車体系の課程を有する愛知校・京都校の学生たちが授業の集大成として制作した3台の車両を披露

日産・自動車大学校は、全国に5校(栃木校・横浜校・愛知校・京都校・愛媛校)あり、5校に共通する自動車整備の国家資格取得を目指す学科に加え、モータースポーツ系や車体系(板金・塗装)の課程をもつ自動車整備専門学校。
今回、車体系の課程を有する愛知校・京都校の学生たちが授業の集大成として制作した3台の車両が『東京オートサロン2026』で披露される。

『MARCH Eloura』
日産京都自動車大学校 自動車整備・カスタマイズ科4年生製作 製作期間6カ月
「街乗りスタイル、走りとデザインに特化」をコンセプトに20~30代の家庭をもつ女性が街乗りに使うセカンドカーをイメージして制作。女性をターゲットにした車両の制作はカスタマイズ科として初の試みで、女性の意見が積極的に取り入れられた。
車名の「Eloura(エルーラ)」とは、英語で「時代」を意味する「Era」とイタリア語で輝きを意味する「Luce」を掛け合わせた造語。「過去から未来へ時代を超えて輝く一台にする」という想いが込められている。
ベース車両には、カスタマイズ科2期生が製作した「イタルマーチ(K13マーチ)」と312ブルーバードを採用。サイズの異なるブルーバードをマーチのサイズに再構築するという技術的に難しい課題に挑みながら、随所に徹底的なこだわりを反映し、マーチのかわいらしさとブルーバードの丸みのある上品なデザインを併せ持つ、パイクカーのような外見に仕上げられた。
ボディカラーは学生が考案したオリジナル2トーンカラーの「Sky Mirage(スカイミラージュ)」。ボディ全体をブルー、ルーフ部分はホワイトにすることで、青空の中を雲が優雅に泳ぐようなイメージが表現されている。

『Sunny Skyline』
日産京都自動車大学校 自動車整備・カスタマイズ科4年生製作 製作期間6カ月
教員の間で復活を望む声が上がるほど好評を博したカスタマイズ科1期生が制作した初代サニーと、往年の名車であるハコスカの2台を輝かせたいという想いから、「あの頃の輝きをもう一度」をキャッチコピーに『Sunny Skyline』の製作に。
ベース車両に「サニー(KB10サニークーペ)」、フロントに4期生のハコスカを採用し、45~55歳のクルマ好きの男性向けの趣味車をイメージ。制作の過程で、ターゲット層に当てはまる先生や学生の父親の意見も取り入れられた。
特徴的なオーバーフェンダーはいちから造形し、左右のバランスを均等にするために、精密な調整が何度も繰り返された。また、メッキパーツを採用したバンパーやドアミラーにおいては、繊細な作業が要求される再塗装が行なわれている。エンジンはコンパクトかつパワフルさで定評のあるS15シルビアのSR20エンジンを搭載。
内装は高級感を演出するために特別にしつらえた木目調のパネルに張り替えるなど、懐かしさの中にモダンさを表現することで、コンセプトである「サニーとハコスカの面影を残しながら現代風に」が体現された。
ボディカラーは、現代らしい煌びやかさと重厚感を持ち合わせた、学生考案のオリジナルカラー「トーマレッド」。今回のベース車両であるサニーとハコスカは貴重なモデルであることから、カラーも当時貴重とされていた赤色を採用したという。

『Re30 スカイラインシルエット』
日産愛知自動車大学校 自動車整備・カーボディーマスター科3年生制作 制作期間2.5カ月
スカイラインのブランド力と、当時ファンを魅了した「スカイラインスーパーシルエット」。その圧倒的な威圧感と存在感に惹かれた学生たちが、セダンが少なくなった現代において、「再び、あの時のスーパーシルエットを」をコンセプトに、ベース車両に1980年代を代表するR30スカイラインの4ドアセダンを採用し、大迫力のスーパーシルエットと実用性を兼ね備えた4ドアの実現を目指した。
車名につけた“Re”は、Reborn(再び、80年代の活気ある車を)、Respect(尊敬・敬意)、Remake(私たちが作り直す)を意味し、リアルタイムでスーパーシルエットを知る50代、60代の方々への懐かしい提案であると同時に、伝説的なレースを知らない若い世代にも、当時のモータースポーツのエネルギーを伝えたいという願いが込められている。
フロントバンパーはスーパーシルエットの巨大なフロントスポイラーを忠実に再現。リヤフェンダーはスクエア形状のものを採用し、大胆に拡幅している。通常、ワイド化するとドアの開閉が困難になるが、学生たちの技術により、十分なクリアランスを確保し実用性を維持した。フェンダーの拡幅に合わせてテールランプの位置も変更されている。
内装は、80年代を知る世代の方には懐かしさを、若い世代の方には当時の雰囲気を味わってほしいという思いから、極力純正を活かしている。フロアマットは、シートのブルーが際立つよう、派手さを抑えつつもデザイン性をプラスした柄でオーダーメイドし、淵糸までこだわって製作。
ボディカラーは、スーパーシルエットへのリスペクトから赤と黒をオマージュ。赤色部分にはラメを加えることで、派手さの中にも現代的な魅力を引き出すという、学生ならではのエッセンスが加えられている。
