連載
今日は何の日?■セリカのセダン版として登場したカリーナ

1970年(昭和45)年12月1日、トヨタはスポーティな2ドア/4ドアセダン「カリーナ」を発売した。カリーナは、コンポーネントの多くを共有するスペシャリティカー「セリカ」の兄弟車であり、セリカのセダン版という位置付けでセリカと同日にデビューした。
日本初のスペシャリティカー、セリカ誕生
1970年12月のこの日、カリーナの発売日と同時に日本初のスペシャリティカーとされる「セリカ」が誕生した。スタイリングは、ジェット機の翼に採用されている層流翼を意識した断面形状をベースに、ロングノーズのピラーレス・ハードトップのクーペである。

パワートレインは、最高出力86psの1.4L、100psの1.6L 直4 SOHC、105psを発揮する1.6L 直4 SOHCツインキャブ仕様の3種エンジンと、3速ATおよび4速/5速MTの組み合わせ、駆動方式はFRだった。
また1971年4月には、最強モデル「1600GT」が追加された。ヤマハ製の最高出力115ps/最大トルク14.5kgmを発揮する1.6L 直4 DOHCツインキャブエンジンと5速MTを搭載。最高速度は、190km/hという圧倒的な速さを誇り、多くの若者から人気を得た。

1973年にはテールゲートをヒップアップさせたハッチバック「セリカLB」がデビュー、人気はさらにヒートアップしてセリカを歴史に残る名車へと押し上げたのだ。
セリカと同日に発売されたセダン版兄弟車カリーナ


セリカと同時に発売された兄弟車「カリーナ」は、主要なシャシー部品やエンジンラインナップをセリカと共用化し、絶対的な性能ではセリカに一歩譲るものの、“足のいいやつ”のキャッチコピーが表すように軽快な走りが特徴のスポーティなセダン、セリカのセダン版といったところだ。

スタイリングは、丸型4灯式ヘッドライトの内側2個を分割したフロントグリルを装備した、当時流行のロングノーズ&ショートデッキのセミファストバックの2ドア/4ドアセダンだった。パワートレインは、セリカと同じ1.4L&1.5L 直4 SOHC、1.6L直4 SOHCのツインキャブ仕様の3種エンジンと3速ATおよび4速/5速MTの組み合わせ。

翌1971年にはセリカと同じく、2ドアセダンに1.6L 直4 DOHCツインキャブエンジン搭載のトップグレード「1600GT」を追加、1972年にはハードトップが設定された。セダンより45mm車高の低い2ドアハードトップは、パドレスピラーを用いたファストバックスタイルと、立体的で横長のリヤコンビネーションランプによってスポーティさをアピールした。
車両価格は、50.9万~63.4万円(1.4L車)/60.4万~70.0万円(1.6L車)に設定。当時の大卒初任給は、3.7万円(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約316万~394万円/375万~435万円に相当する。ちなみにセリカの価格は、57.2万~64.9万円(1.4L車)/69.4万~78.35万円(1.6L車)の設定だった。

セリカは若者から圧倒的な支持を受けて大ヒット、一方カリーナは特に派手さは好まないが、性能的にはレベル以上を求める一般ユーザーから人気を獲得した。





カリーナと言えばカリーナED

カリーナは、その後もスポーティなセダンとして安定した人気を獲得したが、なかでも大ヒットしたのは1985年に登場した「カリーナED」だ。実質的には3代目カリーナクーペの後継であり、プラットフォームはFFに代わったセリカと共用化していた。

“4ドアでありながら、クーペのフォルム”のキャッチコピーでデビューしたカリーナEDは、トヨタ初のセンターピラーレスの4ドアハードトップを採用。4ドアながら車高はカリーナ・セダンより55mmも低く、セリカより15mm高いだけという、4ドア車としては当時世界で最も低い1310mmの車高だった。

パワートレインは、最高出力105ps&115psの1.8L 直4 SOHC、160psの2.0L 直4 DOHCの2種のエンジンと、4速ATおよび5速MTの組み合わせ。
当時は空前のバブル景気に火がついた頃、市場では「マークII 3兄弟」に代表される豪華さが売りの“ハイソカー”の大ブームが起こっていた。一方、お洒落でスポーティな4ドアハードトップのカリーナEDは、背伸びしない若者のデートカーとして、また子供を持つクルマ好きのヤングファミリー層から支持され、約4年間で26万台を超える大ヒットモデルとなったのだ。
・・・・・・・・・・
カリーナは、“セリカのような若者が好むスポーツカーのような派手なクルマはちょっと…“と考えるクルマ好きにとっては絶好のクルマだった。見た目は落ち着いていながらもスタイリッシュで、それでいて走る楽しさを満喫できるクルマだったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

