なんと1万rpmを実現

ガヤルド、ウラカンと20年以上続いたV10に別れを告げ、新たにV8+PHVとなった「スモールランボ」。今までのV10ランボルギーニはアウディのエンジニアリングがかなり入っていたが、「テメラリオ」はほぼすべてが自社開発。現在のランボルギーニがいかに順調な経営状態であるのかを象徴していると言えるだろう。
そのテメラリオの新開発V8はなんと1万rpmを実現しているのがウリだ。市販スポーツカーのエンジンはどんなに高回転ユニットでも9000rpmがせいぜいで、1万rpmといえばほぼレーシングエンジンのスペックだ。しかもそれをツインターボで実現しているというのだから、話を聞いた時はすぐには信じられなかった。
ところがこのエンジン、本当に1万rpm回るのだ。しかも、いとも簡単に。エストリル・サーキットで試乗した際は、ストレートで引っ張った時はもちろん、コーナーを立ち上がってアクセルを踏んでいくとあっという間にタコメーターは1万rpmに達する。あまりにあっけなく回るのでメーターチューンではないのかと疑ってしまうほどだ。かといってモーターのアシストの恩恵で低回転でもトルキーで扱いやすく、全域パワフル。ストレートエンドでは309km/hまで出たが、その際の強力なダウンフォースによる安定感も素晴らしい。そこまで安心してアクセルを踏めるのは、路面に吸い付くように姿勢を乱さずに減速してくれる強力なブレーキのおかげでもある。
とにかく、主役のエンジンを中心に走ることに対する性能のすべてが恐ろしく高いレベルでバランスしているのがテメラリオだ。PHV化には懐疑的な思いもあったのだが、それを見事に吹き飛ばすドライビングファンがある。今のランボルギーニの開発能力の高さをまざまざと見せつけてくれた1台だ。
ほどほどのパワーと重量

現代の「ポルシェ 911」は昔と比べるとかなり大きく重くなり、GTカー的な要素が強くなった、と思っているポルシェファンは多い。そんな声を意識したのかどうかわからないが、ポルシェが追加したグレードが「911カレラT」だ。
Tはツーリングを意味するもので、もともとは高性能なSに対してコストを抑えたベーシックなグレードであった。だが、現代のTは可能な限りの軽量化を施したピュアなスポーツモデルという位置づけだ。具体的には軽量ガラスや軽量バッテリーの採用、断熱材の削減などで40kg以上の軽量化を実現している。
もうひとつのポイントは6速MTの採用だ。いや、6速MT“しか”911カレラTには設定されていないのである。これだけでこのクルマがどういう層をターゲットにしているかわかるだろう。実際に運転してみても、クルマとの対話はより濃密だ。レスポンスに優れる3.0リッター水平対向6気筒エンジンの3000rpmから6000rpmあたりの美味しい領域を、3つのペダルと両手を動かしながら堪能するのはなんともいえない快感。また6速MTの操作感は先代のPDKベースの7速MTよりも直感的に操作できて、感触もすこぶる良好だ。
パワーは394PSと今どきのスーパースポーツの基準からすれば大したことないが、このクルマの価値はそこではない。ほどほどのパワーと1500kgそこそこの重量と優れたシャシーとブレーキの組み合わせが、今の時代には貴重な古典的スポーツドライブの真髄を思い起こさせてくれるのだ。
今や覚えきれないほどのバリエーションを持つ911だが、カレラTはその中でももっとも911本来の味を教えてくれるグレードだ。こんなクルマを作ってくれることに、ポルシェの良心を感じた。

BEVの失速が世界的に叫ばれて、ハイブリッドの魅力が改めてクローズアップされているようだ。ひと口にハイブリッドといっても、いろんな方式があるのだが、ヨーロッパ車の多くが採用するのが、トランスミッションにモーターを内蔵する方式。この方式はバッテリーがあればEV走行が可能だが、バッテリーの充電量がなくなると燃費はあまり良くない傾向がある。
それに対し、駆動用と充電用の2基のモーターを搭載する方式のハイブリッドは駆動と発電を効率よく行ってくれるので、燃費がいい。この方式はトヨタが開発したTHSが有名だが、この2モーター式ハイブリッドを搭載したのが、ルノーの新型「ルーテシア」だ。こんな複雑なシステムをコンパクトハッチバックに搭載し、しかも399万円という価格は大いに魅力的だ。実はこれ、為替レートで計算すると本国の価格よりもかなり安いのだそう。
新型といってもマイナーチェンジなのだが、フロントフェイスは新しモノ感十分な変身ぶり。さらに10kgの軽量化などでWLTCモード燃費はリッター25.4kmを達成したという。本当にそんなに走るの!? と、ちょっと疑った……わけではないのだが、渋滞の一般道から高速まで約600kmを走って燃費を測ってみたところ、なんとリッター23.6kmと、カタログ値にほぼ近い数字を記録したのである。もちろん燃費走行はせずにごく普通に、いや周囲の流れよりも速いペースだったくらいだ。
ハイブリッドの燃費はトヨタ車が一番と思っていたのだが、ルーテシアは欧州車のハイブリッドの素晴らしさを教えてくれた。しかも走りも良く、ロングドライブで実感したのだがシートも疲れ知らず。もし自分が今、コンパクトハッチの購入を検討していたら、かなりの有力候補になりそうだ。

