まずはターミナル&ツールセットを入手しよう

クルマの電装DIYにおいてもっとも参考になるのが、F1やGTカーなどトップクラスのレースマシン。そのエンジンルームを覗くと、整然と並んだプラグコードや目立たないように設置されたワイヤーハーネスなど、シンプルかつ合理的な配線がなされていることが分かる。

もちろん、必要最小限の電装機器しか装着していないレースマシンだからこそシンプルな配線は実現できるもので、ウインカーやらオーディオ等々が装着されて、配線だらけの市販車ではそのままマネをすることは到底無理な話。しかしながら雰囲気ぐらいはフィードバックできそう。

ということでDIYビギナーでも気軽にマネできる、ちょっとした配線のテクニックをいくつか紹介しよう。まずはターミナル&ツールセットを入手。配線作業に必要なコネクターやギボシ端子の他、電工ペンチや検電テスターが付属するセットも用意。予備ポケットもあり、長く使うことができるのだ。

電装DIYを始める際にまず用意したいのが、エーモン『ターミナル&ツールセット 3361/3362/3363(実勢価格:1400円/1600円/2280円/税込)』。配線作業に必要なアイテムをひととおり入手できるのだ。

ちょっとした心配りが安全かつキレイな配線に

一般的な電装DIYでは、たとえばプラスとマイナス端子のように2本以上の配線ケーブルを敷設して、それぞれギボシ端子で接続することが多い。その接続位置をまったく同じにすると、見た目はいいように思えるがその部分だけ太くなってしまう。

そこで接続位置をわざと5cmほどずらして配線するのだ。これは太さが抑えられるだけでなく、作業時のショート防止にもなるのだ。他にも複数の配線をまとめて敷設する際、単に結束バンドでまとめるのではなく、1本ずつ平らに敷設すると見た目もキレイで高さを抑えられるなど、ちょっとした心配りでキレイで安全な配線を実現できるのだ。

2本の配線ケーブルをそれぞれギボシ端子で接続する際、長さを5〜10cmほどずらせば、最小限の太さでキレイに収まる。プラスマイナス電源の場合、作業時のショート防止にもなるのだ。
3本以上の配線ケーブルを敷設する際、まとめて結束バンドでしばるのが手っとり早くて合理的だが、正直あまり美しくない。そこで平面に並べて配線止めテープなどで固定すると出っ張りが少なくなり、床下配線にも最適。見た目も美しく仕上がるのだ。
最近増えている細線を、通常のギボシ端子に圧着する方法がこれ。2〜3本の細線ケーブルをまとめて圧着し、不必要なケーブルを切断するのだ。

電装DIYの主力作業“電源確保”は安全・確実・美しくをモットーに!

現在、電装DIYの主力作業となっているのが電源確保。ドライブレコーダーなど各種電装機器やイルミネーション、USBポートなどに電源を供給するための配線が大きな割合を占めているのだ。クルマから供給できる電源は基本的にはDC12Vで、常時電源・アクセサリー(ACC)電源・イルミネーション電源などクルマの状態に応じてそれぞれ電源が供給される仕組みになっている。もっとも簡単な方法としては、アクセサリーソケットからACC電源、OBD II端子から常時電源といった感じだが、これだけでは接続できる機器は限られてしまう。

そこで活用するのがヒューズボックスである。市販のヒューズ電源を使用すれば、より多くの電装機器に電源を供給することができるのだ。電流容量(A)も引き出すヒューズのアンペア数から使用可能電流がすぐに分かるので、より安全に電源を引き出せるというわけだ。

他にもカーオーディオの接続端子から分岐して、アクセサリー電源や常時電源、イルミネーション電源を引き出すことも可能。さらに車載バッテリーから直接、常時電源を取り出すこともできる。もちろん配線はここまで紹介してきた方法を参考に「安全・確実・美しく」を心がけよう。

元々は車載ECUと接続し、故障情報や速度信号など様々なクルマの情報を引き出すための端子だが、ここからACC電源と常時電源を引き出すことが可能だ。
ヒューズボックスの取り付け位置は運転席や助手席の足元、エンジンルーム内など車種によって様々。検電テスターなどを使って、どの種類の電源が来ているかを確認する。
ヒューズ電源はそれぞれのヒューズの容量によって、引き出せるアンペア数が決まっているので、より安全に電源を引き出すことができるのだ。