微笑みの国タイはバイク天国でもある。当然ホンダは大人気でCT125ハンターカブも数多く販売されている。多くの人が乗れば誰しも速さを競いたくなるもの。そこで現地にはチューニングパーツメーカーが存在する。中でもナンバーワンの実力派なのがHI SPEED。同社製のチューニングパーツにCT125(JA65)用ボアアップ&4バルブ化できるキットを発見したモトチャンプ編集長。その実力を知るべく現地で試乗を申し込んだのが今回紹介する動画のダイジェスト。毎度おなじみユーチューブチャンネルの「モトチャンプTV」で公開されている「タイで発見したHI SPEEDのDOHCモンキー&カブに試乗!」という回をまとめてみた。

CT125ハンターカブ(JA65)を4バルブ化!

CT125ハンターカブを139cc化したチタンバルブ搭載車。

まず紹介するのがCT125ハンターカブ(JA65)を139cc化したデモ車だ。JA65は現行モデルであり、新しい排ガス規制に適合させたエンジンを搭載する。この新型エンジンはシリンダーの関係からボアアップできる範囲が限られており、145cc前後が限界になる。HI SPEEDでは排気量を139ccにとどめる代わり、シリンダーヘッドを4バルブ化している。

専用設計されたシリンダーヘッドとインマニ。

シリンダーヘッドの外観は純正チックにしているが、しっかりヘッドカバーには「4VALVE」の文字が入っている。しかも4バルブ化したバルブ本体はチタン材を採用するという豪華さ。高回転を連続しても問題ないだけの実力を備えている。

JA65だと大幅なボアアップができないため、ピストン径はφ53mmとなる。

もちろんピストンも同社がオリジナリで専用設計したもの。ピストントップが4バルブに対応する形状とされており、ピストン径はφ53mmになる。チューニングキットのキモになる部分でもある。

長いファンネルを備えるスロットルボディはφ28mm口径。

排気量を拡大しつつ4バルブヘッドとしたことで吸入量も増やしている。スロットルボディをφ28mm口径のものとしているのだ。マフラーはヨシムラ製を採用していてこれらの結果、このエンジンは16psにまでパワーアップされている。

チャボが試乗してインプレッションを語る。

乗ってみるとアクセルレスポンスに優れ、エンジンを回せば回すだけパワーが出てくる。ノーマルとは別物の楽しい走りを味わえるが、高回転域でのパワーに比べて低速トルクが物足りなく感じられた。単体で試乗しているのでチタンバルブの効果まではわからなかったから、機会があればノーマルのバルブと乗り比べてみたい1台だった。

モンキー125をDOHC&199cc化!

モンキー125を199ccまでボアアップしたデモ車。

続いてはモンキー125をチューニングしたデモ車。ツインカム4バルブヘッドがキットのメインとなっていて、大幅なパワーアップを実現している。猛烈なパワーを発生するモンスターマシンながら、足回りなどはノーマルなのが対照的だ。

DOHCツインカム4バルブ仕様になったエンジン。

専用設計されたDOHCヘッドは見せるデザインも特徴だ。左側からだとガラス越しにカムシャフトを駆動するプーリーが見えるようになっているのだ。ミッキーマウスと呼ばれたカブレーシングCR110を彷彿とさせるデザインも昔を知る世代には受けそうだ。

ビッグスロットルボディはφ32mm口径。

こちらのマシンは排気量が199ccにもなる。当然ビッグスロットルボディが必要なわけで、同社ではφ32mm口径のものを組み合わせている。マフラーは他社製ながら、これらの結果27psものハイパワーを発生する。同社代表自らモンスターマシンと呼ぶ実力だ。

試乗中、楽しくて思わず笑っているチャボ。

もう試乗している間、笑ってしまうほどに楽しいのがモンキー125の199cc版。排気量が大きいため低速からしっかりとトルクが湧き上がり、回転数を上げていくとさらなる高レスポンス&パワー感が得られる。まさにDOHCヘッドの面目躍如といったところで、高回転を多用する走りが非常に楽しい。普通に低中速域で走っていても十分に楽しめるが、いざ高回転まで回すと猛烈な加速力とレスポンスなのだ。足回りがノーマルだったため、フレーム関係をカスタムすれば最強のマシンになりそうだ。

トラブルで試乗できなかったDOHC&5速のCT125ハンターカブ

CT125ハンターカブを180ccまでボアアップしたDOHC&5速仕様のデモ車。

最後はひと世代前のJA55をチューニングしたデモ車。やはりDOHC4バルブヘッドで構成されているが、排気量は180ccでモンキー125よりはおとなしい仕様。だが5速MT仕様に変換されているので、乗ることが非常に楽しみな1台。ところが当日はトラブルが発生して試乗することは叶わず……。またの機会があればぜひ紹介したいマシンなのだ。