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今日は何の日?■8人乗り5ナンバーミディアムクラスミニバンのヴォクシー/ノア

2001年(平成13)年11月16日、トヨタは5ナンバーながら3列シートで余裕の8人乗車を実現したミディアムクラスのミニバン「ヴォクシー/ノア」を発売した。ノアとヴォクシーは販売店系列の異なる兄弟車で、ノアは親しみやすいファミリー色が強く、ヴォクシーは若々しく精悍なイメージ、に差別化された。

ヴォクシー/ノアの先代にあたるタウンエースノア/ライトエースノア
ヴィクシー/ノアの先代あたる兄弟車「タウンエースノア/ライトエースノア」は、1996年10月に兄弟車タウンエース・ワゴン/ライトエース・ワゴンの後継車として誕生した。両車の違いはフロントマスクが異なる程度であり、販売店系列の違いによって2つのモデルが設定された。

タウンエースノア/ライトエースノアは、それまでのキャブオーバー(前席下エンジン配置)から、セミキャブオーバー(フロントボディにエンジン配置)に変更された。これは、1990年代前半に衝突安全に対する要求が高まり、従来のワンボックスタイプではクラッシュブルゾーンの確保が困難になったためである。

タウンエースノア/ライトエースノアは、1990年代に広まったRVブームの中で、マルチリフレクターのヘッドライトと大型バンパーを装備したフロントフェイスに、フロイントからリアへ流れるようなスタイリングとなった。エンジンをボディ前部に移動させた効果で、多人数でもゆったりできる広い室内空間とフラットフロアによるウォークスルーを実現するなど、RVとしての魅力も付加された。
パワートレインは、最高出力130psの2.0L 直4 DOHC、91psの2.2L 直4 OHCディーゼルの2つのエンジンと、5速MTおよび4速ATの組みあわせ、駆動方式は先代同様FRとフルタイム4WDが用意された。
FFプラットフォームに両側スライドドアを装備したヴォクシー/ノア


2001年、タウンエースノア/ライトエースノアはモデルチェンジを機に、後継車「ヴォクシー/ノア」となった。“シャープなスポーティさ”をイメージしたヴォクシーはネッツトヨタ店から、“クリーンで親しみやすさ”をイメージしたノアはトヨタカローラ店から販売された。

ボディサイズは、ホンダのヒットモデル「ステップワゴン」とほぼ同等であり、ステップワゴンが実質的なライバルとなる。ヴォクシー/ノア最大の特徴は、従来の商用車ベースのFRから乗用車ベースのFFプラットフォームに変更されたこと、もうひとつは両側スライドドアが採用されたことである。

ヴォクシー/ノアは、2名/3名/3名の3列シート8人乗り。FFプラットフォームを採用したことで、フロアを先代より75mm下げることができ、さらにホイールベースも110mm拡大したことで広いフラットなフロアを実現。セカンドシートは、簡単な操作で跳ね上げられる“ワンタッチタンブルシート”を装備。左右シートが回転できる“マルチ回転シート”はオプション設定された。

パワートレインは、最高出力152ps/最大トルク20.4kgmを発揮する2.0L 直4 DOHC直噴エンジンと電子制御4速AT、駆動方式はFFと4WDが用意された。
車両価格は、ノアが189万円~230万円(2WD)/213万円~254万円(4WD)、ヴォクシーも基本的には同額に設定された。
その後進化しながら現在も絶好調のヴォクシー/ノア
ヴォクシー/ノアは、その後も現行4代目まで進化を続けて人気を維持している。


2代目(2007年~)は、“ワンタッチスペースアップシート”など快適性・使いやすさを追求。
3代目(2014年~)では、ハイブリッドモデルが登場し、燃費が大きく向上。また、予防安全技術“Toyota Safety Sense C”が採用された。
現行の4代目(2022年~)は、3ナンバーボディとなって居住性や快適性が改善。また、TNGAプラットフォームによって走行性能と静粛性が向上し、予防安全は最新世代が投入された。

デザインは市場の変化に合わせて洗練されたものとなったが、ノアが落ち着いたファミリー指向で、ヴォクシーが精悍なワイルド指向で差別化されている点は、世代が変わっても不変である。ヴォクシー/ノアは2代目以降も若いファミリー層を中心に圧倒的な支持を得て、常にミニバンTOP5に入る人気を維持している。

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兄弟車と言えば、別系列の販売店からの要望で少しだけフロントマスクを変えて車名も変更して売り出すというのが一般的。ヴォクシーとノアは、兄弟車でありながらまったく別の魅力的なキャラクターを作り出すことで、ユーザーに選択肢を与えて大きな支持を得ているのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。