足つきがいいバイクとは?

バイクを選ぶ基準のひとつが「足つき性」だといえる。車体にまたがる時や信号待ちなどの際、足がつきやすくないと、立ちゴケなど転倒の心配がつきまとうため、とくに初心者などに気にする人も多いだろう。

では、そもそも、足つきがいいとはどういった状態なのか? これは、ハンドルを握り、バイクに自然にまたがった際に、足と地面との距離を指す。この地面と足との距離が自分の身体と合っていれば、まったがって停車したときなどもバランスをとりやすく、立ちゴケなどの心配が少なくなるといえる。

2024CBR600RR_004
ハンドルを握り、バイクに自然にまたがった際に、足と地面との距離が短い方が足つきがいい(写真はホンダ・CBR600RR)

より具体的には、たとえば、左右どちらか片足を地面につける際。つま先がきちんと地面に付き、自然に安定している状態が「足つきのいい」状態だといえる。さらに、カカトまで付くのであれば、より安定性も高くなるはずだ。

逆に、つま先がピンと伸びて、無理してバランスをとろうとしている状態は「足つきが悪い」といえる状態。立ちゴケなど転倒の要因になりやすいため、渋滞などの低速走行時でもかなり気をつかうことになる。

2024CBR600RR_006
つま先が伸びた状態になるほど、足つきは悪いといえる(写真はホンダ・CBR600RRに身長164cmの筆者がまたがった状態)

シート高だけでは判断できない

一般的に、足つきのよさを左右するポイントのひとつといわれるのが、バイクのシート高だ。シート高とは、地面からシートの一番低い位置までの直線距離のこと。シート高が高ければ高いほど、足が地面から遠くなるし、逆にシート高が低いほど、足と地面との距離は近くなるといえる。

たとえば、同じ250ccのバイクでも、ホンダのスーパースポーツ「CBR250RR」はシート高790mm。一方、同じホンダのクルーザーモデル「レブル250/E-クラッチ」シリーズのシート高は690mm。両モデルでは100mmの差があり、より足つきがいいのは、シート高の低いレブル250/E-クラッチ・シリーズであることが予想できる。

2025_honda_cbr250rr_001
ホンダ・CBR250RR
2025_honda_REBEL250_eclutch_003
ホンダ・レブル250E-クラッチ

ただし、こうしたシート高は「一応の参考値」にはなるが、厳密にはこの数値だけで足つき性の良し悪しを判断することはちょっと難しい。乗るライダーによって、身長など体格がさまざまなためだ。実際には、同じシート高でも、バイクの車体やサスペンション、シート形状などの各設定でかなり変わってくる。そのため、そのバイクが自分の体格に合う足つき性を持っているか否かを知るには、ほかの要素も考慮する必要があるのだ。

サスペンションの沈み込み量も目安

バイクの足つき性に関連する要素のひとつが「サスペンションの沈み込み量」だ。

たとえば、バイクのスタンドをかけ、ライダーがまたがらずに車体を停車させた状態では、前後のサスペンションは伸びた状態だといえる。

そこから、サイドスタンドなどをはらい、ライダーがバイクを直立させると、バイク自体の重さでサスペンションは少し沈み込む。

さらに、ライダーが車体にまたがると、ライダー自身の体重が加わって、さらにサスペンションは沈み込むことになる。

そして、この際、サスペンションの沈み込み量は、同じバイクであっても、ライダーの体重によって変わってくる。ライダーの体重が重いほど、サスペンションは沈み込むので、足つきもよくなる。逆に、ライダーの体重が軽いほど、サスペンションの沈み込み量は少なくなるので、足つき性は重いライダーの時ほどよくないといえる。

202310Hayabusa_004
ライダーがまたがった際のサスペンションの沈み込み量も足つきに関連してくる(写真はスズキ・ハヤブサに身長164cmの筆者がまたがった状態)

