日本文化が大好きな創刊者

「CURVES(カーブス)」という雑誌をご存知だろうか!? これは「道」をテーマにした雑誌で、世界の美しい道、特徴的な道をアーティスティックに切り取った美しい写真が満載されている。基本的に一冊につきひとつの国・地域となっており、今までに25冊が発行されている。その最新刊のテーマに日本が選ばれたことを記念して、創刊者のステファン・ボグナー氏が来日した。
ステファン・ボグナー氏は1968年生まれ。工業デザイナーとしてデザインオフィスを経営しているが、道をテーマにした雑誌を作りたいと思い、協力を求めてポルシェ社を訪ねたそう。「最初はほぼ門前払いでした」とボグナー氏。しかし3回目でやっとポルシェのOKをもらい、2011年にCURVESを創刊。以降、ポルシェに乗って各国の道を走破している。
日本の文化や製品が大好きだというボグナー氏。「子供の頃からウォークマンやカメラ、キーボードなど、日本製のものを愛用していました。もちろん日本のアニメや映画、音楽、食事も大好きです」。インスピレーションの7割は日本から得ている、と笑顔を見せるボグナー氏の日本愛はどうやら本物のようだ。
移動プランは基本的に紙の地図で


そんなボグナー氏にとってCURVES日本版の制作は念願だったよう。ポルシェジャパンの協力を得て、北海道から青森、日光や能登方面を約10週間かけて走ったという。基本的に紙の地図を使ってプランを練るが、すべてを計画せずにある程度はフリーで動くのがボグナー氏流のやり方とのことで、日本でもたまたま出会った人に素敵な道を教えてもらったこともあったそうだ。
山道から都会の雑踏まで



完成したCURVES日本には、自然に囲まれたドライブに最適なワインディングロードから、東京の大都会の道まで、実に多くの日本の道を美しくとらえた写真が掲載されている。写真はドローンを駆使して上空から撮ったものも多く、走ったことがある道もクルマから見るのとは違った表情を見せてくれているのが面白い。見ていて感じるのは、日本にはこんなに美しい道があるんだな、ということ。眺めていると、ぜひここを走ってみたい! という思いにかられてしまう。
また道だけでなく、ボグナー氏が旅の途中で巡り合った町や人、食事なども掲載されている。そして写真と共に彼が辿った道に町、出会った人々やお店などを綴った紀行文が掲載されていて、こちらも非常に読み応えがある。また日本を訪れ、今回は行けなかった関西方面、そしてもっと南もぜひ走ってみたい、と語るボグナー氏。CURVES日本Part.2が完成する日も近そうだ。
CURVES日本は全国のポルシェ正規ディーラーと東京・代官山TSUTAYAで入手可能だ。

REPORT/永田元輔(Gensuke Nagata)
PHOTO/ポルシェジャパン、GENROQ