和やかな雰囲気で開催されたトークショー。

日本自動車工業会の正副会長が一堂に会し、忌憚のない意見が交わされたトークショー。左から順に松永明、三部敏宏、佐藤恒治、片山正則、鈴木俊宏、イヴァン・エスピノーサ、設楽元文。(敬称略)

2025年は隔年開催のJMS(ジャパン・モビリティ・ショー)が開催された。2回目の開催となった今回は、観客動員100万人、出店企業は500社を超え、見どころ盛りだくさん。充実した展示内容は見応えがあり、会場を訪れた観客の評判も良かった。そんな中、オフィッシャルデー(10月30日)に東京ビッグサイト西展示棟1階アトリウムに特設されたJMSステージで自動車工業会トップのメンバーが集結し、それぞれの「クルマ・バイク愛」を語るトークショーが開催された。


直前のJMS開会セレモニーを終えた7名の登壇者は、フォーマルウエアからカジュアルな服装に着替え、リラックスした表情でステージに登場。
それぞれの「モビリティ愛」が表現される中で、「マメタン」愛を語られた鈴木俊宏社長のお話しが、とても印象的だったのである。
青春時代(ティーンエイジャーのころ)を振り返って、初めて乗ったバイクとクルマについての思い出だが、マメタンは弟さんが通学用に買ったバイクだった。それまでは興味がなかったのに、こんなふうに“風”を感じられる楽しい乗り物があるんだと思い、免許をとりに行くきっかけになったそう。「今は大型も乗りますが、バイクに乗るワクワク、ドキドキを(マメタンで)体験しました」とステージ脇に展示された緑色のマメタンを懐かしそうに眺めていました。特に興味深かったのは、「決して大きい乗り物が良いとは思わない、小さいからこその魅力もありますね。」そう語られた発言に記者としては大きな共感を覚え、同社への今後の期待値が高まりました。
クルマの初代アルトでは、隣に女性を乗せると肩と肩が触れ合う距離の近さにワクワク・ドキドキしたエピソードを笑顔で語られた。

未来モビリティ会議 特別セッションの幕開けを飾った「トップが語る『モビリティ愛』とは!」のトークセッション。
穏やかで誠実なお人柄が伝わってくる。
若いころのお茶目な思い出話を笑顔で語る鈴木社長。

スズキ・マメタンはこんなバイクでした。

マメタンは1977年にデビューした。前後スポーク・ホイールとドラムブレーキ。そして空冷エンジンの搭載が時代を忍ばせるが、アメリカンチョッパースタイルを採用した新型スポーツバイクとした独自のトライが込められていた。ゼロハン(原付一種)でありながら、ゆったりとしたライディングポジションが新鮮。オシャレに格好良く乗れる新ジャンルバイクとして高い人気を獲得し、エントリーユーザー獲得への貢献度も侮れないものがあったのである。

異色で愛らしいスタイリッシュ・フォルムは多くの人気を呼んだ。
50cc(原チャリ)に採用されたアメリカンスタイルはとても新鮮だった。
空冷の2サイクル単気筒エンジンを搭載。スズキの小排気量エンジンは、伸びの良い爽快な吹け上がり性能で他をリードしていた。
ブラックアウトされたマフラーとコイルスプリング剥き出しのリアショックが印象的。
ヒップアップしたストッパー付きシングルシートは右側ヒンジで簡単に開閉できる。
前輪は15インチサイズを採用。1981年のS56型からは17インチへ拡大された。
後輪は14インチ。当時ミニバイクと呼ばれた標準的なサイズだ。
アメリカンを象徴する大胆なアップハンドルを装備。
アナログメーターは左側の速度計のみ。右側はイグニッション・キースイッチとウインカー&ニュートラル用パイロットランプが装備されている。

1977年デビュー当初の主要諸元

形式:OR50
全長 / 全幅 / 全高(mm):1,680 / 660 / 1,020
軸間距離(mm):1,080
最低地上高(mm):165
シート高(mm):676
乾燥重量 (kg):69

燃料消費率(km/L):80.0(30km/h定地)
最小回転半径(m):1.8

エンジン型式:空冷・2サイクル・単気筒
動弁方式:ピストンリードバルブ(パワーリードバルブ)
総排気量(cc):49
内径×行程(mm):41,0×37.8
圧縮比:7.2:1

最高出力 (ps):5.5 / 8,000rpm
最大トルク (kgm):0.51 / 7,000rpm
燃料供給装置:キャブレター式(VM16SH)
始動方式:キック式
点火方式:マグネット点火
潤滑方式:CCIS(分離潤滑)
潤滑油容量(L):1.2
燃料タンク容量(L):5.5

クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング
変速機形式:常時噛合式5段リターン
変速比:
 1速…3.166
 2速…1.941
 3速…1.380
 4速…1.083
 5速…0.923
減速比(1次/2次):3.842/3.307

フレーム形式:セミダブルクレードル
キャスター (度):28°30′
トレール(mm):60
ブレーキ形式(前/後):リーディングトレーリング/リーディングトレーリング
タイヤサイズ(前/後):250-15-4PR/300-14-4PR
舵取り角左右(度):43
乗車定員:1名

価格:109,000-

クルマ愛で語られたのは初代アルト。

1979年に当時でも買いやすい47万円の価格でデビュー。ボンバンブームのパイオニアとなった軽自動車である。国内販売台数は累計約540万台にのぼり、同社を代表する人気ブランドとして知られている。2024年にはJAHFA(日本自動車殿堂)の「歴史遺産車」に選定。2026年には10世代目の新型がリリースされる模様。

シンプルな軽量設計は今もクルマ造りの手本とされている。
初代アルトは、3ドアハッチバックスタイルの商用車だ。

未来に“あったらいいな”と思うクルマ(バイク)は?

上記の質問に対して、多種多様な夢が掲げられる中、鈴木社長の回答はこれ。例えステアリングがなくなった(自動運転等で)としてもやはり自分で動かしたい。思い通りに動いてくれる乗り物があって欲しいと語る。

クルマ・バイク好きである事がこのコメントから漂ってくる。