加えて、バイクの性格などに応じても、サスペンションの沈み込み量は違う。たとえば、先述のCBR250RRとレブル250/E-クラッチ・シリーズで比較すると、より高速走行などを考慮したスーパースポーツのCBR250RR方が、サスペンションは比較的硬めの設定。停車してまたがった状態など、低荷重時はサスペンションは比較的沈み込みにくい傾向だ。一方、ツーリング時の乗り心地を重視したレブル250/E-クラッチ・シリーズの方が、サスペンションは比較的ソフトな設定。硬いサスペンションよりも低荷重時での沈み込み量も多めとなる傾向にあるため、足つき性はよりよくなるといえるのだ。

シートの横幅やクッション性

バイクの足つき性に関わる要素で、意外に気づきにくいのが「シートの横幅やクッション性」だ。たとえば、シートの横幅が広いバイクは、股を大きく開く必要があるため、とくに、両足で真下に足を降ろす際に、横幅が狭いバイクより足がつきにくくなる。

ただし、最近は、座面自体は広くても、燃料タンクに近い前方の横幅が絞られていることで、足つきをよくしているモデルも多い。そのため、シート幅を広く感じるか否かは、実際にまたがってみないと分かりにくいのも確かだ。

2024CBR600RR_008
シートの座面自体は広くても、燃料タンクに近い前方の横幅を絞ることで、足つきをよくしているモデルも多い(写真はホンダ・CBR600RR)

さらに、座った際にシートが硬いのか柔らかいのかといったクッション性も多少関係する。当然ながら、シートが柔らかめの方が、着座時にシートがより沈み込むため、相対的に足つきもよくなる傾向だといえる。

車体やフレームの細さやステップ位置

足つき性の良し悪しは、車体の横幅やフレーム形状なども関係してくる。車体の細いバイクの方が、足を地面へ垂直に出しやすく、股をさほど広げなくていいため、足つきも比較的良好となる。

また、フレーム形状も、横に広がっているタイプより、スリムなタイプの方が、やはり地面へ足を垂直に出しやすい傾向。同じく、足つきも比較的良好となるケースが多いといえる。

2026_SUZUKI_GSX-8T
車体の横幅などが細い方が足つきもいい傾向だ(写真はスズキ・GSX-8T)

さらに、車体の重さ自体は、直接的には足つき性とは関係ないが、たとえば、渋滞路などの低速走行時や細い路地をUターンする際などに、ちょっとバランスを崩した場合、足つき性がいいバイクのほうが、足をついて車体を支えやすい。だが、もし足つき性がほぼ同じであれば、重いバイクより軽いバイクの方が、車体をより支えやすい傾向にあるともいえる。

なお、フットステップの位置が、ちょうど足をつく位置にあるようなバイクも、その分足を大きく開く必要があるため、足つきを悪く感じやすい。このあたりは、ライダーの体格や車種などによっても変わってくるが、やはり、そのバイクの足つき性が、自分の体格や好みに合っているかの判断基準になるだろう。

202310Hayabusa_006
フットステップの位置も足つきに関係してくる(写真はスズキ・ハヤブサに身長164cmの筆者がまたがった状態)

販売店で実際にまたがってみるのが確実

このように、ライダーはそれぞれ身長や体型も異なるため、バイクの足つき性についても、シート高などのスペックだけでなく、さまざまな要素が判断基準となる。

そして、こうした各要素を調べるには、バイク販売店などで実際にバイクにまたがってみることが一番だ。

そうすれば、そのバイクが、本当に自分に合っているのか、また、多少の工夫などで問題を解消できるのかなども分かる。たとえば、前述のステップ位置が足を下ろした際に干渉する場合。こうしたケースでも、足を下ろす位置をステップの前側か後側に少しズラすなどで対処できる場合もある。実際にまたがってみれば、そうした判断も可能になるのだ。

ともあれ、憧れのバイクがあっても、スペック表を見ると「シート高が高すぎて無理だと思った」という人もいるだろう。ただし、そうしたバイクでも、実際に、またがってみたら「案外いける」と思う場合もある。まずは、先入観を持たずに、販売店などで実車にまたがってみて判断することをおすすめする。