パーキングブレーキが凍結するには2つの条件がある

電動パーキングブレーキには、車体側のモーターアクチュエーターでワイヤーを引っ張る方式と、ワイヤーを用いずブレーキキャリパーに備わったアクチュエーターで直接パーキングブレーキを動作させる方式の2種類がある。しかし、どちらの方式でも凍結の可能性はある。

パーキングブレーキ(サイドブレーキ)の凍結は、雪国や寒冷地では昔から知られている現象だ。

以前はブレーキワイヤーが車体下で露出しているクルマも多かったが、ここ20〜30年のクルマはワイヤーがカバーで保護されているため、パーキングブレーキが凍結するケースは珍しくなっている。

しかし自動車メーカーが語るように、現代のクルマでもパーキングブレーキが凍結する可能性はある。しかし、条件が整わなければ凍ることはない。

パーキングブレーキが凍結する条件は「気温が氷点下であること」と「パーキングブレーキの作動部に水が付着していること」の2つだ。

これらの条件が揃うと電動パーキングブレーキであれ、手動パーキングブレーキであれ、システムの一部が凍結してパーキングブレーキの解除ができなくなる。

パーキングブレーキの凍結は、氷点下環境であっても確実に起こるわけではない。おおよそマイナス10℃以下が気温の分水嶺と言えるだろう。

ただし、ブレーキパッドが濡れた状態やドラムブレーキの内部に水が入った状態では気温が大きく下がらずとも、凍結しやすい環境ができ上がる。また、ブレーキワイヤーを保護するゴムブーツやワイヤーカバーが破損している場合も、水分が混入しやすくワイヤーの凍結が起きがちだ。

解除できずに走行不能!? サイドブレーキが凍結したらどうするべき?

パーキングブレーキが凍結してクルマが動かせなくなった場合は、ロードサービスや専門家に頼るのが賢明だ。

凍結した場合は、そもそもパーキングブレーキが解除できないため走ることができない。

軽度の凍結なら走行することで熱が伝わり解凍される場合があるが、凍結場所や程度によってはブレーキの引きずりを起こし、過熱してブレーキが効かなくなったり、ブレーキシステムやハブベアリングの破損を引き起こす恐れがある。

パーキングブレーキが凍結した場合の対処方法は、解氷スプレーやお湯をかけて凍結部分を解凍するのが有効とされているが、解凍作業にも注意が必要だ。

お湯を使う場合は、急激な温度変化で部品を破損させる恐れがあるため、熱湯ではなく「ぬるま湯」を使って時間をかけて解氷するのが鉄則だ。

ただし極寒冷地ではブレーキシステムやワイヤーにぬるま湯をかけて解凍を試みると、すぐに冷え固まり、凍結を助長する恐れもある。また、むやみに解氷スプレーを使用すると、その主成分であるアルコール類がワイヤーのアウターケーブルやゴムブーツなどの樹脂部品を痛めてしまう可能性もある。

そもそも、ブレーキシステムの厳密な凍結箇所を特定するのは困難であるうえ、凍結箇所にアクセスすること自体が難しく、とくに出先で対処するのは不可能と言ってよいだろう。

パーキングブレーキが凍結してしまったらクルマは無理に動かさず、ロードサービスや整備工場などの専門家に任せるのがもっとも安全な対処法だ。

日中暖かく夜が極端に冷え込む日は凍りやすい!スキー場は要注意

「雪国だから凍る」「寒冷地だから凍る」の認識は正しくもあり、間違いでもある。雪をかき分けて進んだ直後の駐車は、それほど気温が下がらなくともパーキングブレーキが凍りやすい。雨天の後に急速に気温が下がる環境では降雪地でなくとも凍る。凍るのはあくまで「水」だ。

パーキングブレーキの凍結を防ぐもっとも確実な方法は、凍結する恐れがある環境で使用しないことだ。

オートマチック車であればPレンジに、マニュアル車であれば1速またはリバースに入れてエンジンを切り、前後輪に輪留めを使用してクルマを確実に固定しよう。

そこで問題となるのは「パーキングブレーキを使う/使わない」の判断基準だ。

前述したとおり、停車中に気温がマイナス10℃以下にまで下がる場所では使用を避けた方がよいだろう。翌日が快晴の日は、放射冷却で夜間の気温が大きく下がるため注意しよう。

また、降雪や雨天により走行後などでブレーキが濡れている場合も、その後の気温低下で凍結する可能性が高まるためパーキングブレーキの使用は控えたい。

加えて、スキー場もパーキングブレーキの使用を避けたいシーンだ。山間部にあるスキー場では、道中の山道でブレーキが高温になりやすく雪が付着して濡れやすい。そのうえ高標高と夜間の低気温が凍結を促す。

泊りがけのスキー旅行の翌朝にパーキングブレーキの凍結が起こりやすいのは、以上のような理由が考えられる。