覆面パトカーは主に3タイプある
白黒のボディカラーや天井に赤色灯などを装備する一般的なパトカーと違い、ボディカラーはブラックやシルバー、ホワイトの単色も多く、一見して普通のクルマと見分けがつきにくいのが覆面パトカーだ。
ただし、ひとくちに覆面パトカーといっても、実際には、事件捜査で犯人を追跡するタイプや、皇室や政府関係者などの警護に使うタイプなどもある。一方、我々ライダーが最も出会う機会が多いのが、交通違反の取り締まり用車両だといえるだろう。

定番のクラウン以外も車種は拡大傾向
覆面パトカーに使われる車種は、一昔前であればトヨタ「クラウン」や日産「スカイライン」といったセダンタイプが定番だった。

とくに、クラウンは、現在でも、15代目(2018年~2022年)や14代目(2012~2018年)といった古い世代のモデルが、現役の覆面パトカーとして走っている光景をよく見かける。ただし、だからといって、最近は、一概に「覆面パトカー=クラウン」といえなくなっているのも事実。使われる車種は多様化する傾向にあるといえる。
たとえば、トヨタ「アルファード」や日産「セレナ」のような大型ミニバン。また、日産「エクストレイル」などのSUVタイプの目撃情報も増えており、車種のバリエーションは広がりを見せているようだ。
また、各都道府県の警察によって、独自の車種を導入する、いわゆる「ご当地覆面パトカー」もよく話題となっている。
たとえば、警視庁では、トヨタのセダン「マークX」をベースにしたコンプリートカー「マークX+Mスーパーチャージャー」を採用しているという。このモデルは、トヨタ純正パーツなどを手掛けるモデリスタが販売したもので、3.5L・V6エンジンにスーパーチャージャーをマッチング。最高出力をノーマルの318PSから360PSへパワーアップさせたチューンドカーだ。

また、埼玉県警では、スバルのスポーツセダン「WRX S4」を導入し、一説には「青い悪魔」と恐れられているとも聞く。この機種は、世界ラリー選手権(WRC)に参戦した「インプレッサWRX」を起源とする市販モデルだ。現行モデルの場合、2.4L・水平対向4気筒ターボエンジン、いわゆるボクサーターボエンジンを搭載し、ノーマルでも最高出力275PSを発揮。車両重量1600〜1610kgの軽量ボディと相まって、一般道からワインディング、高速道路まで、幅広いシーンで俊敏な走りを発揮することが特徴だ。

いずれも、かなり高い動力性能を持つモデルたちなのは確か。もし高速道路などで出会った場合、間違っても逃げようなどとは思わない方がいいだろう。
ドライバーや装備で見抜ける場合もある
覆面パトカーの装備では、これも一昔前なら、特殊車両用の「8ナンバー」を付けていたことが特徴だった。そのため、前述したクラウンなどの「セダン」+「8ナンバー」であれば、覆面パトカーだと見分けることも可能な時代もあった。
ところが、現在は、覆面パトカーも8ナンバーではなく、3ナンバーや5ナンバーが多くなっている。そのため、ナンバープレートだけでは、一般車両と判別しづらくなっているのだ。
ただし、よく見ると、ちょっとした違いがあるのも事実。たとえば、「2段式ルームミラー」を備えている車両。これは、通常のルームミラーに加え、助手席に乗車している警察官が後方確認を行うための補助ミラーだ。普通のクルマには装備されていないので、あれば違和感を覚えるので気づきやすいといえる。
また、後部座席やリアウィンドウを、濃い目のスモークフィルムで覆っている場合も、怪しい。覆面パトカーが、車内に装備する電光掲示板(「止まれ」などの合図に使う)や人影を隠すために貼っている可能性がある。
さらに、よく見ると、天井に四角い切れ込みが確認できるクルマも要注意。これは、いわゆる赤色灯を収納している場所。普段は見えないが、交通取り締まりを行う際などは、この部分が反転し赤色灯が出てるような仕組みになっている。もっとも、走行中に天井の四角い切れ込みを確認するのはかなり難しいのも事実。あくまで予備知識として覚えておき、停車時などにもし気づけば注意するといった感じだろう。

ほかにも、車内に乗っている警察官で見分ける方法もある。交通取締用の覆面パトカーに乗る警察官は、一般的に制服を着用していることが多いようだ。また、ヘルメットを着用しているケースもある。とくに、ヘルメットは、クルマの車内で被っている人はあまりいないから、警察官である可能性は高い。こうした点も、一般車両と見分けるポイントのひとつだといえる。
あとは、走り方。覆面パトカーは走り方に特徴があり、取り締まりを行っていない場合は、かなり安全運転で走っていることが多い傾向だ。
たとえば、高速道路では、基本的に法定速度を守り、左車線をゆっくりと走っている光景をよく目にする。また、車線変更をするときは、ウインカーを「3秒前」に出し、車線変更が完了するまでしっかり点灯させている。これは、緊急時や取り締まりで赤色灯やサイレンを出していないときは、覆面パトカーも一般車両と同じなので、違反行為をしないため。かなりきっちりと交通ルールを守った走りをしているので、分かりやすいといえるだろう。
どんな場所で遭遇しやすい?
交通取り締まり用の覆面パトカーに遭遇しやすい場所は、主に高速道路やバイパス、幹線道路など。複数車線で道幅も広く、速度をついつい出し過ぎてしまうことで、スピード違反が起こりやすい場所だ。そういった道路は、重大な交通事故なども起こりやすいことで、取り締まりの重点区間として覆面パトカーが配備される傾向にある。

また、都市部の一般道でも、信号の少ない直線道路や見通しの良い幹線路などでは、ライダーやドライバーが無意識に速度を出してしまいがち。そのため、やはり覆面パトカーの巡回ルートになっていたりする。
さらに、時間帯にも制限が特別なく、昼夜を問わず出没する。つまり、場所や時間を問わず、どんな状況でも遭遇する可能性はあるので、たとえば深夜や早朝の閑散とした時間帯でも油断は禁物だといえよう。
取り締まりを受けない最善策とは?
以上が、覆面パトカーの主な見分け方の例だ。ただし、それより前に大切なのは、「捕まるか、捕まらないか」よりも、交通ルールを守り、安全運転を心掛けることだ。
筆者も、かつては、バイクやクルマで高速道路などを走る際、後方から覆面パトカーが来ていないがドキドキしていた時期もあった。でも、最近は、制限速度など交通ルールを守ることで、気持ちにも余裕がうまれ、覆面パトカーらしきクルマが現れても気にならなくなった。そして、そうした走り方により、周りの景色を楽しむなど、よりツーリングを満喫できるようになったのだ。
日頃から警察に取り締まりを受けない運転を心掛ける。そうすれば、いきなり覆面パトカーらしきクルマが現れたとしても焦ることはない。加えて、結果的に自分はもちろん、周りの人たちにとっても、安心・安全な交通社会へ一歩近づけるのではないだろうか。

