フルカスタムされたエイプが4MINI人生のスタートだった。

以前の記事で原付バイク、いわゆる4MINIばかりをカスタムして楽しむ長澤勝美さんを紹介した。自宅裏に自分で建てたガレージでコツコツとカスタムを楽しみ、今では20台ものバイクを集めてしまった人だ。そもそもバイクは好きだったけれど、その対象は中〜大型がメイン。高校時代に入手したホンダCBX400Fを今でも所有しているほどだが、7年前にあるきっかけで4MINIにハマってしまった。

とても中古部品で仕上げたとは思えないレベルの仕上がりだ。

そのきっかけが今回紹介するホンダ・エイプ。なぜエイプだったかといえば、当時高校生だった息子さん用に買ったのがエイプだったから。その後、息子さんが4輪免許を取得してクルマばかり乗るようになり、エイプはほぼ乗らなくなった。それならと父である長澤さんが譲り受け、乗ってみることにした。いわば息子さんのお下がりバイクだったのだ。

エンジンはなんと124ccのDOHCにしてある。

当初は大した期待もなく乗り始めたのだが、これが思った以上に走るしコーナリングも楽しい。ただ、排気量的にパワー不足は否めない。それならと得意のカスタムを開始することになったのだ。ピンクナンバーでわかるように排気量は原付2種の範囲に収まるようチューニングしてある。だが、これも当初の仕様ではなく、すでに何機目かよく覚えていないほど仕様変更を繰り返してきた。

ダイレクトなつながりとなる乾式クラッチに変更している。

というのも、やはりチューニングするなら限界を試してみたいから。すると当然、エンジンの寿命は短くなり、何度かエンジンブローを喫している。だから初めから新品パーツを使わず、壊れる前提で中古パーツを何度も入手して組み込んできた。すでに現在は落ち着いているそうで、キタコ製DOHC124ccキットを組み込んでいる。DOHCなので純正より高回転まで回るようになり、もちろんパワフルに変貌している。

キャブレターはFCR28でDOHCエンジンの特性をフルに発揮させてくれる。

パワフルなエンジンに組み合わせるならミッションも変更したいもの。そこでスペシャルパーツ武川製6速クロスミッションを組み合わせつつ、クラッチを同社製乾式クラッチに変更した。ハイパワーエンジンなのでオイルの劣化を防止しつつダイレクトなつながり具合は走りにこだわるならぜひ試したいもの。ここまでイジるなら吸排気系の変更も必須でありキャブレターはFCR28、マフラーはOVERレーシング製GP-PERFORMANCEに変更している。

マフラーはOVERレーシング製GP-PERFORMANCEフルチタン!

タイトルにもあるよう、純正が残されているのはフレームと燃料タンクだけ。パワーユニットをハイパワーにしたため、前後のサスペンションも純正では当然物足りなくなる。そこでフロントフォークはKSR用を流用しつつ、ブレーキはブレンボ製4ポットキャリパーに変更した。もちろんスイングアームとリヤショックも変更してあり、スイングアームはOVERレーシング製のスタビライザー付きとして、リヤショックはスペシャルパーツ武川製を組み合わせてある。リヤブレーキはブレンボ製だが2ポットとしている。

フロントブレーキはブレンボ製4ポットキャリパー。

足元もOVERレーシング製のアルミ鍛造によるGP-SIXに変更してある。フロント2.75J、リヤ3.0Jの12インチ仕様で純正より軽量になりつつ剛性もアップしている。タイヤはブリヂストン・バトラックスでフロントが100/90、リヤが130/80としている。注目してほしいのはタイヤの使い方で、キレイにサイドまで接地させている。コーナリングを楽しんでいることを物語っているのだ。

OVERレーシング製アルミスイングアームにブレンボキャリパーをセット。

エイプをお下がりで手に入れたのが7年前。そこからカスタムを開始して現在は完成形と呼べる姿にまで仕上げた。このバイクがなければ今の長澤さんはないわけで、いかに4MINIの世界への入り口に適していたかを物語る。おそらくエイプではなく別の車種だったら、ここまで熱は上がらなかったのではないだろうか。というのも長澤さんは走らせて楽しいことを重視しているからだ。

セミアップハンドルに変更しつつスペシャルパーツ武川製スーパーマルチDNメーターをセット。

確かにスタイルを楽しむこともカスタムの世界では重視される。けれどエイプの姿はビキニやアンダー、テールカウル、サイドカバーを変更しているものの全く別のバイクのようなスタイルにはなっていない。エイプであることがひと目でわかるスタイルであり、ベースモデルへの愛を感じるのだ。4MINIの世界への扉として、エイプを選んでみることも参考になりそうだ。

塗装含めてオーナー自ら製作された。