「ハート・オブ・ジョイ」と呼ばれる電子制御ユニットによって制御される4つのモーターを搭載

BMWが、量産モデルではコンセプトカーのややワイルドなスタイリングを控えざるを得なかったことは言うまでもないが、一方で、iX3とX3の差別化を図るために、基本的なデザインは維持した。例えば、細く垂直に伸びたキドニーグリルは、新型iX3の個性を際立たせている。

BMW iX3

バッテリー電気自動車専用に開発された、まったく新しいプラットフォームをベースにした「NA5(社内コード)」には、後に本格的なMモデルが加わる予定だ。最もホットなiX3はコードネーム「ZA5」で、ネームプレートは「iX3M」と表記されると思われ、M部門がデュアルモーターよりも刺激的なモデルを準備しているはずである。

ニュルブルクリンクに出現したプロトタイプは、市販型のヘッドライトとテールライトを装着した状態で目撃されたが、Vision Neue Klasse Xから多くのヒントを得てい ることがわかる。

BMW iX3M プロトタイプ スパイショット
BMW iX3M プロトタイプ スパイショット

量産型のライト類を装備したiX3は、航続距離を最大限に伸ばすため、明らかに空力性能を重視したアルミホイールを装着している。フロントのブルーに塗装されたブレーキキャリパーは、この電気SUVのMパフォーマンスバージョンを示唆していると言っていいだろう。

また、ボンネットの隆起部分は、空力的な通路か冷却ダクトのいずれかとして機能すると思われる。もしそうであれば、標準のiX3にはフロントトランクが備わっているため、その収納スペースの一部をM専用のパワーエレクトロニクスや冷却装置に割り当てている可能性がありそうだ。

そのほか、完全にカモフラージュされたフロントバンパーの奥には、iX3と大きく差別化される巨大エアインテークを装備すると予想される。

ハンガリーのBMWグループ・デブレツェン工場で2025年7月頃に生産開始されている第2世代iX3は、前世代の内燃機関X3から派生したCLARベースのモデルの後継車となる。初代iX3は、航続距離が極端に短いこと、xDriveオプションの欠如、そして原産国の問題から、米国では販売されなかった。実際、売れ行きの悪かった初代iX3は、中国国内でのみ、BMWとブリリアンス・オート・グループとの合弁会社によって生産されていたが、いよいよ第2世代でピュア「M」を投入、逆襲が始まる。

欧州向けの第2世代iX3は、後輪駆動の40から始まる4つのバリエーションが展開される。残りのラインナップは、40 xDrive、50 xDrive、M60 xDriveで構成されそうだ。北米向けのBMWグループ・サン・ルイス・ポトシ工場での生産は、2026年後半に開始される予定で、米国市場では2027年モデルとして販売される可能性がある。

同ブランドは既に、ピュアM電気自動車が「ハート・オブ・ジョイ」と呼ばれる電子制御ユニットによって制御される4つのモーターを搭載した構成を採用することを発表している。理論上、このアーキテクチャは最大1341PSを発揮できるが、さすがに、iX3 Mとその兄弟車であるi3Mにそこまでのパワーを与える可能性は低いと見られる。しかし、それでも700〜800psは期待していいだろう。

iX3Mのデビューは、2027年以降と予想される。