2030年にサステナブル素材の使用比率40%、2050年に同100%の達成が目標

トーヨータイヤは、タイヤの性能維持に不可欠でありながらもサステナブル素材へ置き換えることが難しい素材を代替していく技術の実現に注力し、環境性能と製品性能をさらに高次元で両立を図る取り組みを推進している。今回、コンセプトタイヤに関して、サステナブル素材使用比率がさらに引き上げられ、今後、市販用タイヤへの実装に向けて、技術革新と研究開発が推進される。

タイヤに用いられるサステナブル素材は、天然由来など再生可能な「リニューアブル素材」と使用済みの資源を再利用した「リサイクル素材」の2種類に大別される。今回のコンセプトタイヤには、リニューアブル素材(全体の61.5%)としてバイオマス由来ブタジエンゴムやバイオマス由来スチレンブタジエンゴム、バイオマス由来ポリエステル繊維、籾殻灰シリカ、植物由来オイルなどが採用され、リサイクル素材(同35.0%)には富山大学との共同開発で成功したCO₂由来ブタジエンゴムをはじめ、再生カーボンブラック、再生ビードワイヤー、再生スチールコードなどが使用されている。

今回、タイヤの性能や製造工程において重要な役割を担う硫黄や酸化亜鉛といった従来代替が困難であった素材について、長年培ってきた材料配合設計技術とタイヤ生産技術を駆使し、リサイクル化を実現。再生硫黄や再生酸化亜鉛などの素材を採用することで、各部材におけるサステナブル素材使用比率が大幅に向上した次世代コンセプトタイヤの開発に成功した。トーヨータイヤは、2030年にサステナブル素材の使用比率40%、2050年に同100%を達成することを目標としており、今回のコンセプトタイヤはその達成に向けた布石となる開発品である。

同タイヤは、タイヤのライフサイクル全体における温室効果ガスの排出量低減やEVの航続距離向上に大きく寄与する「転がり抵抗係数」を極小化し、日本のタイヤラベリング制度において転がり抵抗値のレベル最上位の「AAA(トリプル・エー)」相当を実現していることも特長の一つである。

※タイヤ業界(日本自動車タイヤ協会:JATMA)が業界自主基準として策定。低燃費性能(転がり抵抗)と制動性能(ウェットグリップ)の両性能ともある一定値を満たすタイヤを「低燃費タイヤ」として定義づけし、消費者へ適切な情報提供を行うラベリング方法(表示方法)を明確にしたもの。