トヨタ スープラ

「羊の皮をかぶった狼」(スリーパーカー)と呼ばれる車をご存知だろうか?
外観はごく普通なのにエンジンが驚くほどパワフルな車のことを表した言葉だ。
しかし、その逆の車もあるが、メカニカルな部分がモデルの美学に合っていなくても、アグレッシブな外観の車を好む人もいるからという理由からだと思われる。

レクサス IS F

しかし、追加のベントやスタイリングの強化を望む人でも、誰もが本物と偽物のベントを見分けられることを理解しているわけではないようだ。

偽のエアダクト、ボンネットスクープ、ホイールアーチ横のサイドベント、リアバンパーなど、空気の流れを良くしたい箇所は、それが機能していないことを知らない人にとってはクールに見えるかもしれない。
しかし、それが実際に機能していないと知れば、どんな車でもクールさは大きく損なわれる。
今回は、過去に「名車」「最高のパフォーマンスカー」などと呼ばれたにもかかわらず、偽のベントやその他のダクトを装着している、これまで名声を得た国産車を見てみよう。

まず、2008年式インフィニティ「G37」クーペだ。フロントバンパーには、純正の下部ダクトがはっきりと見える。
下部ダクトは半分しか本物ではない。
プラスチック製のハニカム構造のもう半分は塞がれており、機能していないのだ。
G37には、スポーツトリムや希少なIPLバリアントなど、フロントバンパーに機能的なエアダクトを備えた他のバージョンもある。
初期のG37 ジャーニートリムは、ほぼ全てが機能していた。
純正の車の場合、下半分のダクトはラジエーターへ空気を送り込む役割を果たす。

レクサス「IS F」は、米国で販売された日本車の中でも最速クラスだった。
RC F クーペやGS F セダンと同じ自然吸気5リッターV8エンジンを搭載し、モデルごとにチューニングが異なる。
IS F の場合、最高出力は416ps、最大トルクは504Nmで、0-60mph(約97km/h)まで約4.5秒で加速する。
そのパフォーマンスに不満はないが、この車について唯一気になる点は、フロントホイールアーチ後ろのサイドベントが単なる飾りだということだろう。

今回最も気になった車は、FK8型ホンダ「シビック・タイプR」だ。
2017年から2021年まで販売され、2020年モデルではマイナーチェンジが施されたが、このフェイスリフトでもエアベントのスタイリングは変更されていない。
今回は、全モデルのエアベントとダクトを特定しようとしているが、FK8の場合は少し複雑だ。
フロントから見てみると、バンパー下部の両側に巨大な偽造エアベントが2つあり、その横にはさらに小さな穴がいくつも空いている。
偽のボンネットスクープ、偽のサイドベント、そしてリアバンパーも同様に黒いプラスチックで覆われている。

V6エンジンを搭載した最後のカムリは、史上最速モデルでもあった。
2020年から2024年まで販売されたトヨタ・カムリTRDは、カムリの中で最もクールなモデルと言っていいだろう。
パワフルな3.5リッター V6エンジンに加え、他にも数々のパフォーマンス向上が施さ​​れた。
カムリTRDは、より剛性の高いシャーシ、アップグレードされたブレーキ、サスペンションなどを備えていたが、欠点もある。
それは、外観上のアップグレードがすべて機能的ではないということだ。
フロントバンパーの両側には偽の通気口があり、テールライトの下にも「通気口のように見える」小さな黒いアクセントが2つある。

続いて、廉価スポーツカーであるスバルBRZだ。
比較的手頃な価格のスポーツカーは少なくなってきているため非常に高い人気を誇っている。
2.4リッター水平対向エンジンは最高出力228psを発揮し、この小型軽量車が渓谷を疾走するのに十分なパワーを発揮する。
ただし、フェイクの通気口とエアダクトがいくつか付いおり、フロントホイールアーチの後ろとグリルの両側にも配置されている。

そして最後を飾るのは、日本が世界に誇ったトヨタ5代目「スープラ」だ。
通気口がすべて本物だったらよかったのにと思う。
そのスタイリングは素晴らしく、BMW由来のパワフルな直列6気筒エンジンを搭載し、十分な速さを誇った。
しかし、なぜ通気口があるべき場所に、これほど多くのプラスチック部品があるのか​​?
2020~2026年型スープラのフェイクベントは、バンパーに2つ、サイドのフロントライトの横に2つ、フロントフェンダーに2つ、ドアに2つ、リアライトの横に2つとなっている。

エクステリアデザイン上、ある程度の飾りがあっても良いとは思うが、強力なパワートレインと優れたハンドリングを備えた車であれば、どんなタイプの車であっても、空力特性やその他のスタイリングと密接に関係していて欲しいものだ。