連載

今日は何の日?

■マツダのボンゴに新型ディーゼルエンジン搭載

2003年にデビューしたマツダの新短期規制対応「ボンゴブローニイバン」

2003(平成15)年12月9日、マツダは商用車「ボンゴバン/トラック」に新開発のディーゼルエンジンを搭載したモデルを発売した。新開発の2.0L 直4コモンレールディーゼルターボに、排気系にDPFを装備することによって、2003年から施行された新たな排ガス規制(新短期規制)に対応した。

ワンボックスカーのパイオニア的存在のボンゴ

初代ボンゴ800(1966年発売)

1966年5月に誕生したボンゴは、超低床のRR(リアエンジン・リアドライブ)レイアウトで、商用車のワンボックス型バンとトラック、乗用ワゴン「コーチ」の3つのモデルが設定された。

パワートレインは、最高出力37psのファミリア用アルミ製800cc(その後1.0Lに拡大)直4 OHVエンジンと4速フロア式MTの組み合わせ。エンジンは、最高出力を下げて低中速トルクを上げるチューニングとしたため、実用域で力強い走りができた。

マツダ初代「ボンゴ」

ボンゴシリーズは、利便性の高さから人気を獲得したが、特に超低床の多目的車として登場したコーチは大ヒットし、ワンボックスカーのパイオニアとなった。その後、同様のコンセプトのトヨタ「ミニエース(1967年~)」や三菱自動車「デリカ(1968年~)」が登場したが、コーチはそれらの先駆的なクルマとなった。

2代目、3代目とさらに進化してマツダの中核モデルに

1977年に登場したマツダ2代目「ボンゴトラック」。超低床でアプローチのし易さがアピールポイント

初めてのモデルチェンジを迎えた2代目ボンゴシリーズは、1977年にトラック、1978年にワンボックスの商用マルチバンと乗用マルチワゴンの3モデルが設定された。

1977年に登場したマツダ2代目「ボンゴ」。

エンジンは、最高出力77psの1.3Lと82psの1.6L 直4 OHV、ワゴンには95psの1.8L 直4 OHVを搭載し、初代にも増して力強い走りを実現。駆動方式は、初代のRRから前席下にエンジンを置いたFR方式に一新され静粛性が向上した。

マツダ3代目「ボンゴ」

1983年9月には3代目にモデルチェンジ。RVブームを意識した“機能したたか、楽しさフルハウス”を謳い、標準ルーフとハイルーフが設定された。モノコックボディのボクシーなスタイリングで、端正なフロントマスクや広いウインドウ、幅広なサイドモールなどが特徴だった。

パワートレインは、最高出力97psの1.8L 直4 SOHC、69psの2.0L 直4 SOHCディーゼルの2種エンジンと、5速MTおよび4速ATの組み合わせ。当初はFRだったが、1984年にはパートタイム4WDが追加された。

2代目と3代目も堅調な販売を続け、中核モデルとしてマツダの屋台骨を支えた。

RVを意識したスタイリングと安全性の強化を図った4代目

1999年、ボンゴは久々のモデルチェンジを行ない4代目に移行した。

1999年にデビューしたマツダ4代目「ボンゴブローニイバン」

4代目の特徴のひとつは、安全性が高められたことである。車両前部に衝突安全性を高める衝撃吸収ブレームを組み込み、これに合わせてシャシーやボディ剛性も強化。さらに側面衝突に備え、フロントドアとスライドドアにはサイドインパクトバーが内蔵された。

スタイリングは、延長されたノーズと異形ヘッドランプのフロントマスクを特徴とする端正なキャブオーバースタイルで構成。また、サイドストライプデカールやリアステップバンパー、ツートンボディカラーでRV色を強調。また、広くてフラットな荷室空間はクラストップレベルだった。

パワートレインは、90psの1.8L 直4 SOHC、79psの2.2L 直4 SOHC渦流副室式ディーゼルの2種エンジンと、5速MTおよび4速ATの組み合わせ。駆動方式は、FRとパートタイム4WDが用意された。

新短期規制に対応するため“新エンジン+DPF”に換装

新短期規制適合のために搭載された新型2.0L直4コモンレールディーゼルターボエンジン
新短期規制適合のために排気系に搭載されたDPF
新短期規制適合のためのディーゼルエンジン技術

1990年代、ディーゼル車から排出されるPM(粒子状物質)による健康への影響が社会問題となったことから、ディーゼル車は乗用車、商用車問わず排ガス規制強化が進められた。1994年には、HC、CO、NOxに加えてPMも規制対象とする短期規制が開始。さらに、2003年には、PMとNOxの規制値を強化する新短期規制が始まったのだ。

Mazda5 MZR-CD コモンレールシステム付2.0L直墳ターボディーゼルエンジン
DIREC-D(ディレク・ディー)コモンレール式2.0L直噴ディーゼルエンジン

この新短期排ガス規制に対応するために、ボンゴはそれまでの2.2L渦流副室式ディーゼルから、新開発の2.0L直4 SOHCコモンレール直噴ディーゼルターボに換装し、同時に排気系にはPM低減のために、このクラス初のDPFを搭載した。これにより、排ガス低減とともに最高出力が79psから86psへ、最大トルクは14.1kgmから18.2kgmへと向上し、燃費も15%程度改善された。

マツダ・クリーンディーゼルエンジンの技術(※Euro5対応のクリーンディーゼル技術)

車両価格は、2WD仕様で160.2万~172.7万円、同時に仕様変更されたガソリン車は130.8万~145.2万円に設定された。

・・・・・・・・・・
2000年以降は、乗用車ディーゼルとともに商用車も排ガス規制が強化された。ディーゼル車へのDPF搭載は、マツダとしては初めてだったので、溜まったPMを除去する(煤を焼き切る)DPF制御の開発にはかなり苦労があったようだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

連載 今日は何の日?

歴史 15時間前

米国日産が電気自動車「アルトラEV」をロサンゼルス・オートショーで97年に発表、ZEV規制対応【今日は何の日?12月29日】

歴史 2025.12.28

スバル「インプレッサスポーツワゴン」に特別仕様車「I’sセレクトII」が122万円~2代目に追加【今日は何の日?12月28日】

歴史 2025.12.27

日産「ウイングロードGエアロリミテッドS」はお得感満載の特別仕様車、165.8万円~00年追加発売【今日は何の日?12月27日】

歴史 2025.12.26

日産「エクストレイルFCV」2005年モデルのリース販売をスタート!と発表【今日は何の日?12月26日】

歴史 2025.12.25

トヨタ「アリオン」はカリーナの後継で広い室内が自慢!162万円~01年登場【今日は何の日?12月25日】

歴史 2025.12.24

“大人のタント”! ダイハツ「タントエグゼ」は113万円~09年誕生が、スライドドア廃止が不評で1代で終わる…【今日は何の日?12月24日】