ディテール解説

シリーズ一連のスラントしたフロントマスクが個性的。

フロントフォークはφ43mmの倒立式。WP製APEXが採用されている。減衰機構は左右で伸び側と圧側それぞれを分担する設計。ダブルディスクブレーキはφ320mm。対向4ピストン式油圧キャリパーがラジアルマウントされている。

車体剛性メンバーの一員となる水冷直(並)列前傾ツイン。75°位相されたクランクを持つ右サイドカムチェーン方式のDOHC4バルブエンジンを搭載。兄貴分同様ツインスパークプラグ方式が採用されている。クランク前方と頭上にバランサーシャフトを備えている。

クランクケース直下を後方に導かれたエキゾーストパイプはスイングアームピボット直後に立ち上げられ、右側へのアップマフラーに繋げられている。

WP製のモノショックはAPEX5446。プリロード調節は上のダイアルを左(半時計方向)に回し切り、3回転右(時計回り方向)へ戻した所が標準位置。ボトムには伸び側アジャスターがある。マイナスドライバーで右に回した後、15クリック左へ戻した所が標準設定。

黒く長いスイングアームは鋳造オープンラティス(梁を露出させた独自デザイン)アームを採用。フローティングマウントされたφ260mmディスクローターには、2ピストンのピンスライド式油圧キャリパーをマッチ。タイヤはAVON製 TRAILRIDERを履く。

アルミパイプバーハンドルはφ28〜25mmのテーパータイプ。ハンドルブラケットが工夫されており、取り付け位置は好みの6ポジションに変更できる。

下から順に咄嗟の時にも押しやすいホーン、ウインカー、4個の三角スイッチはディスプレイをコントロールする上下ボタンと右がセット、左がバック(戻し)ボタン。右上はクルーズコントロール用。向こう側には人差し指で扱うディマー&パッシングスイッチ。
ハンドル右側スイッチは、シンプルに赤いシーソースイッチが一つ。エンジンキルスイッチ兼、始動用のスタータースイッチがある。

多彩な情報表示を担うフルカラーTFT液晶ディスプレイ。自動で照度調節され、明暗反転表示も自動切り替えできる。外気温が4°C以下に下がると❄︎マークの凍結警告がでる。メーター下側には12V10Aのアクセサリー電源ソケットが装備されている。

段付きのロングシートは前後セパレートタイプ。前席は固定方法を変えると上下2段のシート高が選べる。取り外し作業は左脇のキーロックを解錠し、後席から外す。

シート下はエアクリーナーボックスがあり、エアフィルターへのアクセスが容易。蓋に貼られたシールにはヒューズリストやリヤショック調整方法が明記されている。
後席の裏側には薄い小物を収納できるポケットが装備されている。簡単な防水構造を持つ蓋があるので、書類等をしまっておくことができる。

コンパクトに仕上げられたテールランプ。ウインカーの張り出しは、グラブバーのそれよりも狭い。

タンク両脇の膨らみ具合は、ボリュームがある。

主要諸元

車名:KTM・890 ADVENTURE
軸距(mm):1,509
最低地上高(mm):233
シート高(mm):830-850
車両重量(kg):196(乾燥)、(半乾燥200kg)
乗車定員(人):2
燃料消費率(km/L):22.2

エンジン種類:水冷4ストローク直(並)列 2気筒
動弁系:DOHC 4バルブ
総排気量(cm³):889
内径×行程(mm):90.7×68.8
圧縮比:13.5:1
最高出力(kW[hp]/rpm):77[105]/8,000
最大トルク(N・m /rpm):100 /6,500
始動方式:セルフ式
バッテリー:HTZ12A-BS(MF12V 10Ah)
燃料供給装置形式:スロットルボディφ38mm。 Bosch製EMS(電子制御式燃料噴射)
点火装置形式:非接触制御電子式点火
燃料タンク容量(L):20(含む予備約3L)
潤滑方式:セミドライサンプ(2ポンプ式)
潤滑油量(L):2.8
クラッチ形式:湿式多板式、機械式PASC(Pawer Assist Clutch)アンチホッピングクラッチ
変速機形式:常時噛合式6速
変速比:
 1速:2.846(13:37)
 2速:2.000(17:34)
 3速:1.550(20:31)
 4速:1.273(22:28)
 5速:1.083(24:26)
 6速:0.957(23:22)
1次減速比:1.923(39:75)
2次減速比:2.813(16:45)
キャスター角(度):25,9°
タイヤ(前/後):90/90-21M/C 54V M+S TL / 150/70R-18M/C 70V M+S TL
ブレーキ形式(前/後):油圧式ディスク / 油圧式ディスク(Bosch製9.1MP コーナリングABS、オフロードモード、作動解除可能) 
懸架方式(前/後):テレスコピック式 / スイングアーム式
サスペンションストローク(前/後mm):200/200
フレーム形式:クロームモリブデン鋼管製トレリスフレーム。パウダーコート塗装

生産国:オーストリア

試乗後の一言!

真のデュアルパーパスらしさを実感。交換用のオフロードタイヤも備えて、あらゆる場面で遊びたい。

これほどの性能、どこへ出かけようかと悩んでしまう。|KTM1290 SUPER ADVENTURE S試乗レポート

“READY TO RACE”のフレーズで良く知られているKTM。今でこそネイキッドスポーツやスーパースポーツモデル等も多くラインナップされているが、元々同ブランドを象徴していたフラッグシップモデルはアドベンチャーモデルに他ならない。その頂点に君臨する最新鋭の最高峰モデルが今回の1290 SUPER ADVENTURE Sである。 REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke) 取材協力●KTM Japan 株式会社●

https://motor-fan.jp/bikes/article/2503/
SWM・VAREZ125試乗レポ|コイツはホンダCB125R、KTM 125DUKEライバルだ。

2014年に復活したイタリアンブランド、SWM(スピーディ・ワーキング・モータース)が2018年のEICMAで発表、翌春から欧州市場に投入したのがヴァレーゼ125だ。エンジンは同社のエンデューロやモタードモデルにも搭載されている最新の水冷シングルで、これをアイコニックなトレリスフレームに搭載する。税込みで495,000円は同じ17インチホイール・125ccミッションのホンダCB125R(456,500円)に迫る価格であり、日本市場においても十分以上の競争力を持っている。 REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke) 問い合わせ●SWM(https://www.swm-motorcycles.jp) 取材協力●BEAR SETAGAYA ※2020年5月20日に掲載した記事を再編集したものです。 価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

https://motor-fan.jp/bikes/article/21718/