かつてポルシェが販売したフラッグシップ、918スパイダーの実質的後継モデルが計画されているとの噂を入手、このほど早速、予想CGが制作された。

ポルシェ 960 GT RS 予想CG

918スパイダーはカレラGTの後継モデルとして2010年に初公開、2013年に市販化され、2015年まで僅か3年間製造された。当時、最高出力608psを発揮する4.6L V8エンジンとトリプル電気モーターを積み、システム総合出力887psを誇っていた。

ポルシェ 960 GT RS 予想CG

今回、オランダのUgur Sahin(ウグル・サヒン)デザインから提供された予想CGは仮に“960 GT RS”と名付けられ、GTの快適性とハイパーカーのアグレッシブさを融合。デザイン要素は、918スパイダーと現行911シリーズの両方を彷彿とさせるものとなっている。

ポルシェは2023年に完全電気自動車のハイパーカー、“ミッションX コンセプト”を公開し、これは918スパイダーの後継車として広く期待された。しかし、ポルシェは現在もミッションXの生産計画について沈黙を守っている。明確な理由は明らかにされてはいないが、フェラーリF80やマクラーレンW1といったライバルたちがハイブリッドに注力している現在、完全電気自動車でフラッグシップモデルを作ることはより厳しい市場環境に直面しているのは確かだろう。この沈黙は意図的なものかもしれない。

ミッションX量産化の話が途絶えた現状をふまえ、ウグル・サヒン・デザインが918スパイダーの後継モデルとして提案・製作したのが、今回のデジタルプレビュー“960 GT RS”だ。内燃機関エンジンを搭載し、完全電気自動車のミッションXとは全く異なる方向性を描いている。

同デザインスタジオによると、960 GT RSは原点回帰のハイパーカーではなく、「長距離走行の快適性と息を呑むようなパフォーマンスを両立した」ハイパーGTとして想定したという。ポルシェの新たなフラッグシップモデルにふさわしい、エキゾチックな外観を誇っている。

フロントエンドは918スパイダーを彷彿とさせ、大きく開いたエアインテークの前に設置された細いLEDが際立つ。また、下端には鋭いスプリッターが伸び、ノーズに力強いスタンスを与えている。側面では、大きく広がるエアインテーク、アグレッシブなサイドスカート、そしてフロントアーチ後方には大きくえぐられたエアアウトレットが配置されている。

リヤセクションでは、数十もの小さな穴が配置される精巧なエンジンカバー、展開式スポイラー、そして現行ポルシェ911に見られるものと同様のLEDライトバーなどが確認できるほか、大型ディフューザーとデュアルテールパイプも追加されており、内燃機関エンジンを搭載していることもわかる。

予想されるパワートレインは、4.0L V8ガソリンツインターボエンジンとクワッドモーターを搭載、最高出力は1000psを大きく超えてくるはずだ。

918後継モデルの発売のスケジュールの情報は入ってきていないが、後継車を発売するつもりなら、できるだけ早く発売するのが賢明と言える。なぜならば現在、世界では数百万ドル規模のエキゾチックカーの需要がかつてないほど高まっており、残念ながらポルシェはこの市場セグメントの獲得を逃しているからだ。