創りで魅せるRB20DET
上置きタービンとワンオフサージタンクで独創的な美しさを実現!
「機能美」の追求とは、機械的な性能の中に美しさが宿るという、古くから受け継がれてきた職人精神のひとつ。この考え方はチューニングにも当てはまり、パフォーマンスアップと美観は表裏一体で向上していくのが理想だ。

そんな「見た目でも圧倒できる、機械的な美観を備えたエンジン」というオーダーに応え、創造的なアプローチでRB20DETを構築したのが、埼玉県のブラックラインである。

当初のオーダーはマフラー製作のみだったが、作業を進めるうちに「エンジンルームもカッコよくしたい」という想いがオーナーの中で膨らみ、追加オーダーへと発展。その際、ブラックラインが提案したのが、上置きタービン化とサージタンク製作というメニューだった。

とくにR31のRB20エンジンは、サクションパイプがヘッドカバー上を通るレイアウトのため、どうしても雑然とした印象になりがちだ。この部分をスマートに仕上げるだけでも、エンジンルームの印象は大きく変わる。しかも、可能な限り容量を拡大することで、レスポンス向上という見た目以上の効果も得られる。

こうして始まったリファイン作業は急ピッチで進行。GTS-Rをオマージュしつつ、スペースを大胆に使ったタービンレイアウトを決定し、エキマニ製作、サージタンク製作と順を追って形にしていった。
可変バルブに繋がる12個のポートを備えた特殊なヘッド形状に合わせ、インマニは最大容量を確保する設計を採用。これに組み合わせるスロットルには、パルサー用の社外70φをチョイスしている。

タービンは、近年のトレンドに合わせて前側へオフセット配置されたT620。アクチュエーター式ながら、迫力ある存在感を放つデザインが与えられている。アクセルオフ時にもマニホールド内に適度な残圧を保つ設計とすることで、レスポンス低下を最小限に抑えている点もポイントだ。

ヘッド内の圧抜きと同時に、ブローバイガスからオイルを分離するキャッチタンク(セパレーター)もワンオフ製作。パイピング全体のレイアウトからイメージを膨らませ、ホースではなくアルミパイプとフィッティングを多用することで、よりメカニカルな雰囲気を演出している。

制御系にはHKS F-CON Vプロ3.4を使用。ピークパワーを追求するチューニングではないため、最高出力よりも扱いやすさを重視したセットアップが施されている。


600mmサイズのインタークーラーは、純正バンパー内に収めつつ、オートスポイラーが正常に作動するよう工夫してセット。スポイラーのモーターやリンク類とのクリアランスを細かく確認しながらまとめ上げた力作だ。なお、この写真はオートスポイラー装着時の状態で、メインの外観写真では、ほぼ同形状のニスモ製オプションスポイラーを普段使いとして装着している。

当初のオーダーであったマフラーは、シンプルな砲弾タイプを装着。吸排気系をトータルでリフレッシュすることで、R31本来の魅力はさらに引き立てられた。

今では希少となったRB20DETをあえて貫きながら、エンジンルームは別物と言えるほど洗練されたR31。視覚的な変化はもちろん、オーナーの満足度も確実に高まっている。アクセルを踏み込めば、その違いは即座に体感できるはずだ。

長年乗り続けてきた愛車の魅力を、もう一段階引き上げる…それこそが、機能美がもたらす本質的な効果なのである。
●問い合わせ:ブラックライン 埼玉県川越市下広谷690-1 TEL:049-239-6667
【関連リンク】
ブラックライン
http://www.blackline-racing.com

