簡素なスタイルは初代パンダゆずり

フィアット パンダ ファストバッククロスオーバー 開発車両 スパイショット

初代パンダは、ジウジアーロのデザインにより1980年に登場。
2025年には「パンダ」の名を継承する「グランデパンダ」が欧州で発売され、2026年春には日本市場で発売予定であることが発表されている。

フィアット パンダ ファストバッククロスオーバー 開発車両 スパイショット

そして今、パンダラインナップに新たな章が加わり始めており、現在、欧州でプロトタイプがテスト走行中だ。
それが、日常の実用性と個性的なシルエットを両立させた、手頃な価格のファストバッククロスオーバーであり、ガソリン、マイルドハイブリッド、そして完全電気自動車のパワートレインが用意される予定となっている。

このファストバックは、2024年初頭にコンセプトカーとして初登場し、後にグランデパンダへと進化したハッチバック、そしてSUV、ピックアップトラック、キャンピングカーのスタディモデルと並んで公開された。

カモフラージュテストで発見されたプロトタイプは、コンセプトカーに比べて控えめな印象で、その華やかさは幾分か抑えられ、より伝統的なプロポーションと簡素化されたキャビンへと移行している。

フロントエンドは、ピクセル調のグラフィックが特徴的な角張ったLEDヘッドライト、密閉されたグリル、そしてバンパー下部に配置されたシングルインテークなど、グランデパンダとの類似性がはっきりと見て取れる。

サイドビューでは、長いホイールベースと大径アルミホイールが伸びやかなスタンスを生み出しており、ウィンドウの形状はシトロエンのデザインからの影響を強く感じさせるが、ファミリーの繋がりを考えれば、それも納得できるだろう。

リアセクションでは、ファストバックの曲線の大部分は重厚なカモフラージュで覆われているが、高い位置に取り付けられたスリムなテールライトと、バンパーに配置されたナンバープレートは確認できる。
また、車体下部に控えめに配されたエキゾーストパイプは、このプロトタイプが内燃機関を搭載していることを示唆している。

そのシルエットにもかかわらず、この車は2022年から南米で販売されているフィアット・ファストバックとは関連性がない。
その代わりに、インド、ブラジル、アルゼンチン、インドネシアなどの市場向けに2024年に発売されたステランティスの別の製品、シトロエン・バサルトとDNAを共有している。
バサルトはC3ハッチバックとC3エアクロスSUVと機械的に繋がっているが、よりクーペのような形状をしているのが特徴だ。

ファストバッククロスオーバーは、グランデパンダ、欧州市場のシトロエンC3とC3エアクロス、そしてオペル・フロンテーラと同じステランティスのスマートカープラットフォームを採用する。

エンジンは、標準ガソリンとマイルドハイブリッドの両方で1.2リットルターボチャージャー付き3気筒エンジンに加え、フルEVバージョンも用意されると予想されている。
標準設定は前輪駆動だが、計画中のグランデパンダ4×4に倣い、全輪駆動バージョンが登場する可能性もありそうだ。

フィアットは、パンダファミリー全モデルを2027年までに発売すると発表している。
日本導入が予定されているグランデパンダとともに、人気の高いクロスオーバーにも期待したい。