長く続くかもしれないということも、その時点ですでにわかっていた。でも、こんなに長い時間になるなんて想像してなかった。実際、本当にすごく大変な時期だったんだよ」

「この表彰台がどんなに素晴らしいのかが想像できると思う。このレースの1周、1周を楽しんだんだ。久しぶりに彼らと戦えたんだからね。それに、チームのためにもすごくうれしい。彼らはこの結果にふさわしいよ。しかも日本で、これ以上ないくらい最高の場所で僕らのカムバックを果たせたんだ。ホンダのためにも心からうれしいんだ」

日本GPにワイルドカード参戦した開発ライダーの中上貴晶は、「ブレーキング、旋回、立ち上がりで全体的によくなってきている。映像で見ても、ミルは非常に乗れていると思います」と語っていた。

日本GPの3位は、ホンダ“完全復活”ののろしと言えるのかもしれない。

決勝レースは、マルク・マルケスに次ぐ3位でゴールしたミル(#36)©Honda Racing Corporation