冬の燃費悪化の要因は、寒さによる暖機時間の増加と暖房使用

冬季の燃費悪化のもっとも大きな要因は、低い外気温によってエンジンが適正温度まで温まるまでに要する時間が長くなることにある。
エンジン始動直後はアイドリングの安定化に加え、触媒の排ガス浄化能力を早期に発揮させるためにエンジン回転数を高めるアイドルアップ制御が行われて燃料噴射量が増大する。走行時も、水温が低い状態では暖機を促すために燃料噴射量を増やす制御が行われる。
冬は寒さによってエンジンの熱効率が低い状態が続くため燃費が悪化しやすい。こうした冬季の燃費悪化はハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)はもちろん、電気自動車(EV)でも起こる。
モーターを積極的に使って走行するよう制御されるHVやPHEVでは、車内温度を保つためにエンジンが頻繁に始動し、温かい時期に比べてエンジンの稼働時間が大幅に増加するため、とくに燃費の悪化が著しい。
暖房の熱源をすべて電力で賄うEVでは、空調暖房の使用が走行可能距離を大きく引き下げる要因となる。さらに、これらの電動車は寒さで駆動バッテリーの反応が低下しがちなため、燃費や電費の低下に拍車をかけることになる。
冬季ならではの交通環境も燃費低下の要因に

冬特有の走行環境も燃費低下に関わる。とくに寒冷地では、走行前に車内を温めるための暖房使用が避けられず、アイドリング時間の増加が燃費を悪化させる大きな要因だ。
積雪路や凍結路では、路面抵抗の増大やスリップによるエネルギーロス、安全確保のための低速走行なども燃費悪化の要因となる。また、スタッドレスタイヤは夏タイヤに比べて転がり抵抗が大きいため、わずかではあるが燃費を悪化させる。
シートヒーターなどの電装品の使用が増えることも、オルタネーター(発電機)への負荷を増大させ燃費悪化につながる。加えて、日照時間が短い冬季はヘッドライトの点灯時間も長くなるため発電負荷は増えがちだ。
さらに細かな点を挙げるとすれば、タイヤチェーンなどの冬用装備の積載による重量増加もわずかながら燃費悪化の要因となるうえ、冬場は空気密度がわずかに上昇するため、高速走行時の空気抵抗も微増する。
夏場の燃費悪化はエアコンの使用による場合がほとんどだが、冬はクルマを取り巻くあらゆる点が燃費悪化に関わってくる。
冬の燃費悪化を抑えるためにできること

冬の低い気温や交通環境自体を変えることは不可能だが、燃費悪化を抑えるためにできることはある。
停車した状態での暖機運転は最低限に留め、走行しながら穏やかにエンジンの温度を上げる「走行暖機」が冬季の燃費悪化防止に有効だ。また低温下ではタイヤの空気圧が低下しがちになるため、適正値を維持することが燃費維持につながる。
使用しないルーフキャリアやルーフボックスは、空気抵抗を増やし燃費を悪化させるため、外しておくのが望ましい。とくに高速走行をするなら、使っていないルーフボックスは積極的に外すべきだ。
エアコン(A/C)スイッチを常時オンにしているなら、オフにすることも一つの方法となる。エンジン車の暖房はエンジンの排熱を利用しているため、A/Cスイッチをオフにしても暖房能力自体にはほとんど影響がない。
冬季におけるA/Cスイッチオンは、暖房ではなく除湿による窓の曇り止めが主目的であり、夏場の冷房使用時ほどではないがエンジンの負荷となる。
EVは暖房の使用状況が航続距離に大きく影響するため、空調よりもシートヒーターやステアリングヒーターなどの身体を直接温める暖房器具を優先的に使うとよいだろう。
暖房の設定温度を低めにして厚着などの衣類で寒さをカバーするだけでも、EVの航続可能距離は変わってくる。敬遠されがちなドライビンググローブは防寒に加え、ハンドルの操作性向上にも効果がある一石二鳥のアイテムだ。
