3基のターボチャージャー、またはスーパーチャージャーの搭載が可能!?

デトロイト出身のベテランジャーナリスト、マイケル・ゴーティエ氏がまとめたリポートによると、ポルシェは、3バンクのシリンダーを備えた新しいW型12気筒エンジンの特許を申請していたという。

特許画像からは、ふたつのVR6エンジンをひとつにまとめたのではなく、まさにW型エンジンそのもののように見える。

ポルシェ K1 プロトタイプ スパイショット

ベントレーは2024年7月、象徴的なW12エンジンに別れを告げ、20年にわたる現代グランドツーリングカーの輝かしい歴史に幕を閉じた。しかし、ひとつの物語が終わると同時に、新たな物語が静かに始まるようで、ポルシェは水面下で独自の新型エンジンを開発していたのだ。

ポルシェ W12 エンジン

実は、ポルシェは昨年この特許を申請していたが、ついにリークされ、3バンクのシリンダーを備えた複雑なW12エンジンの存在が明らかになった。出願書類には詳細な説明は多くないのだが、「内燃機関のシリンダーはW字型に配置されている」と記されている。

出願書類をよく見てみると、既存のW12エンジンに比べて多くの改良点が見られる。これらはどちらかといえば技術的な内容だが、ポルシェは「適切かつ重要な改良点を備えた有利な実施形態」に言及している。

これは漠然とした説明だが、特許では、ポルシェはふたつのV字をくっつけたような、W字型の印象的なレイアウトについて言及している。特に、「各シリンダーヘッドには少なくともひとつの吸気ポートとひとつの排気ポートがあり、吸気ポートは空気の流れを調節するエアプレナムに接続され、排気ポートは排気ガス排出装置に接続されている」と記載されている。

ポルシェはさらに、「エアプレナムは上側に配置され、特に大部分を覆うことで、空気はエアプレナムから吸気チャネルへ上方から流れ込むか、あるいはシリンダー内で上下に大きく動く内燃機関の往復ピストンによって直線的に、つまり曲率なく吸い込まれる。このように、エアチャンバーはクランクシャフト方向に向いた吸気ポートと流体接続するための開口部を持つ」と説明している。

さらに、このエンジンには3基のターボチャージャー、またはスーパーチャージャーを搭載できるようだ。これにより、ベントレーの最高級モデルに搭載されていた旧型の6.0L W12ツインターボエンジンを大きく凌駕するパフォーマンスを実現すると見られる。最終形態では、このエンジンは限定生産のマリナー・バトゥールで最高出力750PS/552kW、最大トルク1000Nmを発揮した。

この発覚は何を意味するのだろうか。つまり、ベントレーで終止符が打たれたと思われたW型12エンジンだが、フォルクスワーゲングループは、新たな開発を諦めていなかったということだ。世界の自動車メーカーがEVにシフトしているこの時代に。

もちろん、最大の興味は、これが将来の量産モデルに採用されるかどうかだ。一番考えられそうなモデルは、現在開発中の新フラッグシップ・クロスオーバーSUV「K1」(社内コード)だろう。当初BEVモデルとして開発が進んでいたが、EV市場の伸び悩みに対処して、内燃機関エンジンが搭載される見込みだ。

この新W12エンジンが世に出るのか、その答えは2年以内には出ると思われる。