トヨタとレクサスは『JMS 2025』にて、GR GTとLFAというスーパーカーを共同で発表した。GR GTには新型ツインターボV8エンジンが、LFAには完全電動パワーユニットが搭載される。

トヨタ GR GT

GR GTはトヨタブランド初のフラッグシップ・スーパーカーとして、当然市販化が期待されていたが、どうやら米国を含む海外では自社ディーラー網で販売せず、レクサスで販売される可能性があるという。つまり、海外においてはGR GTとLFAはプラットフォームや性能仕様だけでなく、ディーラーショールームも共通化される可能性があるということだ。

トヨタ GR GT

最大の問題はその価格だ。公式発表されていないが、トヨタGR GTの予想価格は3500万円とも噂されている。プリウスやカローラ、ヤリスの購入者が多く集まるショールームに、GR GTはお門違いなイメージと言える。現実的な考えを言えば、GR GTは、少なくとも高性能車とそれに合わせたカスタムパーツを専門に扱うディーラー、その車名が示す通り『GRガレージ』ネットワークで販売される可能性が高いものと予想される。

しかし、ここで大きな問題がある。GRガレージは少なくともアメリカには存在せず、新規にGRガレージとしての販売網を構築するには莫大な費用がかかる可能性がある。そこでトヨタは、富裕層の顧客に優れた販売体験を提供するため、厳選されたレクサス販売店にGR GTの販売を委託する計画があるようなのだ。おそらく、先代LFAを販売していた店舗が対象となるものと思われる。

これだけを聞くと、GR GTとほぼ同時に発売予定のレクサス LFA後継モデルと競合してしまう心配も出てこよう。だが、GR GTとLFAは、内外装ともに独自のデザインを採用しているほか、LFAは、トヨタのホットなV型8気筒ツインターボエンジンではなく、純電気自動車用パワートレインを搭載する。この棲み分けにより、レクサスは両車をスムーズに販売できるものとトヨタは見ているようだ。もっと言えば、内燃機関スーパーカーのスリリングなサウンドを求める顧客はトヨタGR GTを、最高の加速性能と未来的なテクノロジーを求める顧客はトルキーなLFA EVを選ぶことになるだろう。

この両車の差別化は、レクサスの一部ディーラーが、トヨタのもう一つの高価格独立ブランドとなる、『センチュリー』の各車両の販売を促進する上でも役立つものと見られる。かつては極少量生産のトヨタの高級セダンの車名だった『センチュリー』は、今やトヨタの新たなサブブランドとなり、米国ではロールスロイスやベントレーに匹敵する存在となる可能性がある。オーストラリアの『The Drive』誌によると、同様の理由から、このセンチュリーも一部のレクサスディーラーで販売されるのではないかということだ。つまり海外では、『GRガレージ』車種を扱うレクサスディーラーと、『センチュリー』ブランドの車種を扱うレクサスディーラーに分化する可能性が否定できないのだ。