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今日は何の日?■ハイブリッド専用車SAIはレクサスHS250hの兄弟車

2009(平成21)年12月7日、トヨタはトヨタブランドとして「プリウス」に次ぐハイブリッド専用車である「SAI」を発売した。トランクを持つセミファストバックスタイルの4ドアセダンで、先行して7月にデビューした「レクサス HS250h」の兄弟車で基本コンポーネントを共有している。
SAIも使った3代目プリウスのリダクション付THS II

世界初の量産ハイブリッド車「プリウス」が誕生したのは1997年12月のこと。プリウスが採用したハイブリッドシステムは、1.5L 直4エンジンとTHSを組み合わせたシリーズ・パラレル式である。

プリウスは、2003年9月に初めてのモデルチェンジで2代目に移行。エンジンは初代と同じ1.5L 直4 DOHCだったが、ハイブリッドシステムは駆動電圧の高電圧化やモーター出力を33kWから50kWに高めた新世代THS IIが搭載された。

さらなる進化を目指した3代目プリウスは、2009年5月にデビューした。3代目のTHS IIは、モーター出力(50kW→60kW:82ps)の増大とともに、エンジン排気量を1.5Lから1.8L 直4 DOHC(99ps)へと拡大し、エンジン+モーターの最高出力は110psから136psへと大きく向上して2.4Lクラスの性能が実現された。またこのTHS IIには、モーターのトルクを増幅させるリダクションギアが付加されていることが特徴である。

3代目プリウスの燃費は、世界トップの38.0km/L(10-15モード)を達成し、しかも車両価格は何と先代より30万円近く安い205万円(低グレード)に設定。ハイブリッドは高いという市場の声を一蹴し、2代目に続いて爆発的なヒットとなり、ついに年間販売ランキング第1位を記録した。
この3代目に使われたハイブリッドシステムのリダクション機構付THS IIが、半年後に登場したSAIにも適用されたのだ。
プリウスに続いたハイブリッド専用車SAI


2009年12月のこの日、トヨタブランドとしてはプリウスに続く第2弾となるハイブリッド専用車「SAI」がデビューした。同年7月に発売された「レクサスHS250h」と基本コンポーネントを共有した兄弟車という位置付けであり、ハイブリッドシステムは3代目プリウスのリダクション付THS IIをベースにした。

SAIは大き目のプリウスと言えるようなフォルムで、プリウスの上級モデルを謳った。トランクを持つセミファストバックスタイルの4ドアセダンで、空力特性は床下のフラット化まで実施し、クラストップレベルのCd値0.27を誇った。
インテリアはハイブリッド車らしく、モニターには充電状況や燃料系などのエコ情報やエコ運転を支援する“ESPO”画面を表示。さらに、トヨタ車では初となるリモートタッチも採用された。また、遮音材、制振材をボディ各所に配置し、アコースティックガラスを採用するなど、車内はクラウンよりも静かだということを訴求ポイントのひとつに掲げていた。
ハイブリッドシステムは、上記の3代目プリウスと同型のリダクション機構付THS IIだが、エンジンは最高出力150psの2.4L 直4 DOHCを搭載。これに143psを発揮するモーターを組み合せて、燃費は23.0km/L(10-15モード)を達成した。

車両価格は、338万~426万円に設定。3代目プリウスよりも約100万円高額だった。

SAIと3代目プリウスの比較
プリウスの上級版とされるSAIと3代目プリウスの基本スペックを比較してみた。

・ボディサイズ(全長×全幅×全高[mm])
SAI=4605×1770×1495mm
3代目プリウス=4460×1745×1490mm
・ホイールベース/車重
SAI=2700mm/1570~1590kg
3代目プリウス=2700mm/1310~1350kg
・エンジン出力
SAI=2.4L直4/最高出力150ps/最大トルク19.1kgm
3代目プリウス=1.8L直4/99ps/14.5kgm
・モーター出力
SAI=最高出力143ps
3代目プリウス=136ps
・車両価格
SAI=338万~426万円
3代目プリウス=205万~327万円
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絶好調だったプリウスの勢いに乗って、高級志向の中高年層をターゲットに売り出したSAIだが、結果は期待したほど評価されなかった。価格がプリウスより100万円程度高い割に、見た目はプリウスとよく似ていたために差別化できず、中途半端な位置づけになってしまったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。






