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今日は何の日?■ミニバンの始祖リバティの後継ラフェスタ

2004年(平成16)年12月2日、日産自動車はミニバンの始祖とされる「リバティ」の後継となる5ナンバーミニバン「ラフェスタ」をリリースした。ラフェスタは、開放感のある大きなウインドウやパノラミックルーフ、両側スライドドア、多彩なシートアレンジなどで開放感と明るさに満ちた広い室内空間が特徴だった。
日産再生のための世界戦略車ラフェスタ
1990年代初頭のバブル崩壊以降、経営悪化に苦しんでいた日産は1999年にルノーと提携して傘下に収まることになった。最高経営責任者に、当時ルノーの副社長だったカルロス・ゴーン氏を迎え、大胆なリストラ策などの“日産リバイバルプラン”を敢行。V字回復によって2003年に負債を完済し再生は成功した。
その勢いで、日産は世界戦略車の開発に注力し、“SHIFT(変革)”をテーマに2004年から以下の6台の新型車を次々と投入した。
・ムラーノ:ラージサイズのクロスオーバーSUV
・フーガ:セドリック/グロリアの後継となる高級セダン
・ティーダ:パルサーの後継となるハッチバック
・ティーダラティオ:サニーの後継となるティーダ派生の小型セダン
・ラフェスタ:リバティの後継となる7人乗りミニバン
・ノート:ファミリー向けのコンパクトカー

楽しく過ごせる開放感あるミニバンを目指したラフェスタ

2004年12月のこの日、5ナンバーサイズのミニバン「ラフェスタ」はデビューした。ラフェスタのテーマは、“開放感をシフトする”であり、乗降のしやすさや優れた視界など、開放感と明るさに満ちた快適なドライブが楽しめることを目指した。

ミニバンとしてはやや低めの全高ながら、車室空間を確保するボクシーなフォルムに、電動シェードとUVカット機能を備えた大型サンルーフ“パノラミックルーフ”が標準装備され、ウインドウサイズも同時代のミニバンと比べて大きく取り開放感をアピールした。

また、両側スライドドアを備え、2列目のチャイルドシートへアクセスしやすくした“ベビーフレンドリーモード”など多彩なシートアレンジも設定。ターゲットである小さい子供を持つ家族が楽しく過ごせる、開放感あるミニバンに仕上げられた。

パワートレインは、2WD仕様で最高出力137ps/最大トルク20.4kgm(4WD仕様は129ps/19.1kgm)を発揮する2.0L 直4 DOHCエンジンとエレクトロニックCVTの組み合わせ。駆動方式はFFと4WDが用意された。
車両価格は、185.85万~205.8万円(2WD)/211.05万~231.0万円(4WD)に設定。パノラミックルーフレス仕様は7万円ほど安価である。

ラフェスタの販売は好調だったが、ミニバンブームが加速する中でトヨタ「ウィッシュ」やホンダ「ストリーム」などライバルの人気に押されて、人気は徐々に下降線をたどるようになった。
2代目ラフェスタは、マツダ「プレマシー」のOEM車に
2011年に登場した2代目ラフェスタ「ラフェスタハイウェイスター」は、マツダの「プレマシー」のOEM車となった。

プレマシーは、1999年に誕生した「ファミリア」をベースにした5ナンバーサイズのミニバンで、当時ブームとなっていたセダンのような取り回しの良さと広い室内空間の両立を狙った乗用車ライクなミニバンだった。

初代はミニバンブームの中では地味だったが、使いやすさと広い室内空間で堅調な販売を記録。2005年に3ナンバーボディとなった2代目を経て、2010年にラフェスタハイウェイスターのOEM供給車となった3代目プレマシーへとモデルチェンジした。
3代目プレマシーは、“コンテンポラリー・スマート・チョイス~時代にあったスマートな選択~”をコンセプトに、スタイリッシュなデザイン、両側スライドドア、多彩なシートアレンジが特徴。さらに、直噴エンジンの搭載やアイドルストップ“i-stop”の採用で実現された優れた燃費性能も大きな魅力だった。
ただし、マツダは2017年にミニバンの自社開発・生産から撤退することを発表し、3代目プレマシーは、2018年2月に生産を終了。これに伴い、OEM車だったラフェスタハイウェイスターも、2018年3月に販売を終了した。
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販売当初は、開放感のある個性的なスタイリングで人気を集めていたラフェスタだが、2005年頃から背の低いロールーフのミニバンより、利便性が高いハイルーフのミニバンの人気が徐々に高まった。そのような流れの中で、乗用車ライクなラフェスタもプレマシーも終焉を迎えたのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。






