フェラーリは、現代版F40へのトリビュートモデル「SC40」を世界初公開した。

フェラーリ SC40 ワンオフモデル

F40は1987年に発売され、エンツォ・フェラーリが自ら承認した最後の車となった。圧倒的存在感を放つこの クルマは、288 GTOの後継車として、F50、エンツォ・フェラーリ、ラ・フェラーリ、そしてF80といったフラッグシップモデルへとその座を譲った。

フェラーリ SC40 ワンオフモデル

296 GTBをベースにしたSC40は、同ブランド伝説のF40にインスパイアされた最新のワンオフモデルだが、オリジナルのパワートレーン構成は採用されていないことも注目される。

フェラーリ史上最も崇拝される一台、伝説のF40にインスパイアされた現代的なスーパーカーは、フェラーリのスペシャル・プロジェクト・プログラムを通して製作されたワンオフモデルだ。

296 GTB ベルリネッタ(通常生産のクーペ)をベースに、完全特注のエクステリアと、細部にまでこだわったインテリアが施されており、デザインは、フラビオ・マンゾーニ率いるフェラーリ・スタイリング・センターが監修している。

一見すると、SC40は新型849 テスタロッサやF80といった近年のモデルと共通するデザインランゲージを持ち、シャープな幾何学的なラインと繊細な曲線が融合している。

フェラーリ SC40 ワンオフモデル

フロントは、尖ったノーズを囲むバンパーインテークと一体となったレトロ風のヘッドライトが特徴だ。旧式のポップアップ式デイタイムランニングライトは姿を消し、現代の安全基準を満たしつつも、懐古主義的な雰囲気を損なわないスリムなLEDデイタイムランニングライトに置き換えられた。

フェラーリ SC40 ワンオフモデル

側面では、カーボンファイバー製のガーニッシュと、リヤクラムシェルのベースに力強い水平ラインを配することで、F40のNACAエアダクトを彷彿とさせるデザインが採用されている。ベント付きリヤフェンダーの間に配されたエンジンカバーのレキサン製ルーバーも、先代モデルへのオマージュを添えている。

リヤセクションでは、F40の象徴的な固定式リヤウイングも、ややコンパクトになったとはいえ、復活を遂げている。テールライトは296 GTBの流用だが、ノスタルジックなプロポーションには丸型4灯の方が合っていたという方多いかも知れない。

足回りでは、ツートンカラーの5本スポークアルミホイールと鮮やかなイエローのフェラーリクレストでコントラストを際立たせている。

フェラーリ SC40 ワンオフモデル

インテリアに移ると、フットウェル、センターコンソール、ダッシュボードインサート、パドルシフト、ステアリングホイールを装備、キャビン後部はカーボンケブラー製で、これは現代のフェラーリとしては初採用だ。また、SC40ブランドのバケットシートは、赤いジャカード織りのテクニカルファブリックで覆われ、キャビン全体にチャコールアルカンターラが使用されている。

注目されたパワートレーンでだが、SC40には、F40のようなV8エンジンとゲート式マニュアルギヤボックスは搭載されていない。その代わりに、296 GTBのプラグインハイブリッドシステムを受け継ぎ、2.9L・V6ツインターボエンジンとシングル電気モーターを組み合わせ、システム合計830ps/611kWを発揮する。

実は近年、F40復活の噂が流れていたが、その発端は、開発中だったSC40のワンオフモデルの存在だった可能性が高いと思われる。

フェラーリはこのワンオフモデルの価格を公表していないが、おそらく3億円以上の価格が付くと予想されている。