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今日は何の日?

■軽スポーツの高性能競争を激化させたミラターボTR-XX

ダイハツ「ミラターボTR-XX」
1985年にデビューしたダイハツ「ミラターボTR-XX」

1985(昭和60)年10月21日、ダイハツは軽の高性能化が進むなかでミラターボ、ミラターボTRに続いて本格的なスポーツモデル「ミラターボTR-XX(ダブルエックス)」を投入した。最高出力52psを発揮する550cc直3 SOHCインタークーラーターボエンジンを搭載したTR-XXは、走り好きの若者から大きな注目を集めた。

ダイハツ「ミラターボTR-XX」
1985年にデビューしたダイハツ「ミラターボTR-XX」

ダイハツ初のターボ搭載ミラターボ

1960年代に人気が上昇した軽自動車は順調に高性能へと進化していたが、1970年代前半のオイルショックと排ガス規制強化によっていったん性能は停滞。しかし、排ガス規制対応が一段落した1980年を迎える頃には、高性能化時代が再来することになった。

三菱「ミニカエコノターボ」
1983年にデビューした三菱「ミニカエコノターボ」

そのような中で1983年3月、三菱から軽自動車初のターボエンジンを搭載した「ミニカアミLターボ/ミニカエコノターボ」が発売された。550cc 直2 SOHCターボエンジンは、最高出力39ps/最大トルク5.5kgmを発揮。さらに翌年には、軽初のインタークーラーを装備して最高出力は42psまで向上した。

ダイハツ「ミラクオーレ」
1980年にデビューした軽ボンネットバン、ダイハツ「ミラクオーレ」

対するダイハツは、1982年にミラクオーレから単独ネーム「ミラ」に改名し、1983年10月に“ペパーミント・ターボ”と謳った「ミラターボ」を投入。エンジンは550cc 直2 SOHCターボで、最高出力41ps/最大トルク5.7kgmを発揮。ターボ化によって、NA(自然吸気)の30ps/4.2kgmに比べて30%以上もパワーアップしたのだ。

ダイハツ「ミラターボ」
1983年にデビューしたダイハツ「ミラターボ」

車両価格は、64.2万円(標準グレード)/72.5万円(ハイレード)に設定。当時の大卒初任給は、13万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約113.6万円/128.3万円に相当する。また標準グレードのNA仕様は51.2万円だったので、ターボ化によって価格は13万円アップしたことになる。

ちなみにスズキは翌1984年11月にターボモデルを加えるが、車種はアルトではなくスペシャルティカーの「セルボ」で、最高出力40ps/最大トルク4.2kgmを発揮した。

さらにミラターボTR、ミラターボTR-XXと続いた高性能化

ダイハツの高性能化は、さら加速して1985年8月のフルモデルチェンジと同時に「ミラターボTR」が投入された。

パワートレインは、最高出力52ps/最大トルク7.1kgmを発揮する550cc 直3 SOHC インタークーターボエンジンと5速MTの組み合わせ。エンジン本体についても、スワールを強化しつつ吸気抵抗を減少させた吸気ポートの改良や燃焼室のコンパクト化など、燃焼効率や吸気効率が改良され性能向上に寄与した。

ダイハツ「ミラターボTR-XX」
1985年にデビューしたダイハツ「ミラターボTR-XX」

そして同年10月のこの日、さらにスポーティモデルの決定打となる「ミラターボTR-XX」が投入された。

パワートレインはTRと同一だが、スタイルはスポーティ仕様に大きく変貌した。エアスポイラー一体式の大型樹脂パンパ−、バックドアスポイラー、サイドスカート、専用アルミホイールなどを装備。インテリアはファブリックでサイドサポート付のTR-XX専用バケットシート、3本スポークステアリングやインパネも個性的だった。

「ミラターボTR-XX」のリアビュー
「ミラターボTR-XX」のリアビュー

サスペンションは、TRもTR-XXもフロント:ストラット/リア:セミトレーリングアーム式の4輪独立。TR-XXは、TRよりもトレッドを5mm拡大、車高を15mmダウンしたことで、よりスポーティさが増した。

車両価格は、ベースのミラが軽バンネットバン(商用車)なので、比較的安価な70.5万円。当時の大卒初任給は14万円程度(約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約116万円に相当する。TR-XXは570kgという軽量ボディと相まって、軽快なコーナリングと走りで走り好きに若者から大きな注目を集めた。

ミラターボTR-XXの個性的なライバル達

ミラターボTR-XXの登場が軽の高性能競争を激化させ、他社からも高性能モデルが続々と登場した。

・スバル「スバルレックスRX-R」(1987年~)
最高出力55ps/最大トルク7.4kgmを発揮するユニークな550cc 直2 SOHCスーパーチャージャーエンジンを搭載。スーパーチャージャーらしく力強い低中速トルクが特長だった。

1988年にデビューしたスバル「レックス・スーパーチャージャー」
1988年にデビューしたスバル「レックス・スーパーチャージャー」

・スズキ「アルトワークス」(1987年~)
軽初となるDOHCターボは、最高出力64ps/最大トルク7.3kgmを発揮する550cc 直3 DOHC インタークーターボエンジンを搭載。あまりの高出力ぶりに、この64psが最高出力規制のきっかけになり、現在でも軽自動車の自主規制値となっている。

スズキ「アルトワークス」
1987年にデビューしたスズキ「アルトワークス」

・三菱「ミニカ・DANGAN(ダンガン)」(1989年~)
量産車世界初の5バルブ直3 DOHC インタークーターボを搭載し、64ps/7.6kgmを誇った。まさに弾丸のような走りが魅力だった。

三菱「ミニカ・ダンガン」
1989年にデビューした三菱「ミニカ・ダンガン」

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初めて軽でフルエアロが装備されたミラターボTR-XXだったが、スズキから64psを発揮するDOHCターボのアルトワークスが登場すると注目はアルト―ワークスに集まってしまった。ダイハツは、すぐにTR-XXのEFI(電子制御噴射)化やDOHC化を進めて、1988年にはアルトワークスと同じ64psを達成したが、その後もアルトワークス人気に押され気味だった。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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