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今日は何の日?■エリオをベースにしたエリオセダンがデビュー

2001年(平成13)年11月14日、スズキは同年1月に販売を始めたコンパクトハッチバックの「エリオ」をベースにした4ドアセダン「エリオセダン」を発売した。エリオセダンは、エリオの高い居住性を維持したまま、リアに独立したトランクを持つ3BOXセダンである。
エリオの前身はGMと共同開発されたカルタス
エリオの前身にあたる「カルタス」は、1981年にスズキが資本提携を結んだGMとの共同開発で1983年に誕生した。スズキにとっては、少量生産だった「フロンテ800」を除き、実質初めての小型乗用車だった。

初代カルタスはGMの意見が色濃く反映され、廉価で燃費の良い小型の世界戦略車という位置付けだった。オーソドックスな3ドア/5ドアハッチバックに、1.0L 直3エンジンが搭載されたカルタス(米国名:シボレー・スプリント)は米国では好調な販売を記録したが、日本ではまだ軽メーカーのイメージが強いスズキだったこともあり販売は伸び悩んだ。
1983年にモデルチェンジした2代目は、日本で不評だった初代の反省を踏まえて、日本市場を優先してスズキ主導でプラットフォームを一新し、上級志向に舵を切ったのが特徴。エンジンは、1.0L 直3と1.3L 直4エンジンが搭載された。
1995年の3代目では、上級グレードの「カルタスクレセント」を追加して、安価なカルタスと上級小型車カルタスクレセントに棲み分けられた。カルタスは、徐々に市場に浸透して人気も得られたが、2000年に生産を終了した。
居住性と使い勝手を重視した5ドアハッチバックのエリオ

カルタス/カルタスクレセントの後継として、世界戦略車、特に欧州を意識して開発されたのが2001年1月にデビューした「エリオ」である。
新開発のプラットフォームを採用し、コンパクトなボディながら広々した車室空間が特徴。スズキは、“ミニバンのゆとりある居住性とセダンの走行性能、そしてステーションワゴンの使い勝手を融合させたクルマ”と謳った。インテリアについても欧州向けらしく大きめのシートが設定され、さらにデジタルスピードメーターなど先進的な装備も目を引いた。
また足回りについては、欧州走行で徹底的に磨きをかけたというだけあって、乗り心地はやや硬めでドライブポジションなどまさに欧州マーケットを重視していることが伺えた。パワートレインは、最高出力110ps/最大トルク14.6kgmを発揮する新開発の1.5L 直4 VVT付DOHCエンジンと5速MTおよび4速ATの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが用意された。
車両価格は、2WDの標準グレードで125.0万円(5速MT)/134.8万円(4速AT)。当時の大卒初任給は、19.7万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で146万円/157万円に相当する。
エリオベースの4ドアセダン、エリオセダンを追加

エリオの発売から遅れること10ヶ月、2001年11月のこの日にエリオのセダン版「エリオセダン」が追加された。エリオセダンは、エリオをベースにコンパクトな車体ながら高い居住性を維持したまま、リアに独立したトランクルームを持つ3BOXの4ドアセダンである。

取り回しがしやすいコンパクトな車体ながら、効率的なパッケージングによって、前席・後席とも広々と開放感のある室内空間が確保され、リアシートは分割可倒式でトランクスルーもできたため、長尺な荷物も積載できた。トランクルームは、1500cc 4ドアセダンクラスで最大級の容積を誇った。
エンジンやその他の機能部品はエリオと共通だが、相違点は全長が120mm長く、全高は5mm低く、また車重が10kgほど重いこと。またセダンには全グレードに4WDが設定されたことである。

車両価格は、2WDの標準グレードで127.3万円(5速MT)/137.1円(4速AT)、エリオより2.3万円高額に設定された。その後、エリオとエリオセダンは改良と変更を続けたが、2006年にエリオ、2007年にエリオセダンが一代限りで生産を終了した。
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2000年当時、ハッチバックのヒットモデルであるトヨタ「ヴィッツ」のセダン版「プラッツ」、ホンダ「フィット」のセダン版「フィットアリア」が販売されていた。エリオも同じケースだが、安直なイメージで新鮮味に欠けること、また当時すでに日本市場ではセダン人気が低迷していたこともあり、ヒットモデルとはならなかった。
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