仮想空間を越えた現実。

オーナーの理想を形にした完全ワンオフのスタイリング!

街で出くわすと、あまりの正体不明感に二度見も三度見もさせられるこのマシン。よく見るとルーフやドアノブの形状から、なんとなくZ33かな?と当たりはつくのだが、ベースが分かったところで唯一無二の存在感に揺るぎはない。

フロントは『フラットノーズ』の愛称でも知られたポルシェ935のオマージュかと察しがつくが、もっと驚くのはワイドフェンダーとリヤセクション。隆起したフロントフェンダーには、ドアミラーの代わりに後方視界をモニターに映すカメラが仕込まれ、後ろにギュッと伸ばされたリヤセクションにはポルシェ911の現行モデルであるタイプ992の純正テールランプが装備されている。

それらワンオフのボディパネルをクリエイトしたのは、愛知県豊川市にある『A.BASE(エーベース)』。114ページでも紹介している同社代表の伊藤あしるさんが手掛けた作品だが、ショップのデモカーではなくオーナーカーというから、これまた驚きだ。

車両オーナーの“キャタシー”さんが、愛車のZ33を世界に一台のフラットノーズ仕様にした経緯を語ってくれた。
「最初からポルシェっぽくしたかった訳ではなくて、コンセプトモデルみたいなクルマを自分で作ってみたかったんです。それでフォトショップを使って自分のZに色んな画像を合成して遊んでたんですけど、フラットノーズを当ててみたら、これ意外とイケるなと(笑)。A.BASEのあしるさんは昔から知り合いで、ワンオフで作ってもらうことになりました」。

ウレタンフォームで造形する一点物の型をベースに、FRPのパネルを製作する技術に長けたA・BASE伊藤さんは、キャタシーさんの理想を具現化。まずは第一形態となるフラットノーズ仕様のフロントバンパーと前後のワイドフェンダー、さらにサイドスカートとボンネットを2020年に完成させている。

その時点で周囲の反応は凄まじく、国内外のメディアから取材されたり、SNSにメッセージが大量に舞い込んだりと、キャタシーさんにとっては世界が一変したような日々が続いたそうだ。

それから4年の時が経った2024年のエイプリルフール。今度は992のテールを合成したリヤの写真をシャレで投稿したところ、これまた大反響を呼び、じゃあ本当にやってみようかと現在の仕様へとアップデートされた。

新たに作り直された前後フェンダーの造形は、ポルシェが911 GT3 Rをベースに77台限定で生産した911 GT3 R・レンシュポルトというレーシングモデルがモチーフ。そのリヤフェンダーからの流れを受けて天空に聳り立つダックテール、その頂点から逆スラントしたリヤバンパーも製作し、まるで和製スーパースポーツとでも呼びたくなるようなシルエットを実現させた。

ノーマルだと横から見た時に少し前後が寸詰まりした印象も受けるZ33だが、第二形態に生まれ変わったキャタシーさんのZは、より伸びやかでスペシャルなプロポーションを獲得。自分だけのコンセプトカーを作りたい!という夢に、また一歩近づいたのである。

●取材協力:A.BASE 愛知県豊川市赤坂町松本264 TEL:0533-88-6900

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A.BASE
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