最新モデル「EDFC5」の実力とは?

トップドライバーが最新の電子制御システムを評価!

多彩なモータースポーツの現場で培ったノウハウを背景に、ストリート向けからサーキットユースまで幅広い車高調を展開する“テイン”。

その減衰力調整式サスペンションを、さらに高次元へと引き上げるのが電動減衰力コントローラー「EDFC5」だ。ジャーク制御とAI補正を組み合わせた最新の電子制御システムは、これまでの常識を大きく塗り替える存在となっている。

そもそも減衰力調整は、乗り心地や走行安定性を左右する重要な要素でありながら、かつては走行中に変更できないものだった。だがテインは2002年、室内から減衰力を調整できるEDFCを開発。その後、EDFCアクティブ、EDFC2、EDFCアクティブプロと進化を重ね、2023年にジャーク制御とAIを搭載したEDFC5へと辿り着いた。

「芝浦工業大学の学生フォーミュラを支援する中で、渡辺教授が研究されていたジャーク制御を減衰力制御に応用してみたところ、理論通りの挙動が得られました。そこから産学連携で製品化を進めたのがEDFC5です」と語るのは、テイン開発部の渡邊さん。

旋回性能を高める対角輪制御に加え、走らせ方に応じて制御強度を変化させるAI補正を導入することで、シャープなハンドリングと快適な乗り心地の両立を実現している。

従来のG感応制御では、加減速や操舵初期の動きに対する減衰力調整が間に合わない場面もあった。しかしGの変化量を事前に検知するジャーク感応制御なら、ターンインや加減速の始まりに合わせて即座に減衰力を制御できる。その結果、直進時は快適性を確保しつつ、ターンイン初期は対角輪を制御して旋回性を高め、旋回中はアウト側の減衰力を引き締めるといった高度な統合制御が可能となった。荷重移動時のオーバーシュートを抑え、車両挙動を安定させる…それがEDFC5の本質だ。

EDFC5はモード切り替えに留まらず、制御内容の細かな設定変更もコントローラー側で行えるほどの自由度を持つ。その性能は、FDJ(フォーミュラ・ドリフト・ジャパン)ではレギュレーションで使用禁止となったほど。難しい理論を意識せずとも、減衰力をフルソフトに設定したテインのサスペンションにEDFC5を組み合わせ、G感応とジャーク感応を有効にするだけで、「運転が上手くなった」と錯覚するほどの安定感が得られる。

この性能にいち早く注目したのが松田次生選手だ。複数の愛車にEDFC5を装着し、Z34での富士スピードウェイ走行では大幅なタイムアップを記録。今回はスパ西浦を舞台に、愛車CPV35で改めてその効果を検証した。

「ジャーク制御とAIが加わったEDFC5は、各モードの違いが非常に分かりやすい。ジャーク制御を入れることでロールスピードが抑えられ、アンダーやオーバーが出にくくなり、より奥まで攻められます。自分のCPV35では、現状はジャーク制御のみを使い、対角輪制御をオフにする設定がベスト。バンプラバーを薄くしてストロークを確保すれば、さらに良くなると思います。荷重移動が苦手な人でも、ジャーク制御が自然にアシストしてくれる。足回りを進化させたい人に最適な“電脳アイテム”ですね」

最新の制御理論と、長年のモータースポーツ現場で培われたノウハウを融合させたEDFC5は、もはや単なる減衰力コントローラーではない。走りそのものを底上げする新世代デバイスとして、ストリートからサーキットまでドライバーの意思に寄り添う存在へと進化した。セッティングに悩むユーザーほど、その違いは走り出した瞬間に体感できるはずだ。

●問い合わせ:テイン TEL:045-810-5501

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