最新電脳へのアップデート。

サウンドパフォーマンスとともにT517Z仕様をより頼もしく

3ナンバーボディや丸みを帯びたスタイリングが不評だった前期型を磨き上げ、1996年に登場したS14シルビア後期。当初こそ人気は振るわなかったが、ワイド化トレンドが加速するにつれてボディサイズやシャープなフェイスが再評価され、特にドリフトシーンを中心に注目度が急速に高まっていった。

ランエボⅦに乗る彼女の彩奈さんと満面の笑顔を見せてくれた神崎さん。今後の課題はブッシュ類のリフレッシュとのことだが、最新電脳にアップデートできたことで魅せるエンジンルームへの進化も思案中だ。

そのS14を、鮮烈なレッドとスピード感あふれるワイドボディで楽しむのが、99年生まれの26歳・神崎さんだ。

中学生時代、ゲームでスポーツカーを走らせていた頃にS14のキリッとしたスタイルに惹かれ、友人はRPS13、自身はS14で“赤いワイドボディにする”という約束を免許取得前に交わしていたという神崎さん。

「最初からS14を買うつもりでしたが、仕事の都合でNGが出て断念。しばらく軽やセダンに乗っていたんですが、やっぱり我慢できなくて。22歳のときにタービン交換仕様のS14後期を購入しました」と語る。

ところが、赤いボディに惹かれて手に入れたその車両は、セッティングの問題か半年ほどでエンジンブロー。途方に暮れていたところ、紹介されたのがリボルバーの今田さんだった。ブローからの復活を経て、2年半前には友人と交わした“ワンダーのワイドボディ”の約束どおりの姿に仕上がった。

ドリフトなどのスポーツ走行には興味がなく、とにかく愛車を格好よく仕上げたい…そんな神崎さんだが、つい先日、LINKフルコンや電子制御スロットル、トリガーキットといった最新電子デバイスへの大幅アップデートを敢行。きっかけはイベントやミーティングでの“パフォーマンスアップ”として、フルコン制御のバブリング導入を検討したためだ。

しかしオーナーのS14愛を誰より理解する今田さんは、長く安心して楽しめるよう最適化を含めたメニューを提案。完成したS14は、求めていたサウンドパフォーマンスに加え、普段使いでもはっきり体感できるタフなSRチューンドへと進化した。

ブロー時にピストン強化やT517Zへのタービン変更などを施していたものの、Q’sベースのエンジンスワップ車ゆえにコンディションは不透明だった。今回のフルコン化のメイン目的はバブリングだったが、関連部分のアップデートも同時に進め、SR20DETは補正式なしで305.3ps/40.1kgmという頼もしさを獲得。

バブリングには点火制御だけでなく、アクセルオフ後にも空気を送り込むためスロットル開度が必要となる。そのためLINKのオプションを使って電スロ化し、アクセルペダルは現車合わせでショート化して自然な操作フィールを実現した。

精度不足に加えて純正価格が高騰しているクランク角センサーは、5-0イグナイト製へ交換。正確な点火制御を確立し、エンジンフィール向上の大きな要因となった。

点火時期が正確に管理できるなら、点火性能そのものの強化も必須だ。トラブルの多い純正コイルは、KTD強化コイルへアップデートされている。

ブロー後の復活時、ROMチューンからパワーFC Dジェトロへ変更していたが、今回はLINKプラグイン導入にあたりケースをそのまま再利用。蓋のメモ書きからも分かるように、S14 Q’s後期に前期ターボが換装された複雑な状態で、ハーネス類を入念に確認しながらセッティングが進められた。

バブリングの演出効果は大きいが、常用すれば排気温度の上昇やタービンへの負担が懸念される。そこでシフトレバー前にスイッチを設置し、任意でON/OFFを切り替えられるようにした。

外装はワンダーのワイドボディキットにフィンを追加し、デモカー同様のスタイリングを狙ってアクティブレッドでオールペン。さらにワークエモーションT5R(F10.5J-18×18/R11J-19×18)を組み合わせ、ディスクカラーはシルバーではなくインペリアルゴールドを選んで足元の存在感を強調。リヤウイングはネオプロジェクト製だ。

「イベントで賞を狙えるように、足回りやエンジンルームなど、まだまだやりたいことが尽きません。ただ、安心して乗れることが大前提。僕の“格好良く魅せたい”という願いを、機能面と両立させながら形にしてくれる今田さんには本当に感謝しています」。

スポーツカーだからといって走りだけにこだわらず、スタイルとパフォーマンスの双方を自由に楽しむ。そんな“チューニングカーの原点”ともいえるアプローチを、26歳の神崎さんは迷うことなく突き進んでいる。

●取材協力:レーシングファクトリーリボルバー 岡山県岡山市北区高柳東町9-23 TEL:086-367-4495

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