マクラーレンが「F1に近いシミュレーション環境」ダイニスマ・モーション・ジェネレーターを導入【動画】
「W1」以降ヴァーチャルテストを積極活用するマクラーレン・オートモーティブ
Dynisma Motion Generator
実走テストの正確な再現が可能に
マクラーレン・テクノロジー・センターに最新鋭の「ダイニスマ・モーション・ジェネレーター（DMG）」を導入したことで、マクラーレン・オートモーティブのバーチャル開発能力が飛躍的に強化されることになった。DMGシミュレーターによる極めてリアルなフィードバックと、実車性能との高い相関性により、エンジニアやテストドライバーは、これまでにないリアルな仮想環境の活用が可能になると謳う。
DMGシミュレーター導入後も、実車を使った動的テストは依然として不可欠だが、エンジニアは物理テストで得た知見を、超低遅延・高モーション帯域のシミュレーターを通して、極めて正確なデジタルモデルにフィードバックすることが可能になる。これにより、開発上の課題に対して、より迅速かつ効率的に解決策が求められるようになるという。
マクラーレン・オートモーティブでは、F1で行われている高度な解析プロセスに近い環境を市販車両の開発現場が手にすることになった。ヴァーチャル環境上に実走テストでドライバーが体験する様々なシナリオを再現することで、車両がなぜそのような走行・挙動・性能を発揮するのか、より明確に把握することが可能になる。これによって、開発陣はマクラーレン・オートモーティブのスーパースポーツに求められる、官能的なドライビング体験を実現する“DNA”を、より深く簡単に理解できるという。
ヴァーチャルテストを本格導入した「W1」
ダイニスマ・モーション・ジェネレーターに搭載された最新のシミュレーション技術は、「CFD解析」「風洞試験」「空力マッピング」「シミュレーター検証」「実走行評価」といった、開発における様々な段階通じて、より高度な分析を促すことになった。
例えば、特定のシナリオにおけるダウンフォースや空力性能に関する、瞬間ごとのデータは、風洞試験で得られる知見と実走行評価とのギャップを埋め、サスペンションと空力コンポーネントの相互作用をより深く理解するための重要な要素となる。
最先端のDMGシミュレーターの恩恵を最初に受けたモデルが「マクラーレン W1」だ。マクラーレン W1に搭載された、高ダウンフォース＆低ドラッグを両立したアクティブ・エアロダイナミクス、サスペンション設定、マネージメントシステムは、シミュレーターと実走テストを組み合わせた開発工程の中で最終的な仕様が決定された。
マクラーレン・オートモーティブにおいて、車両プログラム統括責任者を務める エマヌエーレ・ラヴェリアは、DMGシミュレーターの導入を受けて次のようにコメントした。
「ダイニスマ社のモーションシミュレーターが持つ高い精度と再現性によって、バーチャル開発から得られるデータとディテールのレベルが著しく向上しました。私たちはヴァーチャル環境の中で、より広範な動的挙動や特性を探ることが可能になったのです。路面の質感や走行入力の再現性は極めて高く、低速域中心の一般道から、サーキットでの高負荷条件まで、驚くほどリアルに再現できます」
「ダイニスマ・モーション・ジェネレーター」を動画でチェック！
