中身は最新、見た目はクラシカルなバイク

ネオクラシックバイクといえば、たとえば、大型バイクの場合、2017年の発売から異例ともいえる大ヒットを続けるカワサキの「Z900RS」を筆頭に、話題の新型にはホンダ「CB1000F/SE」やスズキ「GSX-8T/8TT」などが挙げられる。

また、250ccや400ccなどの中型クラスでも、ホンダ「レブル250」や「GB350」などがあるし、ほかにも、900ccから125ccまで豊富なラインアップを揃えるヤマハの「XSR」シリーズなど、人気モデルが目白押しだ。

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豊富なランアップを誇るヤマハのXSRシリーズも人気のネオクラシックバイク(写真はXSR900)

これらは、主に丸型ヘッドライトや丸みを帯びたタンク形状、メッキパーツなど、昔のバイクをイメージさせる装備を持つことが多い。また、一方で、走行性能はもちろん、始動性やメンテナンス性、燃費、安全装備においては最新の技術が搭載されていることがほとんどだ。

たとえば、カワサキのZ900RSは、往年の名車「900スーパー4」、通称「Z1」のフォルムを再現したスタイルを採用。ティアドロップ型の燃料タンクや砲弾型の2連メーターなど、Z1を彷彿とさせるクラシカルな装備を持つことを特徴とする。

一方で、エンジンには、最高出力111PSを発揮する948cc・水冷並列4気筒を搭載し、トラクション・コントロールなどによって安定した走りも実現する。さらに、2026年2月に発売予定の新型では、8年ぶりのフルモデルチェンジを実施し、エンジンなどを刷新。最新の排ガス規制ユーロ5+に対応したほか、電子制御スロットルや6軸IMU(慣性計測ユニット)など採用で、電子制御システムをさらに進化させ、より走りを磨いている。

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カワサキ・Z900RSの2026年モデル
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Z900RSの元ネタといえる900スーパー4、通称Z1

一方、ホンダの新型「CB1000F」とそのビキニカウル版「CB1000F SE」は、1970年代後半から1980年代に人気を博した名車「CB750F」、その輸出仕様車「CB900F」をオマージュ。燃料タンクの形状などは、硬さと柔らかさをバランスさせることで、かつてのCB750Fなどを想起させつつ、今風のテイストもマッチングする。また、エンジンには、スーパースポーツの2017年型「CBR1000RR」用を搭載。低・中速域のトルク特性と出力特性を高いレベルでバランスさせたセッティングを施すことで、幅広いライダーが扱いやすい特性も実現する。

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ホンダ・CB1000F
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ホンダ・CB1000F SE
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1979年に登場した名車CB750F

ほかにも、スズキが2026年の発売を予定する「GSX-8T」とそのミニカウル版「GSX-8TT」も、1960年代の高性能ネイキッドバイクで、「タイタン(Titan)」の愛称で知られる「T500」をオマージュ。こちらは、スタイル自体を元ネタにあまり近づけてはいないが、丸目ヘッドライトやグリップエンドにミラーを備えるバーハンドルなどで、レトロでスタイリッシュなフォルムを実現する。エンジンには、「GSX-8S」などと同様、270度クランクを採用した776cc・水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒を搭載。独自の2軸1次バランサー「スズキクロスバランサー」の採用で、エンジンのコンパクト化や軽量化なども実現している。

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スズキ・GSX-8T
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スズキ・GSX-8TT
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GSX-8Tは「タイタン(Titan)」の愛称で知られる「T500」をオマージュする

さまざまなタイプが選べる

このように、クラシカルな造形に現代的な性能を融合させたモデルがネオクラシックバイク。その人気の高さにより、現在のトレンドのひとつになっているといえる。

また、一口にネオクラシックバイクといっても、さらにスタイルが分かれていることも特徴だ。

たとえば、先述のZ900RSやCB1000F/SEなどは、かつての名車のオマージュ系。また、ホンダ「レブル250/E-クラッチ」などは、昔からアメリカンの定番といえる「クルーザー」というスタイルを採用する。

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ホンダ・レブル250E-クラッチ

さらに、「Z900RSカフェ」などは、1960年代の英国などで流行ったカスタムバイクをイメージさせる「カフェレーサー」というスタイル。ほかにも、ホンダ「CL250/E-クラッチ」などは、1950年代や1960年代に生まれたスタイルで、オンロードバイクをベースにオフロード走行にも対応させた「スクランブラー」というバイクをオマージュしている。

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カワサキ・Z900RSカフェの2026年モデル
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ホンダ・CL250E-クラッチ

このように、多様なユーザーの好みにマッチさせ、幅広いスタイルを持つこともネオクラシックというジャンルの特徴だといえる。しかも、これらの多くがヒットしていることから、今後もこのジャンルが注目される存在であり続けることは間違いないだろう。