普通車の反則金は6000円!支払わないと5万円以下の罰金になることも
じつは、積雪路や凍結路を冬タイヤの装着なしで走行することは、キケンなだけでなく法令違反。沖縄県を除く、すべての都道府県道路交通法施行細則または道路交通規則では、積雪または凍結した路面での冬用タイヤの装着など、いわゆる防滑措置の義務が規定されており、違反して捕まれば普通車・二輪車は反則金6000円の対象だ。
違反点数が付かないことから、反則金を支払わないドライバーも稀にいるようだが、反則金を支払わないと他の交通違反と同様に刑事手続きが行われ、反則金から5万円以下の罰金に変わることがある。罰金は刑事罰のため、前科がつくことも考えられる。怖い話だが、前科の記録は本籍地のある市区町村の犯罪人名簿に記録されてしまう。そして、前科は一度つくと生涯消えることはないのだ。

夏タイヤで事故を起こせばすぐにネット上で晒される
たとえば、雪道で夏タイヤ装着のままの走行が原因で事故を起こしたとしたら、どうなるだろうか。ネット社会の現在、ニュース等のちょっとした画像から夏タイヤを履いていたことは、すぐにバレてしまい事故画像とともに情報は拡散。ネット民の個人特定能力は優秀だから、どこの誰が事故を起こしたかなど、あっという間に特定されてしまう。事前に雪が降る予報が出ていたにもかかわらず、夏タイヤで出かけていたとしたら非常識として晒され炎上。白い目で見られることは間違いなく、肩身が狭い思いして暮らすことになるだろう。

積雪や凍結路面の危険に対する認識が甘すぎる
非降雪地域に住んでいるドライバーは、冬に冬タイヤが安全であることを認識していても、夏タイヤが雪道でどのくらい危ないかをしっかり認識している人は少な過ぎるようだ。だから、安易に自分は平気だろう、と雪が降っていても夏タイヤで走ってしまうのだろう。
では、積雪路や凍結路を夏タイヤで走行することはどれくらいキケンなのだろうか?
夏タイヤで積雪面や凍結路を走行すると、ブレーキを踏んでから停止するまでの制動距離が長くなり、追突など事故のリスクが増大する。これは、乾燥路の路面摩擦係数が0.7~0.9あるのに対し、圧雪路では0.2~0.4。凍結路では0.1~0.2と圧倒的に小さくなり、極めて滑りやすい状況になるからだ。
実際、JAFのユーザーテストで、夏タイヤとスタッドレスタイヤでの制動距離比較を行ったところ、スタッドレスタイヤの制動距離を1とすると、夏タイヤは圧雪路で1.7倍、凍結(氷盤)路で1.8倍も長い距離が必要という結果が出ている。

冬道は、路面自体が滑りやすくなる。(JATMA資料より)
非降雪地域で雪が降っていなくても凍結路面はあちこちにある
凍結路面でクルマが止まらないという事実は、非降雪地域で雪が降っていなくても路面によっては夏タイヤが危険であることを示している。雪が降っていなくても、気温の低下によって冬季に路面が凍結する場所が非降雪地域でもあちこちにあるからだ。
路面は、気温がある温度まで低下した瞬間に一気に凍結する。夏タイヤのまま凍結路面に遭遇すれば、ブレーキが効かない、操舵が効かない、結果、スピン等に見舞われる危険性ある。冬タイヤを装着していれば、そんな凍結路面での危険を回避できる可能性があるのは、いうまでもないだろう。
冬タイヤは、積雪路や凍結路で装着していないとキケンなことはもちろん、法令違反で反則金の対象になることを、しっかり忘れないようにしたいもの。そして、万が一の凍結路面での事故を未然に防ぐためにも、非降雪地域のドライバーも冬には冬タイヤを前提にしたい。

