連載

ランクルプラド Up Style Project

二兎を追う者が二兎を得た。

前回、群馬トヨタ自動車の高崎倉賀野店に併設されるRVパークを訪れたとき、アレコレとパーツを吟味しながら特に惹かれたのはシートだった。シートを交換するなんて眼中になかったので意外な発見だった。

このプラドはブラック内装にファブリックシート。まろやかな風合いと肌触りは悪くないけれど、いかにも没個性な実用車っぽく、また身体が沈み込み過ぎる感覚もあった。安心して身体を預けられて、見栄えも良くなるシートが欲しくなった。でも、サイドサポートが大きいシートだと乗り降りがキツそうだし、見た目もちょっぴり暑苦しい。適度にスポーティで、乗降性の良いものがいい。

と、そんな要求にドンピシャで応えてくれたのがレカロだった。シートメーカーとしてはあまりにもメジャーな存在。創業から100年以上経つ老舗にして超一流ブランドだ。興味深いのは「どうすれば人間を正しい着座姿勢へと導くことができるのか、ストレスなく長距離・長時間も安全かつ快適にクルマの運転を楽しむことができるのか」を追求するところ。フルバケなどに代表されるスポーツシートだけがレカロではない。

今回、プラドの使い方に合わせてチョイスしたのは、コンフォート&エルゴノミクスシートシリーズにあるLX-Fだ。ヘッドレスト一体型のスタイリッシュなフォルムながら、よく見ると座面のシートはフラットで、サイドサポートも大きくない。これなら車高の高いプラドでも乗り降りしやすそうだ。プラドの車室空間にぴったりのサイズ感なのもいい。

シートの装着は、そのままRVパークに依頼した。シートの交換はレカロ正規取扱販売店に任せるのが正解だ。ネットショッピングやオークションサイトの一般化に伴い、新品、中古品、純正流用品などをリーズナブルに入手できるようになった。交換だって難しい作業ではないと思えるものの、自分に合った取り付け高さや角度に調整することで、本来の性能を得られるという。まるでアライメント調整のように緻密な作業である。

さて、前席2脚ともにLX-Fへと交換したプラドは、事前の想定をはるかに超えてカッコよかった。3Dメッシュとナルドブラックによるコーディネイトが、インテリアを見違えさせた。これなら乗り込むたびニンマリできる。

もっとも嬉しいのは長距離移動の際だった。レカロがプレミアムベットと謳うパネル構造&高密度ウレタンフォームは、身体全体を面で支える効果をもたらすという。さらに一見したところフラットに見える座面だけど、骨盤を三方向からきっちりと支持してくれて前滑りなどを起こしにくく、また適度なサイドサポートが身体を保持してくれるとか。

いや、事前に構造を紐解かなくても、一度乗れば身体全体に訴えかけてくる。正しい乗車姿勢を保ったまま、疲れ知らずどこも痛くならずにずっと座っていられる。これならダラっとした乗車姿勢になる気も起きなくなり、より運転に集中できる。路面状況が分かりやすくもなって、結果として安全運転に貢献するはずだ。

ソファーのように柔らかくはないけれど、乗り心地自体まで良くなったようにも思える。乗り心地の面ではネガとなるような攻めたタイヤや足まわりにしても、積極的に普段使いしたくなる。

身体全体で感じ取れて鮮明にその違いを伝えてくるアフターパーツこそシートである。しかもレカロなら極めて高性能な機能部品であり、インテリアのドレスアップにもなる。そうした意味では「コスパ最強のアフターパーツ」だと思い知らされた。

純正ファブリックシートも決して悪いデキではない。柔らかいフォルムにはデザイン的な一貫性もある。とはいえ上にあるレカロを入れたメインカットは明らかにインテリアが引き締まって見える。乗り心地や疲労度の面でも効果はてきめんだ。
装着を依頼したのは群馬トヨタ自動車の高崎倉賀野店に併設されるオフロード系パーツショップ「RVパーク」だ。トヨタのUp Style系アフターパーツならなんでも相談できる。問:RV-PARK/梯子車体 電話:027-346-2626

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STYLE WAGON(スタイルワゴン) 2020年2月号  ※記事は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです

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